SILENT SIREN、
アルバムリリース記念で
渋谷でシークレットライブ開催
3月13日(水)に6thアルバム『31313』をリリースしたばかりのSILENT SIREN(以下、サイサイ)が、3月15日(金)に東京・TSUTAYA O-WESTにてシークレットワンマンライヴを行った。
NEO SHIBUYA TVとのプロジェクトで、3月2日(土)から渋谷の街頭ビジョンをジャックし、気鋭のクリエイターが手掛けた映像とともに情報を少しずつ匂わせていた今回のライヴ、10年代の東京ストリートカルチャーを牽引する池ノ上のショップMIN-NANOを手掛けるGORO NAKATSUGAWAが今プロジェクト限定Tシャツのデザインを担当するなど、サイサイの元に多彩なクリエイターが集結して行われた。インスタグラムなどのSNSを駆使し、「今までとは違うサイサイ」をテーマにジワジワと進行する異色のプロジェクトは、この時点でインパクトは十分だろう。
2週間にわたり映像を通じて彼女たちが提示してきた謎をいち早く解明し、貴重なライヴチケットを手にした感度の高い400名のファンの熱気とともに、この日の会場はプライマル・スクリームがガンガンに流れ、ステージはボタニカルな装飾で彩られるなど、いつものサイサイのライブとは明らかに異なるムードだ。定刻20時が過ぎてしばらくすると、「恋のエスパー」をモチーフにしたシンフォニックなSEとともにステージ上にはスモークが立ち込め、メンバーが定位置につく。
そして、すぅ(Vo./Gt.)がギター1本で切なげに歌い始めた曲は、『31313』収録のエモーショナルなロックチューン「クリームソーダ」。この日は、彼女たちの衣装も普段とは異なるもので、着ているものこそ今回の限定Tシャツだが、プロジェクトに関わるクリエイターがさらに"リミックス"を施し、全く新しいワードローブに極限まで変形させたのだ。ヘアメイクアーティスト喜多村拓矢とフジワラダイスケによる斬新でエッジーなヴィジュアルも異彩を放っていて、これもまた「今までと違うサイサイ」。そんな4人の姿に一瞬驚いた様子を見せた観客もすぐに拳を突き上げ、手を打ち鳴らし、熱量を高めていく。
「クリームソーダ」が終わると、間髪入れずに同じく新作から「Attack」を叩き込む。あいにゃんのよく動くベースラインが演奏を引っ張り、ひなんちゅのドラムがグッと前に出てくる。「女子校戦争」が始まるとフロアの盛り上がりはより一層高まった。いつもと雰囲気の違うライブ、そして東京では久しぶりとなる小箱でのライブとあってメンバーもどことなく緊張しているように見えるが、ライブでの鉄板曲を鳴らすことでいつもの調子を徐々に取り戻していった。
「今日、この場所をみつけた強者のみんな!」とすぅがフロアを埋め尽くした観客に短めのあいさつを告げたあとは「milk boy」に突入し、疾走感、キャッチーなメロディ、とことん楽しいサウンドを兼ね備えた楽曲に、観客はさらに前のめりになっていく。現在のところ最新シングルとなっている「Go Way!」もすっかりライブの定番になり、サビや間奏でのシンガロングや合いの手が一体感を高める。これでもかというぐらいキラーチューンを放り込んでくる今夜のライブは、実験的であると同時に、実はサイサイの王道だったりもするのだ。
ここまでほぼノンストップで曲をつなげてきたが、中盤にきてようやくすぅがゆっくりと話を始めた。「アルバム、聴いてくれましたか?かなり長い時間をかけてゆっくりゆっくり愛情を込めて作り上げました」と『31313』の制作について振り返ったあと、「いろんなバンドやアイドルが活動を止めている中、こうやって1人でもお客さんがいるってことは幸せなことなんじゃないか」と10周年イヤーに突入する自らのバンドを誇ってみせた。
そして、サイサイの今後について「賛否両論って言葉が本当に似合うバンドだけど、私たちは私たちを信じてくれる人を信じたい。(サイサイは)好きなときに好きなことをやってるだけなので、みんなも好きなときに遊びに来てください!」と強気な発言で喝采を浴び、「無重力ダンス」で後半戦をスタートさせた。『31313』収録のこの曲は、去年末に初披露されたサイサイ得意の4つ打ちポップロックチューンで、日に日に存在感を増していくあいにゃんのベースラインが実にファンキーだ。
既に新たな人気曲の座を勝ち取った「無重力ダンス」の勢いそのままに、「ODOREmotion」「フジヤマディスコ」と畳み掛け、1時間という短い演奏時間を惜しむかのように、今のSILENT SIRENをギュッと凝縮していく。この10年近くの間、いくつものターニングポイントを迎えた彼女たちだが、レーベル移籍後の4人を支える新たなエンジンとなったのはこの「フジヤマディスコ」だ。それは今日も含めたこれまでのフロアの盛り上がりが証明している。曲に合わせて、ゆかるん(key.)のジュリ扇が鮮やかに揺れる。2月の先行配信からあっという間にファンの心を掴んだ「恋のエスパー」では、盛り上げ隊長・ゆかるんの振りに合わせて踊るファンが続出し、それ以上の盛り上がりを見せたのが「チェリボム」だ。曲の中盤では両サイドからあいにゃんとゆかるんが飛び出し、観客を煽る。この曲で大団円を迎えたかと思いきや、この日の最後を締めくくったのは、新作からの切ないミドルチューン「REBORN」。少々意外だったが、これもまた今日という特別な日ならではの選曲だ。集大成的なライブでもない。レコ発ツアーでもない。
サイサイの4人が仕掛けた、3月15日の幸せなハプニングは、終わり方も突然だった。曲が終わると4人の演奏と入れ替わりに爆音のノイズが場内に鳴り響き、その中を満面の笑みを浮かべたサイサイメンバーが花びらをステージ上からまき散らす。花びらは2階からも絶え間なく舞い降り、気付けば4人の姿はステージから消えて、耳をつんざくノイズは唐突に止み、それと同時に観客は60分にわたる夢から覚めたのである。
3月21日の横浜BAY HALLを皮切りに、アルバム『31313』のレコ発ツアー『SILENT SIREN LIVE TOUR 2019「31313」〜サイサイ、結成10年目だってよ〜 supported by 天下一品』がスタートとなるので、ぜひ足を運んでみてほしい。
photot by 上飯坂一
【セットリスト】
1. クリームソーダ
2. Attack
3. 女子校戦争
4. milk boy
5. Go Way!
6. 八月の夜
7. 無重力ダンス
8. ODOREmotion
9. フジヤマディスコ
10. 恋のエスパー
11. チェリボム
12. REBORN
NEO SHIBUYA TVとのプロジェクトで、3月2日(土)から渋谷の街頭ビジョンをジャックし、気鋭のクリエイターが手掛けた映像とともに情報を少しずつ匂わせていた今回のライヴ、10年代の東京ストリートカルチャーを牽引する池ノ上のショップMIN-NANOを手掛けるGORO NAKATSUGAWAが今プロジェクト限定Tシャツのデザインを担当するなど、サイサイの元に多彩なクリエイターが集結して行われた。インスタグラムなどのSNSを駆使し、「今までとは違うサイサイ」をテーマにジワジワと進行する異色のプロジェクトは、この時点でインパクトは十分だろう。
2週間にわたり映像を通じて彼女たちが提示してきた謎をいち早く解明し、貴重なライヴチケットを手にした感度の高い400名のファンの熱気とともに、この日の会場はプライマル・スクリームがガンガンに流れ、ステージはボタニカルな装飾で彩られるなど、いつものサイサイのライブとは明らかに異なるムードだ。定刻20時が過ぎてしばらくすると、「恋のエスパー」をモチーフにしたシンフォニックなSEとともにステージ上にはスモークが立ち込め、メンバーが定位置につく。
そして、すぅ(Vo./Gt.)がギター1本で切なげに歌い始めた曲は、『31313』収録のエモーショナルなロックチューン「クリームソーダ」。この日は、彼女たちの衣装も普段とは異なるもので、着ているものこそ今回の限定Tシャツだが、プロジェクトに関わるクリエイターがさらに"リミックス"を施し、全く新しいワードローブに極限まで変形させたのだ。ヘアメイクアーティスト喜多村拓矢とフジワラダイスケによる斬新でエッジーなヴィジュアルも異彩を放っていて、これもまた「今までと違うサイサイ」。そんな4人の姿に一瞬驚いた様子を見せた観客もすぐに拳を突き上げ、手を打ち鳴らし、熱量を高めていく。
「クリームソーダ」が終わると、間髪入れずに同じく新作から「Attack」を叩き込む。あいにゃんのよく動くベースラインが演奏を引っ張り、ひなんちゅのドラムがグッと前に出てくる。「女子校戦争」が始まるとフロアの盛り上がりはより一層高まった。いつもと雰囲気の違うライブ、そして東京では久しぶりとなる小箱でのライブとあってメンバーもどことなく緊張しているように見えるが、ライブでの鉄板曲を鳴らすことでいつもの調子を徐々に取り戻していった。
「今日、この場所をみつけた強者のみんな!」とすぅがフロアを埋め尽くした観客に短めのあいさつを告げたあとは「milk boy」に突入し、疾走感、キャッチーなメロディ、とことん楽しいサウンドを兼ね備えた楽曲に、観客はさらに前のめりになっていく。現在のところ最新シングルとなっている「Go Way!」もすっかりライブの定番になり、サビや間奏でのシンガロングや合いの手が一体感を高める。これでもかというぐらいキラーチューンを放り込んでくる今夜のライブは、実験的であると同時に、実はサイサイの王道だったりもするのだ。
ここまでほぼノンストップで曲をつなげてきたが、中盤にきてようやくすぅがゆっくりと話を始めた。「アルバム、聴いてくれましたか?かなり長い時間をかけてゆっくりゆっくり愛情を込めて作り上げました」と『31313』の制作について振り返ったあと、「いろんなバンドやアイドルが活動を止めている中、こうやって1人でもお客さんがいるってことは幸せなことなんじゃないか」と10周年イヤーに突入する自らのバンドを誇ってみせた。
そして、サイサイの今後について「賛否両論って言葉が本当に似合うバンドだけど、私たちは私たちを信じてくれる人を信じたい。(サイサイは)好きなときに好きなことをやってるだけなので、みんなも好きなときに遊びに来てください!」と強気な発言で喝采を浴び、「無重力ダンス」で後半戦をスタートさせた。『31313』収録のこの曲は、去年末に初披露されたサイサイ得意の4つ打ちポップロックチューンで、日に日に存在感を増していくあいにゃんのベースラインが実にファンキーだ。
既に新たな人気曲の座を勝ち取った「無重力ダンス」の勢いそのままに、「ODOREmotion」「フジヤマディスコ」と畳み掛け、1時間という短い演奏時間を惜しむかのように、今のSILENT SIRENをギュッと凝縮していく。この10年近くの間、いくつものターニングポイントを迎えた彼女たちだが、レーベル移籍後の4人を支える新たなエンジンとなったのはこの「フジヤマディスコ」だ。それは今日も含めたこれまでのフロアの盛り上がりが証明している。曲に合わせて、ゆかるん(key.)のジュリ扇が鮮やかに揺れる。2月の先行配信からあっという間にファンの心を掴んだ「恋のエスパー」では、盛り上げ隊長・ゆかるんの振りに合わせて踊るファンが続出し、それ以上の盛り上がりを見せたのが「チェリボム」だ。曲の中盤では両サイドからあいにゃんとゆかるんが飛び出し、観客を煽る。この曲で大団円を迎えたかと思いきや、この日の最後を締めくくったのは、新作からの切ないミドルチューン「REBORN」。少々意外だったが、これもまた今日という特別な日ならではの選曲だ。集大成的なライブでもない。レコ発ツアーでもない。
サイサイの4人が仕掛けた、3月15日の幸せなハプニングは、終わり方も突然だった。曲が終わると4人の演奏と入れ替わりに爆音のノイズが場内に鳴り響き、その中を満面の笑みを浮かべたサイサイメンバーが花びらをステージ上からまき散らす。花びらは2階からも絶え間なく舞い降り、気付けば4人の姿はステージから消えて、耳をつんざくノイズは唐突に止み、それと同時に観客は60分にわたる夢から覚めたのである。
3月21日の横浜BAY HALLを皮切りに、アルバム『31313』のレコ発ツアー『SILENT SIREN LIVE TOUR 2019「31313」〜サイサイ、結成10年目だってよ〜 supported by 天下一品』がスタートとなるので、ぜひ足を運んでみてほしい。
photot by 上飯坂一
【セットリスト】
1. クリームソーダ
2. Attack
3. 女子校戦争
4. milk boy
5. Go Way!
6. 八月の夜
7. 無重力ダンス
8. ODOREmotion
9. フジヤマディスコ
10. 恋のエスパー
11. チェリボム
12. REBORN