『氷艶』の第二弾は源氏物語! 宮本
亜門演出、高橋大輔が光源氏に

ストーリー仕立てのアイスショー『氷艶 hyoen2019 -月光かりの如く-』が、2019年7月26日(金)~28日(日)に横浜アリーナで上演される。その記者会見が2月25日(金)に行われ、演出を手掛ける宮本亜門のほか、出演する高橋大輔、荒川静香、柚希礼音、福士誠治が登壇した。
『氷艶』は歌舞伎とフィギュアスケートがコラボレーションした演目で、2017年に第一弾が公演されると約4万人を動員した。第二弾となる本作では、世界最古の長編小説と言われる『源氏物語』をテーマに、宮本が演出を、高橋が主演を務め、幻想的な世界観を展開する。『東京2020オリンピック・パラリンピック』が近づく中で、日本文化が世界中から注目を集めていることもあり、今回スポーツと日本文化が融合したショーが行われることになった。
本公演には高橋や荒川のほかにも、織田信成、村上佳菜子、鈴木明子、ステファン・ランビエル、ユリア・リプニツカヤなどのスケーターが出演する。さらに、西岡徳馬や波岡一喜といった豪華俳優陣も登場。アーティスティックコンサルタントは前回同様にVOGUE JAPANが務め、今回も豪華な衣装が見られることだろう。
なお、テーマ曲はB'zのメンバーでもある、ギタリストの松本孝弘が務めることになった。タイトルは演目名と同じ「月光かりの如く」で、和の要素をそなえたロックサウンドとなる。
■それぞれの役所
光源氏のイメージを話す高橋大輔
源氏物語の主人公である光源氏は、作中で孤独の中に取り残され、切ない恋を体験する。髙橋はこのキャラクターを演じるにあたり、以下のようにコメントしている。
「見た目的に光源氏っぽくないなというのはありますね。顔が濃すぎるかなと(笑)。綺麗系な人が演じるのがいいのかなとは思いますが、そこは演技でカバーしようかなと思っています。ただ、光源氏は“孤独”という要素があるので、そこの演じ方というのを、自分の中で探り探り表現できればなと思っています」
光源氏を演じる高橋に、期待を寄せるコメントをした宮本
それに対して宮本は「僕の思う高橋さんのイメージは、いい意味で影がある方だなと」とコメント。
「アスリートの集中力というのはもちろん凄いのですが、その中に影と切なさ、そして人が近寄りがたい“何か”があって、それが光源氏にぴったりだなと思っています。単にプレイボーイとかではなく、もっと奥深いジワっと心に染みるような、高橋さんの光源氏を見たいと思っています」と期待を寄せた。
荒川静香は自分と同じ母親ながら、欲のままに生きる弘徽殿女御を演じる
一方、荒川静香は息子を帝にしようとする弘徽殿女御を演じる。同じ母親として共通する部分はあれど、己の欲のままに生きる役に対して、難しい部分があると話した。
「皆さんが思い描く母親像の1つに当てはまるのかを考えながら、ストーリーが展開していく上で重要な心情ですとか、色んな部分を表現していかなければいけないなと。そこに実際に母親である視点が役に立つのであれば、存分に活かしていきたいと思います。ただ、私の息子がまだ0歳なので、実生活の母親を演じるというよりも、先を行くものを垣間見ながら演じるのかなと思っています。お母さんが演技を見たら共感するのか、しないのかというところも楽しみにしながら、氷艶を見ていただければと思います」
公演でスケートを滑る事を公言(?)した柚希礼音
柚希礼音は海賊の長となるために、男として育てられた松浦を演じる。かつては宝塚歌劇団でも男役を演じた柚希は、「女として産まれながら男として育てられたというのは、宝塚を経験して自分なりに学んできたこと。大いに活かしてやっていきたいと思っています」と話していた。
「それだけでなく、光源氏に恋をしたけど、女という事を打ち明けられない女性としての切なさ、葛藤もお見せしたいです」(柚希)
また、今回が初となる氷上での表現については、「運動神経はいい方なのですが、スケートは中学生以来となるので、先日試しに滑ってみたところ、こんなにもできないのかという感じでした。本番までにたくさん稽古をして、スケートリンクの上でも表現ができるようになりたいです」と話していた。
これに対して、すかさず宮本からは「楽屋では相当怖がっていた」とツッコミが。「僕は滑ってくださいとお願いしているんですけど、今(本番で滑ると)宣言しそうになっていたので」と、当日の滑りに期待を寄せている。
宮本からの無茶振りに驚く福士誠治
同じくスケート初心者である福士も、「滑れなかったら滑らない方法を考えていただいて」と、半ばあきらめムードで宮本にお願いしていた。ただ、「大人になると転んだらどうなるかというのを体が知っているので、硬直してしまうんですよね。それを克服するために稽古をしていけたらいいなと思います」とも話している。
現段階でまだ脚本は固まっておらず、何が起こるが演者も詳しくは知らされていない模様だった。宮本がさらに「実際にはセリフを滑りながらやっていただく。歌も歌っていただきたい」と話すと、「歌ですか」と福士が反応。それに宮本が「ダメですか?」と返すと、「ダメですよ。“地に足ついて生きていく”というのがテーマなんですけど、一番地に足がつかない感じがあるので、そこから頑張っていきたいなと」と改めてスケート克服への思いを話した。
総じて今回の記者会見は、第二弾の公演に向けて、新たな取り組みが今も水面下で動いていることを予感させた。宮本は今回の公演が最高の作品になる事を約束し、「氷上での壮大なエンターテイメントとして、新しい舞台を作りたいと思っているので、皆さんに色々なことをやっていただきたいと思っています。本番はいい意味ですごいことになると思います」と語っている。
宮本が出演?? 福士はオリンピックに出場!?
最後に今回登壇した演者が、それぞれ意気込みを語った。
「アリーナそしてフィギュアスケートの演出をするのは初めてです。この話は外伝ではありますが、現代人が面白おかしく楽しんで、最後には涙を流すような素晴らしいドラマを、氷上で展開したいと思います。ぜひ皆さん会場へ足を運んでください」(宮本)
「氷艶は今回で2回目なんですけど、氷の上で他の分野の方々と共演するアイスショーは、他にないと思います。日本文化を表現できるのは日本人ならではだと思いますし、西洋のスポーツであるフィギュアスケートを、逆に日本から発信できるのではないかなと思うので、色々な方に知っていただければと思います」(高橋)
「ミュージカルであったり、オペラであったり、国によって色々なやり方をして魅せるアイスショーというのはあるのですが、日本で宮本亜門さんに演出していただくこのアイスショーで、日本人の心にしみる作品になるように精一杯頑張りたいと思います」(荒川)
「素晴らしい皆様と共演できることに感謝と、宮本亜門さんの演出作に出てみたかったので、そこにも感謝しています。スケートを滑っているかはわかりませんが(笑)、お稽古をして挑みます」(柚木)
「ここに自分がいることが信じられない感じなんですけど、せっかくスケートという世界を体験させていただくので、オリンピックも近いですし、僕もどうにか組み込めるように頑張っていけたらなと(笑)。そのぐらいの意気込みで練習をして、氷艶という世界を表現できたらなと思います」(福士)
なお、その後に会場では前回に十代目松本幸四郎(公演当時は市川染五郎)が自ら滑ったことを受けて、記者から「宮本さんも滑るのですか?」と質問される一幕もあった。今回は裏方に徹して、表舞台に出るのはこれが最後と話していたが、果たして宮本亜門が初めて演じるアイスショーがどのような展開を見せ、その中で高橋大輔ら演者がどのような演技を見せるのか。約5か月後のアリーナを見るのが、今から楽しみだ。

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