オメでたい頭でなにより、初全国ワン
マンツアー開幕。フロア満杯の多幸感

オメでたい頭でなによりにとって初となる全国ワンマンツアーが、2月9日に千葉LOOKで初日を迎えた。オフィシャルからのレポートをお届けする。
この日の天候は雪であったが、白く彩られていく街の風景を眺めていると自ずとテンションも上がる。会場に到着すると、たくさんの観客がワクワクした様子の表情を浮かべていた。ソールドアウトしたチケットを幸運にも手に入れた人々が仲良くひしめき合っているフロアのムードは実に和やか。そして、ライブをゆっくり楽しみたい人のために全会場で用意されているエリア、通称“デリケートゾーン”が異彩を放っていた。公演によっては子供連れの観客のための“大五郎シート”も用意されるらしい。“大五郎シート”は、息子の大五郎を連れながらさすらいの旅に出る侍を描いた『子連れ狼』が名称の由来なのだろう。幅広い層が楽しめるための工夫を凝らしつつ、ネーミングにも遊び心を発揮するところに、このバンドならではのセンスの良さを改めて強く感じた。

開演前に流れていたのは、ラジオの深夜放送テイストの『オールナイト会場』。軽妙なトークが観客を爆笑させたひと時を経て迎えた開演。ミト充(Dr)、mao(Ba)、324(Gt)、ぽにきんぐだむ(Gt & Vo)が現れる毎に熱い歓声が起こった。そして、オリジナルグッズのタオルを広げて赤飯(Vo)も登場。ついにライブがスタートした。
今後もツアーは続くのでネタバレとなる詳述は極力避けるが、先月リリースされた1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』の収録曲はもちろん、代表曲の数々も織り交ぜたセットリストは、濃厚極まりなかった。メンバー各々の確かな演奏スキルに裏打ちされた爆発的なサウンド、多彩な声色と歌唱法を絶妙に絡み合わせる赤飯&ぽにきんぐだむによる黄金のコンビネーションが炸裂したことにより、フロアは瞬く間に興奮状態に包まれた。しかし、たくさんの笑顔がきらめいていた風景は平和そのもの。“思いやりをぶつけ合う”ということをモットーとしているオメでたい頭でなによりのライブならではの空間が、序盤の時点で既に生まれていた。

「思惑通りにいってない曲があるんです。アルバムが出てすぐにいろんな企業さんからオファーが来ると思ってたんですけど。由々しき事態ですね」と、途中のMCでぼやいていた赤飯。『オメでたい頭でなにより1』に収録された「鯛アップ」は、企業タイアップに柔軟に対応できるバンドであることを思いっきりアピールしている曲なのだが、今のところ目立った反応は得られていないらしい。しかし、彼らはこの状況を打開するために、“勝手にご当地タイアップ企画”を用意してツアーに臨んでいた。

このプロジェクトは、ツアーで訪れる各地のネタを盛り込んだ「鯛アップ(ご当地Ver.)」のCDを、全12公演毎に制作して販売することを主旨としている。作詞はメンバー全員が交代で担当。324が作詞を手がけた千葉バージョンのCDは、なんと開演前に売り切れたらしい。「買いたかったー!」という観客の声が上がる中、「原曲と千葉バージョン、どっちを聴きたい? 欲張りなやつらやなあ~。両方やっちゃうぞ!」と赤飯が言って披露されたこの2曲の盛り上がりは、とにかくすごかった。山や離島を除くと日本で一番早く初日の出を拝むことができる犬吠崎からの帰り道のしんどさ、犬の形に似ていると言われている千葉の富津岬が想起させるもの、北海道の節分でまくのは大豆ではなくて落花生(落花生は千葉の特産物。北海道は324の出身地)……などなど、千葉県民の笑いのツボを突く粋なネタは、地元の観客にとって最高のプレゼントだったはずだ。今後、各地でどのような「鯛アップ(ご当地Ver.)」が披露されるのだろうか? 期待が大いに高まる。
「今まで“やらなあかん”と思いながらも避けてた部分があって。それが作詞。オメでたを始める時に“笑うてくれたらいいや”と。もともと笑かすのが好きやし、他人を笑かすのが一番かっこいいと信じてやってます。だけど、“あのふざけたバンドでしょ?”って言われることが多くて悔しかった。だから俺、今回、ほんまにちゃんと作詞の勉強をして、しっかりみんなにメッセージを伝えようと思って作りました」──アルバム制作に向かう過程で抱いた想いに触れつつ、このバンドの活動の核を語った赤飯のMCは、とても印象的だった。

「これからもみんなと一緒に成長していきたい。この世は立ち止まってるといろんな不幸が降り注いでくるから、自分で決めて自分でどうするか考えて前に進まないと幸せはやってこないから。幸せの尺度は個人差があるから、俺らが君たちを確実に幸せにするのは不可能だと思う。ただ、俺たちがここで君たちとできること、それは“幸せになろう”という意思を持つきっかけ。このライブがきっかけになればいいなと思って俺はやってる」。この言葉を経て披露された曲たちは、一際感動的に響き渡っていた。
先述の通り、この公演のチケットはソールドアウトしていてフロアは満杯。恒例となっているウォールオブデスやサークルモッシュは不可能だと思われていたが、いつにも増してダイナミックに実現されたのも、このライブの美しかった場面として挙げておきたい。あれは、思いやりをぶつけ合っていた観客と全力で演奏したバンドによる幸福なコラボレーションだったと言えよう。ウォールオブデスでもみくちゃになる状態をお寿司に喩えた「wosushi~ウォールオブ寿司~」は、代表曲のひとつだが、美味しいお餅がつけそうなくらいしなやかなヘッドバンギング、肩こりが一瞬で治るに違いない勢いで振り上げる拳、桜の開花を早めそうなくらいの生命力を放つタテノリのダンスなども、彼らのライブには満ちあふれている。

<オメでたい頭でなにより“1”マンツアー ~今 いくね くるね~>は、まだまだ続くが、赤飯の言葉を借りるならば“幸せになろうという意思を持つきっかけ”を各地の観客のひとりひとりに心をこめて手渡しする日々が重ねられていくに違いない。

text by 田中大
photo by ゆうと。
<オメでたい頭でなにより"1"マンツアー 〜今 いくね くるね〜>


2019年2月9日(土)千葉LOOK ※SOLD OUT
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年2月17日(日)水戸LIGHT HOUSE
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年2月22日(金)名古屋ボトムライン
 OPEN 18:30 / START 19:00
2019年3月9日(土)仙台MACANA ※SOLD OUT
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年3月21日(木)梅田CLUB QUATTRO ※SOLD OUT
 OPEN 17:15 / START 18:00
2019年3月31日(日)金沢vanvanV4 ※SOLD OUT
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年4月4日(木)赤坂マイナビBLITZ
 OPEN 18:00 / START 19:00
2019年4月7日(日)札幌Sound lab mole
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年4月11日(木)広島SECOND CRUTCH
 OPEN 18:30 / START 19:00
2019年4月13日(土)高松MONSTER
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年4月14日(日)福岡LIVEHOUSE CB
 OPEN 17:30 / START 18:00
2019年4月21日(日)松阪M’AXA ※SOLD OUT
 OPEN 17:30 / START 18:00

※全公演チケット一般発売中
・e+:http://eplus.jp/ath/word/97325/
・ローソン:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=318827
・ぴあ:https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=G8220022
・LINE TICKET(関東公演のみ):https://ticket.line.me/artists/10343
※全公演チケット料金:前売り¥3,500(ドリンク代別)/当日¥4,000(ドリンク代別)
※全公演デリケードゾーン完備
※大五郎シート設置予定公演:水戸・名古屋・仙台・梅田・赤坂・札幌・高松・松阪
 事前予約不可・シート数に限りがございます。
 当日ご入場時に会場スタッフまでお問い合わせください。


1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』

2019年1月9日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD) ¥4,800(税込) / PCCA-04733
通常盤(CD only) ¥2,800(税込) / PCCA-04734

CD収録曲(初回限定盤・通常盤共通)
01:ザ・レジスタンス
02:鯛獲る
03:鯛アップ(TVサイズ)
04:日出ズル場所
05:言葉のあやや
06:We will luck you
07:ピ
08:サイレンとジェラシー(オメワン Ver.)
09:終わらない恋からの脱出(妄想LIVE Ver.)
10:歌謡サスペンス劇場〜わたしがやりました〜(オメワン Ver.)
11:HELL”O”
12:チャバシラタッター

■初回限定盤DVD
オメ道楽2018〜鯛獲るレコ発編〜本店
2018年7月16日(月・祝)Zepp DiverCity
01:鯛獲る
02:えんがちょ!
03:憂き浮きウォッチング
04:wosushi〜ウォールオブ寿司〜
05:海老振り屋
06:七夕リアン☆リターンズ
07:歌謡サスペンス劇場〜わたしがやりました〜
08:推しごとメモリアル
09:ふわっふー
10:VIVA!ハピバ
11:ダルマさんは転ばないっ
12:スーパー銭湯~オメの湯~
13:We will luck you
14:オメでたい頭でなにより
15:笑うユメの生活
16:生霊の盆踊り
17:宴もたけなわプリンセス

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