クリエイター直撃『モンスト』リミッ
クスコンテストに込めた思い

▲リミックス参考動画

現在、スマホアプリ『モンスターストライク』のメインテーマ曲を課題とした「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」が開催中だ。コンテストのオフィシャルサイトでは、「リミックス参考動画」として4人のクリエイターによるデモ作品が公開されている。

本コンテストの受付は2019年2月4日(月)までとなっていて、サイト上で提供された「ドラム」と「サックス」のパラデータ(演奏音源)を使用してリミックスすることが唯一のルールだ。ドラムサウンドは五十嵐公太(ATOMIC POODLE/元JUDY AND MARY)が、サックスは武田真治がプレイしたものである。

そんなレギュレーションのもと、プロのクリエイターはどのように料理したのか。「リミックス参考動画」を提供している4人のクリエーターから、DÉ DÉ MOUSEと近谷直之(SHADOW OF LAFFANDOR)に続き、さらなる2人に話を聞いた。
──お二人は普段どういったお仕事をされているのか具体的にお聞かせいただけますか?

早坂匠:株式会社ミクシィのXFLAGスタジオにて、ゲームやリアルイベント、YouTube動画など、XFLAGが手掛けるさまざまなコンテンツで使用する音楽や効果音の制作をはじめ、音声収録や、映像に音を付けるMAと呼ばれる作業、他のクリエイターの成果物のチェックなどをしています。

タニサトシ:主に、動画やリアルイベントなどのサウンド面を担当しており、価値を最大限に高めるためのアウトプットアイディアを考案することをはじめ、スケジュール管理をしたり、どのクリエイターにどんな風にお願いするかを考えたり…など、ディレクション的な仕事もしています。もちろん、早坂と同じく自分で音を作る事もあります。他にも音にまつわる企画を考えたりといった事もやっています。

──DÉ DÉ MOUSEと近谷直之(SHADOW OF LAFFANDOR)とともにデモ作品を公開していますが、リミックスという作業はいかがでしたか?

タニサトシ:今回のコンテストは、提供素材を使用すること以外に縛りがなかったので、どういう曲にしようか考える前に、どうやって作ろうって部分から考えるのも面白いなと思いました。それが、「他のクリエイターとの共作」だったんです。提供素材が生音だったので、僕が作るエレクトリックな要素にもう少し肉厚な質感を足したいというか、温かみのあるエレクトロポップにしたいなと考えて関野元規さん(AstroNotesS)をお誘いしました。ほかの3名と被らないように…という心理ももちろんありました。いろいろ考えた結果、J-POP寄りのアレンジをする人はいないんじゃないかと考え、そういう意味でも関野さんはバッチリかなって思ったんです。

早坂匠:関野さんとは以前からのお知り合いなんですよね。

タニサトシ:そうなんです(笑)。職業柄、いろんな作家さんの作品を聞いてインプットするようにはしています。でも関野さんとこういう形で作品を一緒に作ったのは初めての試みだったので、正直どうなるかわからずドキドキ感はありました。でも、彼はハードウェアのシンセやエフェクターも使って音作りをするので、自分だけではできない面白いものが完成するんじゃないかという期待の方が大きかったです。関野さんはとても多忙な作家さんなのですが、それでも以前から一緒に曲を作ろうというお話をしてくれていて、今回こういう形でご一緒できてよかったです。

──共作の場合、どのように制作を進めるのでしょうか?

タニサトシ:今回は、僕の方でリファレンスを提示し基礎となるアレンジを渡して、そこに関野さんが音を乗せて、さらに僕が音を乗せる…というやりとりを繰り返しながら方向性を固めていきました。自分だけでは思いつかないような、いい化学反応が起きた作品になったと思っています。

──一方、早坂さんはバラードで。
▲早坂匠

早坂匠:まず、今回提供されている五十嵐さんのドラムと武田さんのサックスの音源を聴いたときに感じたのは「素材の素晴らしさ」だったんです。宝箱から宝物を取り出すように素材のデータをひとつひとつ聴かせていただきました。そんな音源の素晴らしさを活かし、鮮度を落とさないようなアレンジにするためにはどうしたらいいのか、また、“デモ作品”なので、ほかの3名がどんな作品を出してくるかをイメージした結果、僕はバラードにしたら面白そうだと思い、そこからは迷わず制作できました。このコンテストの開催が冬なので、こっそり遊び心として「冬の情景を浮かべられるようなものにしよう」という自分の中でテーマを設けました。だから、リミックス参考動画の中で近谷さんに「冬っぽいアレンジですね」って突っ込んでいただけたのが、嬉しかったです(笑)。

──いまではクリエイターとして活躍しているお2人ですが、そもそも音楽との出会いは?

早坂匠:僕は4歳のころからクラシックピアノを習い始めたことですかね。両親が音楽好きで、母は保育士だったのですが、ちょっとピアノが苦手な保育士だったみたいで(笑)、自分の子供にはピアノを習わせようと決めていたみたいです。

──曲を作るようになるきかっけは?

早坂匠:小学校低学年のころに聴いた、『となりのトトロ』の曲とか『ドラゴンクエスト』の曲とかをピアノで弾いてみたりするようになって、自分でもこんな曲を作れたらなと思い始めたのがきっかけですね。そこから見様見真似で作り始めて、いろいろ作っていくうちにピアノだけではイメージする完成形にならない気がして、自動伴奏機能付きのキーボードを買って、そのうちにまた物足りなくなって今度はシーケンサー内臓のシンセサイザーを…。

──バンドがきっかけではなかったんですね。

早坂匠:その後にバンドもやりましたし、ベースをはじめ、いろんな楽器もやりました。でも最初のきっかけはピアノでしたね。タニさんも鍵盤からですよね?

タニサトシ:僕は物心ついたときに家にエレクトーンがあって、それをおもちゃ感覚で触っていたのが音楽との出会いです。でも、小学生の頃からは音楽というよりはゲームにはまりまして、高校のころはゲームのプログラマーを目指していました。

──そこから音楽を作るようになるにはどんな経緯が?
▲タニサトシ

タニサトシ:プログラミングの勉強をするためにパソコンを手に入れたのですが、当時ちょうどDTMのツールが比較的安価で手に入りやすくなってきたころで、それを買ってからはDTMにどっぷりはまってしまい(笑)。思い返してみれば、小さいころ『マリオペイント』というスーパーファミコンのソフトをよくプレイしていたのですが、そのソフトの中に簡単な作曲ができるツールがあって、それをずっと触っていた記憶もあり……。作曲にはそのころから興味がありましたね。

──そこからはがっつり音楽に?

タニサトシ:はい。高校時代は自分の幅を広げるためにいろんなジャンルの音楽を聴き漁っていました。自分自身が鍵盤弾きだったので、小室哲哉さんとか浅倉大介さんとか、海外だとDeep PurpleとかEL&Pに興味を持ちつつ、当時CDについているライナーノーツを見て、そこから新しいアーティストを探してみたりとかしていましたね。

──音楽が仕事になったのは、どういうきっかけですか?

タニサトシ:地元の神戸から東京に出てきて、音楽学校に行ったのですが、そこで出会った先生に声をかけてもらって、いろんな仕事をさせてもらったところからです。BGMや効果音制作もしましたし、いろんなレコーディングやライブの現場も見てきました。その後フリーランスを経て、ゲーム開発会社でゲームの中のありとあらゆる音の仕事を経験させてもらいました。そして、今はXFLAGサウンドチームにて活動しています。

早坂匠:僕は高校時代に「音楽を仕事にしたい」という思いが強くなって、卒業後、親元を離れ、京都の大学で音楽理論とDTMを学ぶことにしたんです。結婚式場でPAをしたりフレンチレストランでピアノを弾いたり、いろんなバイトをする中で音楽関係の仕事を紹介してもらえるようになり、CMやアプリの音楽制作など、いろいろやらせてもらうことになりました。卒業後は、アプリの音楽制作をしていたバイト先のゲーム会社へ入社。サウンドクリエイターとして、その後もゲームやエンターテインメントを手掛ける会社に身を置き、今XFLAGで働いています。

──実際にこのリミックスを制作してみて、参加者の方へメッセージを。

早坂匠:このコンテストの話を聞いたとき「すごくいい企画だな」って思ったんです。僕は『ファイナルファンタジー』の楽曲などを作られている植松伸夫さんが大好きで、学生時代に彼のWEBラジオをよく聞いていたのですが、その中でアレンジコンテストがあったんです。選ばれた楽曲についてラジオの中で植松さんがコメントをしてくれるという企画で「こんな最高なことはない」って思って、毎回応募して何度か賞をいただくことができました。ある日、植松さんのサイン会でその話をしたら「君の曲、よかったよ」って言っていただけて、本当にうれしかったことを思い出しました。このコンテストに応募するだけで、12人の豪華審査員の耳に届くなんて、とってもすごいこと。こんな面白い取り組みに、参加しない手はないと思います。たくさんのご応募お待ちしています!

タニサトシ:ミクシィはコミュニケーション創出カンパニーです。このコンテストを通じて、音楽を軸としたコミュニ―ケーションの場ができたらと考えています。今回僕が出したデモ作品では“共作”という形で、ある意味それを体現できたんじゃないかと思っています。みなさんも、たとえば「打ち込みは得意だけどギターは弾けないからアイツに弾いてもらおう!」と声をかけてみたり、それぞれの特性を活かして、仲間と作ってみるのもいいかもしれないですよ。このコンテストは最優秀賞とかはなく、各審査員がいいと思ったものが選ばれます。大切なのはクオリティだけではないと思うので、ぜひいろんな音楽を聴かせてください。もしかしたら、次に僕と一緒に作品を作ってくれる人がこのコンテストの応募者の中にいるかもしれないって考えると、すごく楽しみですね。

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