【あいみょん インタビュー】
自分は作家。
歌詞はいくらでも書ける。
昨年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場し、「マリーゴールド」を熱唱したあいみょん。さらなる注目が集まる中、ニューアルバム『瞬間的シックスセンス』を発表する。直感を信じて駆け抜けた一年を振り返り、アルバムについて語ってもらった。
2018年はどんな一年になりましたか?
たくさん“おめでとう”を言ってもらった一年で…でも、ほんま一瞬やったんですよね(笑)。それくらい充実した一年を過ごさせていただいて。出会いも多かったですし、新しいこともいろいろさせていただいて、毎日常に何かやってました。そういう中で考え方は結構変わったなって思って、止まることなく作品を作りたいっていう気持ちは、やっぱり自分が作家やからやなって思うようになりました。シンガーソングライターでもあるけど、それも全部ひっくるめて作家やから、特に歌詞はいくらでも書き続けられるなって。2018年は曲をめっちゃ作ったんですけど…いや、曲自体は40曲くらいしか作ってないか。
それでも十分多いですけどね(笑)。
自分的には少ないですね。まぁ、曲のストック自体はまだ200曲以上あるので、アルバムを作ることに関しては産みの苦労みたいなのはまったくなかったんですけど、2018年は映画をはじめとした書き下ろしの曲が多かったので、“台本を読んで書く”とか、そういう工程があって、前とは違うアルバムの作り方になりました。でも、私の楽曲を作る能力を信頼して頼んでくれるのは、ほんまありがたいなって。私は音楽自体を“作品”として作ってるので、それがもうひとつの“作品”とくっ付いて最強になる感じがするんですよね。2017年は劇中歌も作って、それって台本の一部として私も映画に入り込んでるってことだから、私の作家的な部分を見てくれてるのは嬉しかったです。
今作の“瞬間的シックスセンス”というタイトルの由来は?
アルバムの制作に入る前から“このタイトルにしよう”って決めてました。2018年は瞬間瞬間がすごく大事で、迷ってる暇がない状況やったんで、感覚でいくしかなかった気がして。あと、芸術は第六感が大事やなっていうのも思ってて、五感だけでは産めへんものがあるというか、もの作りに関しては自分の第六感が働いてる気がして。なので、前作は青春の興奮からできた曲たちが入ってたんですけど、今回は瞬間の第六感からできた曲たちが入ったアルバムになってます。
動き続けて、ちゃんと結果も付いてきたからこそ、このタイトルを掲げることができたとも言えそうですね。
目に見えてTwitterのフォロワーも増えましたからね。2017年の1月は3万とかだったのに、2018年12月には47万人。どんだけやねん!(笑) SNSに否定的な意見も目に付くけど、私はSNS時代のアーティストで良かったって思います。そもそもTwitterで声を掛けられてデビューしてるし、若い子のファンが付いてくれると拡散力もすごいじゃないですか。そこから自然と渦ができたっていうのはすごく良かったなって。
でも、それってやっぱり中心に優れた楽曲があったからこそ起こった渦だったと思うんですよね。中でも「マリーゴールド」は非常に大きな台風の目だったというか。
シングルを出した時の取材で“この曲が自分の代表曲になればいい”みたいに言わせてもらって、わりとその通りになったというか、2018年は「マリーゴールド」の一年やったなと思うんで、自分から発言するのも大事やなって。
それもシックスセンスを感じますよね(笑)。
“この曲が理解されへん世の中やったら、私は音楽できひん”ってずっと言ってましたからね(笑)。
サウンドプロデュースにはシングル曲でお馴染みの田中ユウスケさんをはじめ、関口シンゴさん、トオミヨウさんというお馴染みの名前が並んでいますね。
関口さんにはチャレンジしたい曲を投げることが多くて、今回だと「二人だけの国」は『失楽園』がモチーフなんですけど、《運命共同体同士》っていう歌詞の字面が良くて、一直線に歌ってみたらお経っぽくなりました(笑)。トオミさんは私がただのファンなんですけど、特にバラードがすごい。「ひかりもの」で初めて生のストリングスカルテットを入れてもらって感動しました。
「ひかりもの」はどういうきっかけで書いたんですか?
感情的になって曲を書くことってあんまりないんですけど、珍しく感情的になって作った曲です。2017年の大晦日にちょっとショックやったことが起きて、人とのつながりを考えさせられたりして。今となっては結果オーライなんですけど、その瞬間は自分の中で何かがプツッと切れた気がして、変に感情的になっちゃって。23歳になって、昔からの友達とか家族は近くにおらんくて、怒られることも泣くことも少なくなったけど、あっけらかんと笑ってればいいことで、まだ自分が傷付くんやってびっくりしました。でも、感情を爆発させることも大事やなって。それで曲が生まれたわけやし。
ラストはアイゴンこと會田茂一さんがサウンドプロデュースの「from 四階の角部屋」で締め括られていますが。
「from 四階の角部屋」は一発録りで、私が今までリリースした中で一番短い曲(笑)。最初は《夜は長いから》って歌う「満月の夜なら」で始まって、「GOOD NIGHT BABY」で終わる曲順にしようと思ったんですけど、「from 四階の角部屋」は他に置きどころがなくて(笑)、最後にきょとんで終わる感じも面白いかなって。
アルバムリリース後の2月18日には、日本武道館での弾き語りワンマンが控えていますね。
大きい会場でも近い距離感でやりたくて、それができるのはシンガーソングライターならでは、弾き語りならではだと思うんです。日本武道館はでかいからこそ、初めて立つなら絶対にひとりが良かったので、実現できてすごく嬉しいですね。
取材:金子厚武