MUCC×DEZERTの“容赦なき兄弟喧嘩”
ツーマン東京公演初日オフィシャルレ

1月15日、16日に恵比寿LIQUIDROOMで開催されたMUCCDEZERTのツーマンライブ『MUCC✕DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019』東京公演の、初日のオフィシャルレポートが到着した。

容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩が、いよいよ東京の地でも繰り広げ始められることとなった。
この年明けから福岡、大阪において連戦が展開されてきた『MUCC✕DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019』は、そもそもDEZERTの千秋がMUCCの逹瑯に「一緒にツアーをやりませんか」と自ら持ちかけて実現したという完全アーティスト主導型のツーマンツアー。もちろん、DEZERTからしてみればMUCCは大先輩にあたるバンドであり、近年は互いの主催するイヴェントにて競演する機会などが増えてはいるものの、その大先輩の胸を借りるどころか、胸ぐらに思い切りつかみかかる勢いで闘いを挑もうというのがDEZERT側の思惑であることが、このツアー開始前からまさにフロントマン・千秋の口からも明確なかたちで語られていたのである。
MUCC 撮影=西槇太一
「MUCCは懐が深いよねぇ。俺はそんなMUCC兄さんたちの精神性が好き。そして、好きだからこそボコボコにしたい!」と同時に、その勝負を受けて立つ側のMUCCも良い意味でいつまでもオトナゲナイところを持ち続けてきているバンドだけに、相手が後輩だろうと一切の手加減などしてくれるわけもないのは周知の事実。ちなみに、今回この1月15日の東京初戦公演ではMUCCが先手を打つことになっており、まずはその1曲目からして最高にふるっていた。生きる意味について深く謳いあげる讃歌「リブラ」を、ライブバンド・MUCCとしての貫録たっぷりに冒頭からいきなりブチかましてみせたのだ。ワンマンライヴでいう佳境部分にあたるようなところを、ツーマンのセットリストの中へふんだんに盛り込んでくる戦略と、それをキレ味の鋭い演奏や歌で聴衆を圧倒していく手腕はやはり流石の一言。
MUCC 撮影=西槇太一
MUCC 撮影=西槇太一
「もしかすると、今日がライブ初めっていう人もいるのかな? 今年もよろしくお願いします! という感じで、DEZERTと廻っておりますMUCCです。東京に帰って参りました! 楽屋では千秋に「今日の調子はどうなの」と訊いても「普通」としか答えてくれませんでした。そして、大阪で千秋に送ったLINEの既読は結局今日の入りの時までつきませんでした。そんな感じで和気あいあいとツアーをやってますので(笑)、今日も和気あいあいとやっていければと。よろしく!」
MUCC 撮影=西槇太一
MUCC 撮影=西槇太一
常にマイペースで、相手が先輩であってもコビヘツラウことをしない千秋の行状が逹瑯によって暴露される一幕もありつつ(笑)、MUCCは後半戦においても堂々たる音と立ち居振る舞いを我々に対して提示し、フロアがサークルピットだらけになった「MAD YACK」、続出するリフトからのクラウドサーフであたりがカオスと化した「大嫌い」、さらにラストでは最新シングル曲「生と死と君」でMUCCならでのは深淵かつ深遠なるサウンドをもって、その場に集った人々を心酔させるに至ったことは言うまでもない。
DEZERT 撮影=西槇太一
正直なところ、あれだけMUCCに本気でやりたい放題にやられた直後に二番手としてステージ上へと躍り出て、正攻法での太刀打ちしようとするには相当な覚悟が必要だったとは思うが、そこはDEZERTも気骨あるバンドだけに決して負けてはいなかった。攻めの姿勢をそのままあらわすかのごとく、年末あたりからライヴで演奏をするようになった「新曲」を挨拶がわりの1曲として演奏をしだしたかと思えば、先ほどMUCCが演奏していた「MAD YACK」がよほど気に入ったのか、「蝶々」ではオーディエンスに対するあおりとして「MAD YACK!」という言葉をやたらと頻発しながら千秋は上機嫌で舞台上を駆け回ってみせる。
それでいて、後半での「遺書。」から最新アルバム『TODAY』のタイトルチューン「TODAY」が始まる場面にかけての流れでは、千秋が素直な本音をぽろりと漏らしてみせる場面もあった。
DEZERT 撮影=西槇太一
DEZERT 撮影=西槇太一
「MUCCどうもありがとう。俺はオトナゲナイあなたたちが大好きだよ(笑)。正直ここ2年間くらいずっとおんぶに抱っこでやってきたけど、MUCCは数少ない心から尊敬出来る音楽家です。このツアー、最高!だから、来年またやろう!!本来なら4日目の最終日とかで言うことを、初日に言っちゃうから俺(笑)。その時まで、ちょっと背伸びしててでもやってみよう。2019年を。前向きでもない、後ろ向きでもない、こんな醜い自分に今日は歌います!「TODAY」!!」
DEZERT 撮影=西槇太一
さて。端的に言えば、この本編までだけでも必見必聴の大充実イヴェントであったことは間違いないものの、この夜についてはアンコールがまた非常に秀逸だったこともここに付記しておきたいと思う。何故なら、今ツアーでの会場限定で発売されているコラボCD、DEZERMUCCの『蟲/ガチャガチャムクムク』が、参加メンバー全員によるセッション形式にて生演奏されたばかりか、唐突にスタンダードナンバー「Stand my Me」のひとくだりがはさまれたり、一方ではMUCCの面々が演奏するDEZERTの「殺意」、はたまたDEZERTの面々が演奏するMUCCの「蘭鋳」までもが飛び出し、結果的にはMUCCにとってもDEZERTにとってもwin-winにしてハッピーな空気感をもって、この容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩はひとまずの大団円、というかたちを迎えることになったからだ。
DEZERT 撮影=西槇太一
「東京の初日からして既にこれだと、明日以降どうなっちゃうのかちょっとコワイですけど(苦笑)。まぁ、楽しいからいいでしょう!!」(逹瑯)
残すところ、注目の大決戦は1月29日(火)と30日(水)の恵比寿リキッドルームでの2公演のみ。最後の最後まで何が起こるか分からない、容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩【MUCC✕DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019】の行く末を、皆様方ぜひともお見逃し無きよう!
取材・文=杉江由紀 撮影=西槇太一
MUCC×DEZERT 撮影=西槇太一

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