タカヒロミヤシタザソロイスト. 20
19年秋冬コレクション - “I LIVE N
OW”のリアリティ

タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)は、2019-20年秋冬コレクションを2019年1月15日(火)にフランス・パリで発表した。
タカヒロミヤシタザソロイスト.としては3度目のショーとなる今回。デザイナーの宮下貴裕にとっては、2009年のナンバーナイン(NUMBER (N)INE)のラストショー以来、10年ぶりのパリでの発表となる。
まず目に留まるのは、シワ感が表情豊かなジャケットやダブルブレストのコートなど、肩や袖、背中のファスナーを開いて着たアウターの数々。アウターのフードにもファスナーが取り付けられており、開いた状態で頭からかぶると、ネックウォーマーのようになる。その構築的な要素は、アウターを着ているというよりは、実用的なパーツを1つずつ身に着けているかのような印象を与える。
特徴的なのは、アウターの上から取り付けられた、リュックのストラップ部分のようなハーネス。前面には、物を吊り下げることのできるDリングやカラビナがあしらわれている。また、アウターのライナーとして、保温素材の「プリマロフト(PRIMALOFT)」を採用。必要な物を身に着け、自身で調節することのできるディテールからは、“身を守り生きる”、サバイバルの要素が感じられる。
創り込まれた造形は、ニットウェアにも投影。襟から裾にかけてのドレープが美しいプルオーバーのハイネックやボレロのように腕をカバーするニットウェア、ダイナミックに編地を切り替え、ビッグサイズのピンやビーズで装飾を施したセーターなどが登場した。
ネイティブ・アメリカンのルーツを持つアーティスト、リーバイ・パタのポエムが随所に散りばめられている。バックスタイルやファブリックに書かれた「I LIVE NOW」の文字、ウェアやフェイスマスクの所々にパッチであしらわれた詩篇は、要素の詰め込まれたウェアの、哲学的なメッセージ性をさらに強めていく。リーバイ・パタの手書きの「I LIVE NOW」の文字が、心に直接訴えかけるようなリアリティを感じさせる。
ブラックを基調としたアウターの下に重ねられたのは、エッグプラントとミッドナイト、そしてミッドナイトにはエッグプラントとサックスブルーが掛け合わされている。ネイティブ・アメリカンの伝統的な柄より着想を得て、デザイナー・宮下の方法論で作り上げたブランケットを、身体に巻きつけるようにしてベルトで固定したルックは、ノマドのようなムードを連想させる。サックスブルーはインナーの他、チェックシャツやベルトにも採用され、重厚感のある雰囲気に明るいアクセントをもたらす。

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