DIR EN GREY薫(Gt)、BAROQUE圭(Gt)、
メリー結生(Gt)、蜉蝣kazu(Ba)、『
Free-Will SLUM』特別鼎談【後編】

DIR EN GREYを筆頭に多くのバンドが在籍するフリーウィルが、事務所/レーベルを挙げてのライブイベント『Free-Will SLUM』を1月13日(日)、14日(月・祝)に新木場STUDIO COASTにて開催した。この一大イベントの開催をきっかけに、フリーウィルを牽引してきたDIR EN GREYの薫(Gt)、BAROQUEの圭(Gt)、現バンド以前から親交が深かったメリーの結生、そしてこの日限りのスペシャルなボーカリストたちを迎えて蜉蝣sessionとして出演した蜉蝣のkazu(Ba)の4人による鼎談が実現。信頼し合う先輩、後輩、仲間だからこそのディープなトーク、後編をお届けする。
■バンドを続けるためには何が必要なのか? 薫が大佑に贈った言葉
――蜉蝣は解散してしまっているけど、長くバンドを続けていく秘訣って何だと思いますか?
薫:いろいろとあるとは思うけど。信頼もそうだし、我慢もそうだけど、続けていくという意識かなと。なんとなくやってる、っていうのはダメだと思う。“続けていくんだ”っていう強い意志が必要というか。kazuは蜉蝣が解散してしまっているけど、辞めるという行為を見つける前に、違う物を見つけられたらいいんだとは思うよね。大佑が亡くなる前に、自分がやりたいことが見つからなくて彷徨ってるって相談してきたから、そのとき大佑に、最終的に何がしたいのかって聞いたんですよね。そしたら大佑は、「蜉蝣がしたい」って言ったんで。何年かかるか分からへんけど、また蜉蝣をやれるときに、蜉蝣の名を傷つけないことをやっていけばいいんじゃない? って言ったんですよね。若い頃に、何も知らない同士で組んだものと同じものは、もう二度と見つからないんですよ。そこを解散させて、また新たにバンドを組みましたって言っても、その時の温度感だったり、メンバーの感覚というところには敵わないもので。だから、今回このイベントに出ている若いバンドの子達にも、そこは絶やさずずっと続けてもらいたいなと思いますね。もちろん、辞めるという決断もすごく辛いことやと思うけど、ちょっとでも可能性が残っているなら、上手く進めて頑張って欲しいなと思いますね。
――薫さん自身、DIR EN GREYをここまで続けてきた中で、もうダメかもなって思ったことってありました?
薫:いっぱいありましたね。もう本当にヤバいかもねって思ったことは、何回もありましたよ。
――それは、同じことで躓く感じですか?
薫:同じこともありますし、違うことで新たにそう思うこともありましたね。
――同じことって、改善されて乗り越えられていく訳ではないんですか?
薫:まあね、意識が違う方向に向いてるときは、改善されていると思っていても改善されていないことってあったりするんですよね。ずっと一緒にいると、ちょっとした細かいことでも積み重なっていくとデカくなっちゃうんで。そういうのを分かってても、見て見ぬ振りをして過ごしてしまったりね。勢いで「んじゃあ辞めろよ!」みたいになってしまうんだろうけど、みんなそこは我慢するというか。でもね、結局5人のパワーなんですよ。1人じゃ絶対にこのパワーは出せない。そこをちゃんと見つめていられるかどうかってことだと思いますね。海外って結構メンバーチェンジって普通にあったりするけど、日本って、メンバーチェンジするとイメージ変わっちゃいますからね。
――メリーは、ここまでやってこれた秘訣は何だと思う?
結生:メリーはメンバーの性格がのほほんとしているから、ガラが一生懸命引っ張ってくれてるところに、他の4人が必死に食らいついていくって感じですね、昔から。そのバランスをずっと続けている感じなんです。ほぼほぼ衝突もなくて。特別すごく仲が良いってことではないけど、沸点もそんなに低くないから、ぶつかり合うことってないんですよね。ここまで続いたから、それぞれの中に責任感みたいなのもあって。自分たちの強みはそこしかないのかなって思えてるくらいですね。
――蜉蝣はどうだった?
kazu:僕らもほとんどなかったですね。曲で意見を言い合うことはありましたけど、ぶつかり合いというより、それはある意味、意見の交換的な部分だったし。性格的にぶつかったこともなかったし。わりとみんな優しかったんで、いろいろとお互いのことを読み取って気遣ってあげられていたし。
薫:仲良かったよな、蜉蝣は。
kazu:そうですね、仲が良過ぎたのかもしれないですね、蜉蝣は。それが逆にバンドが終わってしまった原因だったのかもしれないなって思うところもあって。傷を舐め合っちゃうところがったというか。
薫:あぁ~。
kazu:例えばセールスが落ちてしまっているときも、「大丈夫だよ、俺たちかっこいいから!」って言い合っちゃうみたいな。わりとみんな巣に持ち帰ってしまう感じという関係性だったなと。
――奮起する感じよりも、慰め合ってしまうというか。
kazu:そうそう。
――仲良過ぎでも、そういう方向に向かうということもあるって、すごく不思議な感覚。
kazu:うん、確かにね。あとは、年齢も重ねてきて、将来的な部分での価値観の違いを引き止めることができなかったというのも大きな原因でしたけどね。活動休止でも良かったのかもしれないけど、蜉蝣が好きなお客さんは、それだといつまでも待ってしまうだろうなって思ったし。そんなお客さんの気持ちを思って、敢えて解散を選んだというのはありましたね。完全に幕を下ろした方がいいんじゃないかなと。
――蜉蝣を大事に思うが故の解散ということだったということだよね。BAROQUEはどう?
圭:BAROQUEの場合は本当にいろいろとあり過ぎましたよね。1回解散もしてるし、メンバーが5人から2人に減ってるし。無茶苦茶ですけどね。途中kannivalismになって、それも活動休止してたりするし。ずっと貫き通せてるのは、怜と2人であるってことだけですからね。俺たちに関しては、辞めるタイミングはいくらでもあったというか。でも、なんか、そこで辞めたら逃げることになるという責任感とか、ファンの人の存在の大きさは常に感じてましたね。そこがブレーキになっていたというか。一番大変だったのは、2人になったときだったかな。4人で再結成してるのに、それから2人いなくなるって普通じゃないですからね。その時は、本当にもうダメかなって正直思いましたからね。自分自身の気持ちが追いつかなくなってたというか。ただ続けるというのと、前向きに続けることって、ちょっと違うじゃないですか。例えば、DIR EN GREYがカッコイイのって、常に一番新しいDIR EN GREYが一番カッコイイところだと思うんですよ。それが一番健全だと思うんですよね。僕らも、そうありたいねって怜と言い合って続けられたことがすごく大きかったと思いますね。
――そうだね、BAROQUEに関しては、初期とは音楽性も全く違うもんね。
圭:そう。全然違うからね。ファンからしたら、全く違うものになってしまっているのかもしれないけど、共通しているのは、昔は昔で、その時々に夢中になれてることを必死で追いかけてやれてることなのかなって思いますね。
■ソロ活動の是非と、ボーカリストへの敬意
――そうだね。もう一つ聞きたいのは、ソロ活動をすることに対してはどう考えてます? バンドとして母体のバランスが崩れるからという理由で禁止してるバンドもありますけど、薫さん的には、リーダーとしてメンバーがソロ活動をすることに対しての抵抗はあったりしました?
薫:最初はちょっと抵抗ありましたね。メンバー1人ずつのパワーをバレたくないという理由が大きかったかな。5人で一つになっているから、個々のパワー感を知られたくなかったというか。小っちゃく見えたら、バンドとしても小っちゃく見えちゃうんじゃないかって思って。でも、もう大丈夫かなと思えたというか、やりたいと思うことを無理に引き止めていてもストレスになっちゃうだろうし、DIR EN GREYではできない表現をそこでやれることによって、自分たちの中で空気を入れ替えることができるのであれば、それはそれでありなのかなと思うようにもなったし。
圭:俺のソロはやむを得ずってとこだったからね。怜が病気になっちゃって、いつ復帰できるか見えなかったから、それでやるしかなかったってところから始まったので。でも、すごく大変だったけど、ちゃんと1人で作品を作り上げられたという自信はついたのかなと思ってますけどね。
薫:もうやんないの?
圭:もう歌わないです(笑)。歌うのは本当にもう無理。薫さん歌うとかありですか?
薫:絶対ヤダ、絶対ヤダ。
――2回(笑)。
薫:それくらい嫌だ(笑)。
圭:俺、聴き返さずに、波形を見て直してましたからね(笑)。ホント、自分の声は苦手です(笑)。
――kazuくんと結生くんは?
kazu:俺は無理だけど、結生くんは歌ってるもんね。
結生:歌ってないよ! あれはコーラス。コーラスとメインボーカルは全く別だから! メインボーカルがいて、そこに合わせて歌うのは“歌う”とは言わないと思うからね(笑)。
薫:真ん中に立って、自分の書いた歌詞を自分で歌うとか、絶対に無理だよな! ほんま無理。恥ずかしいよな! ギターとか持ってるから、そこに集中して没頭できてる感じやからね。
結生:分かります分かります! そこの立ち位置、全然違いますよね! それに俺、カラオケとかも本当に無理ですからね(笑)。バンドやってるってだけで、歌が上手いって思われるんですけど、んなわけないじゃないですか!(怒)
薫:あははは。んなわけないわな(笑)。
――絶対今後ないですか?
薫:仮歌とるとかはあるけど、絶対にステージで歌うとかはないですね。絶対。絶対ないです。
結生:薫さんが歌ったら、みんなすごくびっくりするだろうなぁ。絶対にないと思うから。
薫:だよな(笑)。ほんまにボーカリストって尊敬するもん。
取材・文=武市尚子 撮影=大橋祐希
>>『Free-Will SLUM』開催目前鼎談【前編】

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