1月5日(土)@福岡・BARKUP FUKUOKA(MUCC)

1月5日(土)@福岡・BARKUP FUKUOKA(MUCC)

MUCC、ミオヤマザキら出演の
『DREAM × PARADE vol.1』が大盛況

2019年1月5日。世の中が大きく時代を変化させた年でもあった平成。その元号が改元される節目に、数多くのアーティストやロック・バンドを輩出する町であることでも知られている福岡で、新たなライヴイベントが立ち上がった。

このライヴイベントは、福岡県大野城市にある約1500人のキャパシティを誇るBARKUP FUKUOKAが3周年を記念して立ち上げたイベントライヴであり、バンドに限らず、アイドルやダンスグループなどが幅広い層が“音楽”という共通ツールのもとに集まる音楽フェスを目指していきたいという目的を第一に企画されたものであった。

第一回目の出演アーティストとして集められたのは、ロック界では知らない者はいない存在となったMUCC、“ミオラー”なる熱烈な信者ファンも多く、カリスマ的なロックバンドになりつつあるミオヤマザキ、多くのロックレジェンド達がこぞって推奨する期待のロックバンド首振りDolls、メタルサウンドとアイドルを融合させた新ジャンルグループBroken By The Scream、全ての音楽ジャンルをミックスさせ、ロックというジャンルに落とし込んだMajestiCという毛色の異なる5バンドだった。

トップバッターを担ったのは、BARKUP FUKUOKAの最優秀候補として出演が決定したMajestiC。ピアノの刹那的なフレーズをイントロとし、メロウな旋律にヴォーカルのEVEki(イブキ/Vo)が歌を乗せた「誓いが海に星まいて」からライヴをスタートさせた彼らは、1曲目からフロアの熱を上げていった。2曲目に届けられた和テイストを実に美しくロックの中に滲ませた「散りゆく桜」も、“ミクスチャーバンド”と自らを称するMajestiCの象徴なのだろうと感じさせる、頑なロックではない大衆性を持ったロックであった。

中盤では、BARKUP FUKUOKAの最優秀候補という立場から、この日の出演者であったMUCCの「ニルヴァーナ」、首振りDollsの「イージーライダー」、ミオヤマザキの「メンヘラ」、Broken By The Screamの「サヨナラバースデー」のカヴァーを届けるというサプライズで会場と出演者を盛り上げ、2番手のBroken By The Screamへとバトンを繋げた。

バトンを受け取ったBroken By The Screamは、出演者の中では特に異種。最近ではロックフェスにアイドルが出演することも珍しくない時代になったが、メタル系スクリーミングアイドルを名乗るBroken By The Screamが魅せてくれたこの日のライヴは、“異種”を感じさせることのないメタルを武器とした真っ向からの戦いとなった。

バックのゾンビバンドが奏でる爆音の中、4人はステージに登場すると、そのサウンドに物怖じすることなくデスヴォイスとキュートな歌声を交互に絡ませオーディエンスの度肝を抜いた。高音スクリームの雲林院カグラ(ウリインカグラ)、低音グロウルの野月平イオ(ノヅキダイライオ)、クリーンヴォイスの熊埜御堂ヤエ(クマノミドヤエ)と流鏑馬アヤメ(ヤブサメアヤメ)が絶妙なバランスで、デスメタルサウンドを放つ絶対的なスキルを誇るゾンビバンドの上に声を乗せて客席を煽り、彼女たちならではのノリでライヴを盛り上げていったのだった。

「Do・Do・N・Pa!!」では、アイドルらしからぬオールデスヴォイスという完全に振り切った楽曲でオーディエンスを釘付けにし、その後も「サヨナラバースデー」「夢花火」と人気の高い楽曲を畳みかけ、振り切ったパフォーマンスとキュートさで会場を魅了し続けていった。爆音を放つバンドの音に打ち勝つ力強い歌唱と全力を尽くしたパフォーマンスは完全にアイドルという枠を超えていた。この先、何本かの海外公演が決まっているという彼女達の今後の活躍に期待したい。

3バンド目に登場した首振りDollsは、昨年の12月に新たなベーシスト、ショーン・ホラーショーを迎え、新体制となっての初ライヴであった。The Zaniesの「The Mad Scientist」をオープニングSEに用い、ギターのジョニー・ダイアモンドとベースのショーン・ホラーショーが華々しく登場し、少し間を置いてドラムヴォーカルのナオが艶やかな着物姿で姿を現した。3人がステージに揃ったその始まりは、最高のROCK SHOWを約束してくれる前触れに思えた。この時点で、観る者に高揚感を与えられるドラマを描けるバンドはそうそういない。

死と対面して書かれた歌詞がリズミックなロックチューンに乗って届けられる「切花」を1曲目に、間髪入れずにいなたさが漂うロックン・ロールを聴かせる「金輪罪」、猟奇的なギターから乱歩地獄へと引きずり込んだ悍ましいロック「鏡地獄」をたたみかけ、多くのロックレジェンド達を虜にした往年のハード・ロックが漂う「悪魔と踊れ」でオーディエンスとのコールレスポンスを挟むと、ナオのシャウトから、まるで戦車が突き進むような力強い表現力と爆音で我が道を貫いた。

“よく聴け! これが悪魔のギターだ!”

というナオの叫びからジョニーのギターソロが始まるなど(※別曲では歯で弦を弾く歯ギターも披露)、時折、ナオが曲中にプレイへと導く口上を述べるナレーションを挟み込んでいく“見世物小屋”的なライヴの楽しませ方も、このバンドならではの独特な個性。とにかくド派手で楽しいというのが彼らのライヴの在り方だ。

さらに、観る者を驚かせたのはラスト曲「ロックンロール」だ。ここで彼らがオーディエンスに魅せたのは、ジョニーとショーンのギター・ベースバトルだった。うなりを響かせたジョニーのギターと、スラップと強い弾きをもって見せ付けたショーンの凄腕ベースプレイの掛け合いではフロアから大歓声が湧きあがり、ジョニーがスタッフに肩車をされ、フロアでギターソロを響かせたヘルズマウンテンなる彼らの武器に、オーディエンスは驚きながらも全員屈託のない笑顔を見せていたのだった。

“久々に緊張した〜〜〜! 少しでも武道館に近付けた時間になりました! サンキュー! バイバイ!”と、ロックスターでありながら素の言葉を解き放った人間臭いヴォーカルのナオの人間性も、このバンドのカラーなのだろう。

ライヴの最後には、エンディングSEに用いたKISSの「God Gave Rock 'N' Roll to You II」でオーディエンスと共に掲げた両手を大きく広げた。毎回ライヴごとに魅せてくれるこの景色は、自らをロックン・ロールの道に引きずり込んだ偉大なるロックスター達への敬意。今の時代、ここまで歌舞けるロックバンドは他にいない。彼ら首振りDollsの音と存在は、忘れ去られてしまった本当の意味でのギラギラしたド派手なROCK SHOWを彼ららしくいなたく甦らせてくれた最高の時間だった。そして彼らはこの日、確実に初見のオーディエンスの心を奪った手応えを感じたに違いない。

OKMusic編集部

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