イ・ホンギ、3年ぶりソロコンサート
ツアー完走 ラジオDJの夢も叶う

FTISLANDのボーカリスト、イ・ホンギが3年ぶりとなるソロコンサート『LEE HONG GI (from FTISLAND) 2018 Solo Concert in Japan“Cheers”』を開催。3都市5公演をまわり、12月28日の大阪・オリックス劇場でファイナル公演を迎えた。ここでは、クリスマスイブ12月24日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールの模様をレポートする。
「ソロではバンドと異なることをやりたい」と公言するホンギだが、本ライブも12月5日にリリースしたばかりの2ndソロアルバム『Cheers』と、日韓の1stソロアルバム『FM302』、『AM302』のソロ曲を中心に、バラードや事務所の後輩バンド、N.Flyingのラッパー、スンヒョプとのコラボステージ、カヴァー曲など21曲を歌い、FTISLANDとは趣の異なる、ソロ・アーティスト、イ・ホンギの魅力を存分に発揮した。
イ・ホンギ(撮影:ヤマダマサヒロ)
FTISLANDではオープニングからロック全開でガツンとくる曲を持ってくるが、ソロコンサートはまず、「INSENSIBLE」、「雨が降ります」という2曲のバラードで、じっくり歌を聴かせるところから始まった。バンドをバックに時に目を閉じ、時に客席を見渡し歌うホンギの声は、いつにも増して伸びがいい。ボーカル力に定評のある彼だけに、その歌声にたちまち惹きつけられてしまう。
静かな曲を歌い終わり「ソロの僕を見せるために切ない曲でスタートしました。ここからはテンションを上げていきましょう!」と言うと、4人ダンサーが登場してダンスビートの効いたナンバーを3曲続ける。「Be Your Doll」では女性ダンサー2人とからむダンスに入る直前に「恥ずかしいところ!」と自ら申告してテレながら踊ったが、歌っている時のカッコよさと、こういうお茶目な部分のギャップがファンにはたまらないホンギらしさだ。
イ・ホンギ(撮影:ヤマダマサヒロ)
「Kings For A Day」ではファンにコーラス部分を唄わせたり、FTISLANDの楽曲「Champagne」ではコール&レスポンスでオーディエンスとのコミュニケーションを楽しんだり、ホンギもシャウトをしたり、歌いながらジャンプしたりとロッカーの本領を発揮して、束の間、FTISLANDのボーカリストの顔を見せると、ファンもいつものペースでクラップをして、彼の歌に身を任せる心地よさに酔いしれた。
かねてから「ラジオDJをするのが夢」と語っていたホンギだけに、MCコーナーではラジオブースが登場。3年前の初ソロコンサートでも、ラジオをテーマとしたアルバムにかけてラジオDJ風のMCを行ったが、4月まで韓国で長寿ラジオ番組『Kiss the Radio』のDJを1年半の間務めていただけあり、今回の進行はかなりスムーズ。事前にファンから募集した質問を読み上げ、悩みながらもホンギらしい珍回答やアドバイスで盛り上げた。笑いながらきいているときには忘れてしまっているが、日本語でこれだけスムーズなDJができてしまうのは、実はかなりスゴイことだ。「僕の声は特徴的だから、ラジオがピッタリ。自分にしかできないテーマでやりたかった」と、今回もDJコーナーを設けたが、これもソロコンならではのお楽しみのコーナーといえるだろう。
「3年ぶりのソロコンサートだから、ダンス(ホンギ曰く、動き)と、FTISLANDではできない曲を用意しました。次からは、僕がひとりで歌った曲を聴いてもらいます。FTISLANDではロックと明るい曲が多いけど、僕、バラードが得意なんだです(笑)。一言一言に気持ちを込めて歌うので、泣かないでね(笑)」と言って歌い始めたのは、ドラマ『美男<イケメン>ですね』で共に俳優として大ブレイクを果たした朋友、チャン・グンソクの入隊前最後の主演ドラマ『スイッチ~君と世界を変える~』でホンギが歌うOST曲「Raise Me up」。そして、仮面で正体を隠してボーカル力だけでバトルをする番組『覆面歌王』で歌った「中毒になった愛」、韓国ロック界の重鎮たちと路上ライブで旅費を稼ぎながらトルコを旅をする番組『イタカへ続く道』で歌った「彼女の恋人へ」という3曲のバラードを披露。そのあまりの上手さに聴き入り、シンとした会場に「昔はそうでもなかったけど、今歌うと深い感情にすごく共感できる曲。俺も成長したな(笑)。静かだね、笑お! 上手すぎた、俺?」と言って笑わせる。
「次のコーナーは、スペシャルゲストを迎えます!」と迎え入れたのは、事務所の後輩バンド、N.Flyingのリーダーでありラッパー&ボーカルのスンヒョプ。「ホンギ先輩とクリスマスにライブができて、大切な思い出になります」というスンヒョプは、今年の韓国でのソロ活動の際にも、音楽番組でフィーチャリングラッパーとしてホンギをサポート。その韓国活動曲『COOKIES』を含む3曲でコラボを務めた。ホンギの新作アルバム『Cheers』は、多くのラッパーとコラボしているのが特徴のひとつ。そしてもうひとつは、音楽番組やミュージックビデオで初めてダンスを披露したことが上げられるが、『COOKIES』のダンスはもちろん、パフォーマンス初披露となった「COME TO ME」では、女性ダンサーとのペアダンスを見せてファンを驚かせた。また『COOKIES』では韓国活動特有の“ファンコール”を日本のファンが再現。少し驚きながらも、喜ぶホンギの顔が印象的だった。
イ・ホンギ(撮影:ヤマダマサヒロ)
「僕の踊ってる姿、どう? 恥ずかしいけど、慣れてきた(笑)」と、笑顔を見せるホンギ。「僕はよく、SNSに皆さんが書き込んでくれるコメントを読むんだけど、“なんでホンギは、他の韓国アーティストみたいに愛してるってファンに言わないの?”ってコメントがあるんです。僕はお母さんにも“愛してる”って言わない。皆さんに伝えたい本当の気持ちは、“ありがとう”という感謝の言葉で、その100%の気持ちをこの曲に込めました」と言って、新作アルバム『Cheers』の日本オリジナル曲「Thank you」を熱唱したが、この曲はぜひ、歌詞を読み返してほしい。「メリークリスマス、イブ!」という言葉とクリスマスらしい鈴の音で始まったホンギのクリスマスソング「Miss X-Mass」では、「一緒に歌おうか」と、サビをファンに歌わせる。その声を聞いて「ありがとう!」と3階まで見渡して柔らかな笑顔を見せると、両手を広げ「メリークリスマス!」と叫んだ。本編の最後は、アルバム『Cheers』のリード曲「Pathfinders」で締めくくり、ミュージックビデオで大きな話題となったダンスを生披露して沸かせた。
アンコールでは、ホンギらしさが爆発するロックバラード「YELLOW」を1曲目にもってくると、サビの“You Are My YELLOW”をオーディエンスが大合唱し、FTISLANDのライブさながらの盛り上がりを見せた。「この曲を絶対にアンコールの最初に聴かせたかった」というホンギ。「夏頃、作曲に行き詰まってって気分が落ち込んだんです。そんな時って、誰かに話をきいてもらうだけで心が軽くなるじゃないですか。僕は太陽(YELLOW)に話をきいてもらってた。それにプリマドンナ(FTISLANDのファンの呼称)の色もYELLOW。お互い、話をききあえる関係だと思ってこの曲を作りました。この曲、大好きなんです」と本心を吐き出すと、最後は手拍子とファンの大きなコーラスの声で一体となる明るいロックバラード曲「GOOD NIGHT」で締めくくったが、FTISLANDの“やりきった感”とはまた違う、なんとも暖かな雰囲気でクロージングを迎えた。
イ・ホンギ(撮影:ヤマダマサヒロ)
そのライブ力と、ロックボーカリストとしての実力が評価されているイ・ホンギ。しかし、こうやってソロ・アーティストとして、バンドとは違ったボーカル力、ライブ力を見られるのはうれしい限り。どんな曲を歌っても、彼の“心を伝える歌”は変わらない。日々、さまざまなジャンルの歌に挑戦し続けるアーティストでありボーカリスト、イ・ホンギが堪能できたソロライブだった。
イ・ホンギ(撮影:ヤマダマサヒロ)
なお本ライブは、2月14日にフジテレビTWO/TWOsmartで放送予定。そして、本体であるFTISLANDとしては、2月12日の大阪・グランキューブ大阪、2月13日の岐阜・長良川国際会議場、2月15日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで入隊前最後のファンミーティング『THE PRIMA TV SHOW starring FTISLAND』を開催。また、2月27日にはライブDVD/BD『Autumn Tour 2018 -Pretty Girl- at NIPPON BUDOKAN』もリリース予定。入隊が迫ってはいるが、「俺らはギリギリまでライブをする!」というホンギの言葉通り、2019年もFTISLAND、そしてイ・ホンギのロック魂は止まらない!
(文:坂本ゆかり)

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着