【LUNA SEA ライブレポート】
『LUNA SEA LUNATIC X’MAS
2018-Introduction to the 30th
Anniversary-IMAGE or REAL』
2018年12月22日
at さいたまスーパーアリーナ
今回の2デイズはLUNA SEAの歴史を体感するライヴということで、果たしてどんな景色が観れるのだろうかと、開演前から普段とは違うソワソワとした空気が漂っていた。そんな中、中央の幕に『IMAGE』のDVDジャケットのビジュアルが映し出され、当時のツアーでSEとして使用されたケイト・ブッシュの「Babooshka」が流れてきて、客席からどよめきが起こる。SUGIZO(Gu)のギターがうねりをあげ、真矢(Dr)のシンバルが鳴る。スタート曲はオーディエンスの多くが予想していた通り、当時と同じくお馴染みの「Déjàvu」。被っていたフードを取ったRYUICHI(Vo)は銀髪のエクステを編み込んでいた。スクリーンに映し出されると、最初から瞳がいつも以上に鋭い。
続いてJ(Ba)のベースが突き上げてくる「MECHANICAL DANCE」へと。《毒を風に乗せて狂い咲く》といった退廃的な世界観の歌詞、心をかき乱すシャウトに、オーディエンスは過去へとトリップ。ひとつひとつを見逃すまいと噛み締めながら客席は盛り上がる。RYUICHI は“俺たちもリハーサルから約20年以上トリップして、昔のライヴとかを観て、声を聴いて、うわ、こんな声だ、これ再現するの無理かも!とか思いながら(笑)。でも、進化しているからさ。さいたまスーパーアリーナ、今夜も盛り上がっていこうぜ!”と叫ぶ。きらめくSUGIZOのギターで始まる「IMITATION」は時を重ねてどっしりと重厚感が増していた。さらに25年振りというジャジーなベースとギターが効いた「IN MIND」が甦り「Image」へ。歌詞は非常にシンプルで、サビでは《Image or Real》を繰り返すのだが、RYUICHIの巧みなヴォーカルで惹き込んでいく。
ダークな詞でも広がりを感じさせる「WALL」では、INORAN(Gu)のクリーンな音のギターが心地良く響き、RYUICHIのヴォーカルが風のように乗る。そして、アウトロではINORANに重なるSUGIZOのバイオリンの透明感のある音がオーディエンスを真っ白な世界へ連れて行く。そこから一転、漆黒の「VAMPIRE’S TALK」へ。悲しみの中、RYUICHIの絶叫が響き渡る。5人の演奏が激しくぶつかり合い、緊張感が最高潮に達した。
中盤のドラムソロ&ベースソロの演奏の時、Jはステージの中央でベースを高く掲げた。ライヴの数日前に結成初期からベースを提供して数々のオリジナルモデルベースを共同製作してきたメーカーとの契約が終了することが発表されていた。これまでずっと支え続けてくれた感謝の思いを伝えたい、というJの無言のメッセージが伝わってきた。
RYUICHIは“30年間この5人で走って、1度立ち止まった時はあったけど、その空白の10年もきっとすごく心の深いところでは、つながっていたのかなと思っています”とこれまでの道のりを振り返る。この夜は満月を迎える日であり、その前に幻想的な「MOON」が演奏された。
そして、「Hold You Down」で現在に戻ってくる。2018年はライヴツアー『The LUV-World left behind』から始まり、この曲がオープニングを飾っていたことが思い出される。今も「IMAGE or REAL」の当時と変わらず、新しい作品を作り出してツアーで曲を育てていけているのは、バンドにとって何よりも嬉しいことだろう。さらに2018年は『LUNATIC FEST.2018』を開催し、『イナズマロックフェス』『フジソニックSPECIAL』など音楽フェスにも積極的に参加。ファン以外にもLUNA SEAのパフォーマンスを見せる機会があり、そのたびに5人のカリスマ性や演奏の迫力などに対して称賛の声があがっていたことも記憶に新しい。過去の曲を体感した上で最新曲につながっていくと、LUNA SEAが今の時代にしっかりと根を下ろしているのが分かる。ラストは「TONIGHT」で会場を大いに揺らした。再構築ライヴは単に過去を振り返るだけでなく、まさに“30周年の始まり”へとつながる、LUNA SEAの現在地を教えてくれるライヴとなった。
撮影:LUNA SEA Inc./取材:桂泉晴名
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