Dragon Ash、ACIDMANを迎え
対バンツアーが終幕
Dragon Ashが10-FEET、coldrain、山嵐、HEY-SMITH、MAN WITH A MISSION、ACIDMANといった盟友を迎えて全国を巡ったDragon Ashの対バンツアー、『Dragon Ash LIVE TOUR 「UNITED FRONT」』。今回のツアーでは各バンドから1曲、Dragon Ashにリスエスト曲を募る企画を実施し、アンコールでこの楽曲を披露することとなっていた。
そんな同ツアーが12月21日にZepp DiverCityでファイナルを迎えた。各地で熱演を繰り広げたツアーの最後の対バン相手は、「新世界」で圧倒的なバンドアンサンブルを轟かせて始まったACIDMANだ。ACIDMAN主宰のフェス『SAI』など、これまで幾度となく競演してきた両者だが、Dragon Ash主宰のイベントで対バンを行うのは今回が初となる。
「Dragon Ash、呼んでくれてありがとう。彼らは僕らが学生時代から活動していて、ヒット曲をたくさん生み出してロック畑の凝り固まった土を掘り起こし、新しいことに挑戦し続けている僕らの世代のヒーローです。ファイナルに呼んでくれて感謝します」
大木伸夫(Vo&Gt)のMCの後に満杯の場内から大歓声が沸き起こる。「ストロマトライト」や「スロウレイン」など、緩急織り交ぜた絶妙なセットリストの中、Dragon Ashが『SAI』に出演した際にカバーしたアグレッシヴな名曲「ある証明」でフロアを熱狂させる。その熱も冷めやらぬまま大木が突如ギターをかき鳴らしながら歌い始めたのは、なんと、Dragon Ashのライヴアンセム「百合の咲く場所で」のサビ。「Dragon Ashに捧げます」というMCを合図にダイバーがステージに押し寄せたその突然のシークレット・カバーの披露に、後方エリアでステージを堪能していた観客たちも両手をあげて笑顔で応える。まっすぐな歌声と3ピースサウンドで再現される硬派な「百合の咲く場所で」に、場内の熱気はもはや沸騰状態だ。
「Dragon Ashとは音楽性も違うし、ACIDMANは暗い曲が多いけど、次の曲は世界が終わっちゃう曲ですけど(笑)、持ってる熱いものは同じだと思っています」
大木がそう語った後に披露されたのは、「世界が終わる夜」。誰もがいつか必ず死を迎えるからこそ、今この瞬間を大切に生きる。白い光だけが照らすステージから立ち上るそのエモーショナルな歌と演奏からは、両バンドに共通する熱と魂が力強く溢れ出す。
バンドロゴが大きく描かれたバックドロップがステージ後方に降り落とされ、スクラッチ音が炸裂するDA流EDMビートが鳴り出す。全6公演の宴のラストを飾るDragon Ashの第一声は、DA流のライヴマナーを宣言する「Mix it Up」だ。一瞬でモッシュピットと化したフロア前方に次々とダイバーが押し寄せる。「ROCKET DIVE」では、赤と青のIKÜZÖNEカラーに髪を染めたKenKenがビートに合わせて左足を高く蹴り上げると同時にKjがジャンプ。いくつものステージを経て、HIDEのトリビュート曲はもはやDA最強のライヴチューンと化したことを実感する。
「今回の6公演でいろんなバンドと対バンして交流して、たくさんの宝物をもらいました。これからのバンド人生の糧にして、いい音楽を続けていきたいと思います」
そんなKjのMCの後に披露されたのは、「静かな日々の階段を」。ライヴで得たエネルギーが日々を生きる糧となっているのは、今このフロアで同じ時間と音楽を楽しんでいるオーディエンスも同様だと思う。だからこそ、ハンドマイクで語りかけるように歌うKjの言葉がいつも以上に熱く響いたのは、きっと気のせいではないだろう。
「(今回対バンした6組の中で)ACIDMANは俺らとジャンル的にいちばん遠いと思う。でもチョモランマとエベレストみたいに、ルートは違うけど登ってる山はきっと同じ。たまに峠や分岐点で一緒になればいい。ACIDMANのファンのみなさん、これがミクスチャーロックです。とっても強くて優しい音楽です!」
ミクスチャーロックはジャンルを表す言葉というよりも、さまざまな音楽の要素を貪欲に取り込み、自分たちの世界観を自由に表現する音楽家たちのスピリット自体のことを指すものだと思う。その意味ではACIDMANも、Dragon Ashと同じ精神のもとで音楽を歌い奏でる同志だ。実際、両者は音楽性や表現方法こそ違えど、同世代ということもあり、プライベートでもかなり親交が深い。だからなのか、さっきの恩返しとばかりに「百合の咲く場所で」の途中、Kjの手招きで大木がステージに再登場。二人で共にサビを歌った後、そのまま大木がメインを丸ごと歌わされるという一幕も。さらに会場が一体となってコーラスと掛け声をあげた「Fantasista」では、ACIDMANのドラマー、浦山一悟がKenKenとダンサー陣の手招きでステージに現れ、見事なジャンプを決めてフロアの笑いをさらう。
「俺たちがミクスチャーロックの生き字引なんだよ!」
笑顔でそう叫ぶKjの誇らしげな声がフロアにこだまする。そして、「今が革命前夜。お前らもまだまだ革命前夜」という言葉を合図に「Viva la revolution」がスタート。 かつて、『TMC』や『DSM』といったイベント形式でツアーを行い、ミクスチャーロックの概念を世間に広く波及させたDragon Ash。彼らにとって、フェスやイベントいう異種格闘技は常にバンドに新たな刺激をもたらす最強のカンフル剤だ。共に革新的なロックを追求する6組と重ねた『UNITED FRONT』で得た共感や刺激。それは間違いなく、各々が次のステージへと進む大きな糧となるだろう。
今回のツアーでは、6組の対バン相手それぞれからDragon Ashに演奏してもらいたい曲をリクエストしてもらい、それを各公演のアンコールで披露してきた。ACIDMANからのリクエストは、「陽はまたのぼりくりかえす」。演奏前、ドラムの桜井が広島のフェスでのACIDMANとの馴れ初めを披露した後、フロアに力強く宣言する。
「今回の対バンツアー、とっても楽しかったんで来年も絶対やりたいと思います。みなさんも絶対来てください!」
動と静が共存する美しい旋律と共に、観客のシンガロングがエモーショナルに響きわたっていく。かけがえのない同志や、オーディエンスという心強い味方と共に繰り広げた刺激的な対バンツアーの日々。そこで得た宝物がどう結晶し、花開くのか⁉︎ 永遠の革命児、Dragon Ashの2019年がますます楽しみになってきた。
text by 早川加奈子
photo by TAKAHIRO TAKINAMI、Daisuke Sakai、ヤマダマサヒロ、HayachiN
そんな同ツアーが12月21日にZepp DiverCityでファイナルを迎えた。各地で熱演を繰り広げたツアーの最後の対バン相手は、「新世界」で圧倒的なバンドアンサンブルを轟かせて始まったACIDMANだ。ACIDMAN主宰のフェス『SAI』など、これまで幾度となく競演してきた両者だが、Dragon Ash主宰のイベントで対バンを行うのは今回が初となる。
「Dragon Ash、呼んでくれてありがとう。彼らは僕らが学生時代から活動していて、ヒット曲をたくさん生み出してロック畑の凝り固まった土を掘り起こし、新しいことに挑戦し続けている僕らの世代のヒーローです。ファイナルに呼んでくれて感謝します」
大木伸夫(Vo&Gt)のMCの後に満杯の場内から大歓声が沸き起こる。「ストロマトライト」や「スロウレイン」など、緩急織り交ぜた絶妙なセットリストの中、Dragon Ashが『SAI』に出演した際にカバーしたアグレッシヴな名曲「ある証明」でフロアを熱狂させる。その熱も冷めやらぬまま大木が突如ギターをかき鳴らしながら歌い始めたのは、なんと、Dragon Ashのライヴアンセム「百合の咲く場所で」のサビ。「Dragon Ashに捧げます」というMCを合図にダイバーがステージに押し寄せたその突然のシークレット・カバーの披露に、後方エリアでステージを堪能していた観客たちも両手をあげて笑顔で応える。まっすぐな歌声と3ピースサウンドで再現される硬派な「百合の咲く場所で」に、場内の熱気はもはや沸騰状態だ。
「Dragon Ashとは音楽性も違うし、ACIDMANは暗い曲が多いけど、次の曲は世界が終わっちゃう曲ですけど(笑)、持ってる熱いものは同じだと思っています」
大木がそう語った後に披露されたのは、「世界が終わる夜」。誰もがいつか必ず死を迎えるからこそ、今この瞬間を大切に生きる。白い光だけが照らすステージから立ち上るそのエモーショナルな歌と演奏からは、両バンドに共通する熱と魂が力強く溢れ出す。
バンドロゴが大きく描かれたバックドロップがステージ後方に降り落とされ、スクラッチ音が炸裂するDA流EDMビートが鳴り出す。全6公演の宴のラストを飾るDragon Ashの第一声は、DA流のライヴマナーを宣言する「Mix it Up」だ。一瞬でモッシュピットと化したフロア前方に次々とダイバーが押し寄せる。「ROCKET DIVE」では、赤と青のIKÜZÖNEカラーに髪を染めたKenKenがビートに合わせて左足を高く蹴り上げると同時にKjがジャンプ。いくつものステージを経て、HIDEのトリビュート曲はもはやDA最強のライヴチューンと化したことを実感する。
「今回の6公演でいろんなバンドと対バンして交流して、たくさんの宝物をもらいました。これからのバンド人生の糧にして、いい音楽を続けていきたいと思います」
そんなKjのMCの後に披露されたのは、「静かな日々の階段を」。ライヴで得たエネルギーが日々を生きる糧となっているのは、今このフロアで同じ時間と音楽を楽しんでいるオーディエンスも同様だと思う。だからこそ、ハンドマイクで語りかけるように歌うKjの言葉がいつも以上に熱く響いたのは、きっと気のせいではないだろう。
「(今回対バンした6組の中で)ACIDMANは俺らとジャンル的にいちばん遠いと思う。でもチョモランマとエベレストみたいに、ルートは違うけど登ってる山はきっと同じ。たまに峠や分岐点で一緒になればいい。ACIDMANのファンのみなさん、これがミクスチャーロックです。とっても強くて優しい音楽です!」
ミクスチャーロックはジャンルを表す言葉というよりも、さまざまな音楽の要素を貪欲に取り込み、自分たちの世界観を自由に表現する音楽家たちのスピリット自体のことを指すものだと思う。その意味ではACIDMANも、Dragon Ashと同じ精神のもとで音楽を歌い奏でる同志だ。実際、両者は音楽性や表現方法こそ違えど、同世代ということもあり、プライベートでもかなり親交が深い。だからなのか、さっきの恩返しとばかりに「百合の咲く場所で」の途中、Kjの手招きで大木がステージに再登場。二人で共にサビを歌った後、そのまま大木がメインを丸ごと歌わされるという一幕も。さらに会場が一体となってコーラスと掛け声をあげた「Fantasista」では、ACIDMANのドラマー、浦山一悟がKenKenとダンサー陣の手招きでステージに現れ、見事なジャンプを決めてフロアの笑いをさらう。
「俺たちがミクスチャーロックの生き字引なんだよ!」
笑顔でそう叫ぶKjの誇らしげな声がフロアにこだまする。そして、「今が革命前夜。お前らもまだまだ革命前夜」という言葉を合図に「Viva la revolution」がスタート。 かつて、『TMC』や『DSM』といったイベント形式でツアーを行い、ミクスチャーロックの概念を世間に広く波及させたDragon Ash。彼らにとって、フェスやイベントいう異種格闘技は常にバンドに新たな刺激をもたらす最強のカンフル剤だ。共に革新的なロックを追求する6組と重ねた『UNITED FRONT』で得た共感や刺激。それは間違いなく、各々が次のステージへと進む大きな糧となるだろう。
今回のツアーでは、6組の対バン相手それぞれからDragon Ashに演奏してもらいたい曲をリクエストしてもらい、それを各公演のアンコールで披露してきた。ACIDMANからのリクエストは、「陽はまたのぼりくりかえす」。演奏前、ドラムの桜井が広島のフェスでのACIDMANとの馴れ初めを披露した後、フロアに力強く宣言する。
「今回の対バンツアー、とっても楽しかったんで来年も絶対やりたいと思います。みなさんも絶対来てください!」
動と静が共存する美しい旋律と共に、観客のシンガロングがエモーショナルに響きわたっていく。かけがえのない同志や、オーディエンスという心強い味方と共に繰り広げた刺激的な対バンツアーの日々。そこで得た宝物がどう結晶し、花開くのか⁉︎ 永遠の革命児、Dragon Ashの2019年がますます楽しみになってきた。
text by 早川加奈子
photo by TAKAHIRO TAKINAMI、Daisuke Sakai、ヤマダマサヒロ、HayachiN
【セットリスト】
■ACIDMAN
SE.最後の国
1.新世界
2.ストロマトライト
3.スロウレイン
4.季節の灯
5.ミレニアム
6.ある証明
7.百合の咲く場所で
8.MEMORIES
9.世界が終わる夜
■Dragon Ash
Intro
1.Mix it Up
2.Headbang
3.ROCKET DIVE
4.光りの街
5.静かな日々の階段を
6.For divers area
7.The Live
8.Jump
9.百合の咲く場所で
10.Fantasista
11.Viva la revolution
ーアンコールー
12.陽はまたのぼりくりかえす
■ACIDMAN
SE.最後の国
1.新世界
2.ストロマトライト
3.スロウレイン
4.季節の灯
5.ミレニアム
6.ある証明
7.百合の咲く場所で
8.MEMORIES
9.世界が終わる夜
■Dragon Ash
Intro
1.Mix it Up
2.Headbang
3.ROCKET DIVE
4.光りの街
5.静かな日々の階段を
6.For divers area
7.The Live
8.Jump
9.百合の咲く場所で
10.Fantasista
11.Viva la revolution
ーアンコールー
12.陽はまたのぼりくりかえす