フジロック2018と僕らの5日間戦記を
プレイバック(前編)

2018年の夏はやっぱりフジロックがない
と始まらなかった

2018年も終わりに近づいてきている今日この頃。すっかり冬支度の日々です。毎日のように忘年会に参加しているとやっぱりこの1年を振り返るわけです。とても昔のことのように思いますけども、思い浮かぶはあの夏の苗場。そう、「フジロック2018」のこと。ミーティア編集部ももちろん参加しました。2018年の夏も、フジロックがなければ僕らの夏は始まらなかったんです。今年の夏に思いを馳せながら、そしてまた来年の夏を想像しながら振り返りましょうフジロック2018のこと。

フジロック2019も開催決定!

そんな中! フジロック2019の開催が決定しましたね! もう来年の夏のあんなことやこんなことに胸躍らせることにしましょう!
詳細は文末にて!

稲を植えよ。苗場に出よ。

霧がかった苗場の山々が見えてくると、「フジロックに来たな」という気がしてきます。

とある歴戦のフジロッカーが、「フジロックは田植えのようなものである」と言っていました。1年に1度、そこにすべての標準を合わせ、終わればまた来年に向けて精神と身体のコンディションを整える。そして田植えと同じように、その年と全く同じフジロックは存在しない。ラインナップも異なれば天候にも大きく左右され、アーティストや我々オーディエンスの心身の状態もそれに影響される。ゆえに同じフジロックは二度とない…と。

だから毎回様々な出会いや発見があるわけですね。まぁ他のフェスも往々にして同じ内容が二度はないのですが、驚くほどコンディションの変化が激しい苗場で開催されるフジロックは、控えめに言って次元が違います。北海道とはまた違う意味で“試される大地”。加えて今回はライブのストリーミング配信もありましたから、例年にも増して変化の多かったフジロックでした。
昨年、ミーティアの取材陣は前夜祭があった木曜日の深夜に到着しました。キャンプサイトのほとんどが埋まっており、森の最深部のような場所まで行かねばならず、始まりの段階で心が折れかかったものです。
けれども、今回は違うーー。学習に学習を重ねた我々は、木曜の17時には到着できるよう計画を進めておりました。するとどうでしょう。駐車場の確保、グッズの購入、その他諸々万事がスムーズに進みます。CHVRCHESのTシャツも無事入手し、幸先の良いスタートを切れました。
人気テーマパークの人気アトラクションに並ぶぐらいの時間を、刺すような日の光の下で耐え忍ぶ。
ライター自撮り。帰って来てからも既に二桁回数は着てます。

この調子でテントも良きところで張りたい。遠すぎて寝に帰るのにも勇気が必要だった昨年とは決別し、今年こそは安眠を確保するのである! 意気揚々と寝床を探しておりましたが、移動に便利な場所はやはり埋まっておりました。もはやフジロック参加者(ことさらキャンプサイトを利用する人々)にとって、ステージへとつづく通路付近は一等地。そこはマンハッタンかドバイか。どれだけ準備を整えれば、あの場所に辿り着けるのでしょう。「石油王と庶民の間には大きな川が流れている…!」。そう痛感した瞬間でした。
(経験値が高いという意味で)フジロックセレブの皆様

とは言え、今回は森の長老にならずに済んだわけですから、そこは大きな一歩です。今回の我が家は坂の中腹。寝るときにそこそこ工夫が要りますが、快適です。そして何より、ライブステージからちゃんと帰れる。「休憩のためにテントへ」という選択肢がここまでありがたいものだとは。

色々な意味でハイボリュームなフジロッ
ク前夜祭

前夜祭にも関わらず、すっかり出来上がっているフジロック。花火もドンパチ上がり、レッドマーキーでは「前夜祭…?」と疑いたくなるようなパフォーマンスが繰り広げられておりました。この時点でそこそこ涙腺が緩みます。
FUJI ROCK FESTIVAL’18 – PRE PARTY

修学旅行は本編の旅よりも就寝前の“何やら喋ってる時間”のほうが楽しかった人間なので、フジロックの夜なんてもう「誰が寝るか」状態でした。修学旅行で言う「好きな子を言い合う」に匹敵する大暴露大会が開催されることもしばしば。期間中は苗場の夜空を絶えずレーザーが飛び交っているのですが、話に夢中になっていると闇が白んできて段々レーザーの光が見えなくってくる。初日から寝不足が確定した瞬間でした。
積み重ねられてゆくカップ。ミーティアチームは家から持参したスピーカーで「ジョン・フルシアンテを褒めちぎる会」を開催。

フジロックから世界へ。サカナクション
が見せたレペゼン・ジャパン

さて、フジロックの主役は他ならぬ音楽ですが、このフェスではなおさらその存在感は大きくなります。国内外問わず、アーティストの気合が半端じゃない。今やフジロックは「世界の音楽フェスランキング」の類で度々上位に選出されますしね(ex.世界の最重要「音楽フェスティバル」 3位にフジロックが選出)会場の様子を見渡しても、しっかり音楽を聴きに来ている人が多いように思います。フジロックに合わせたセットリストを組むミュージシャンも珍しくありません。特に今回はYouTubeによって全世界に向けてパフォーマンスが発信されることもあり、ますますその本気度に拍車がかかっていたことでしょう。とりわけ国内のアーティストにとっては文字通り「世界」を掴みに行けるチャンスです。そういうプラットフォーム的な意味でも、今年のフジロックはメルクマールだったと思います。
で、散々前置きを書いたうえで何を申し上げたかったと言いますとですね…。「サカナクションが半端じゃなかった」ってことなんですよ。彼らの単独公演でもお目にかかれないセットリストを組んでおりました。
間違いなく、日没の時間までも計算に入れていたライブ演出。『朝の歌』で始まり、4曲目『さよならはエモーション』あたりまではメロウな曲が続きました。『ネイティブダンサー』が演奏される頃には日もほぼ落ち、そこからのサカナクションは圧巻の一言。ここまで完成度が高いと言葉を超越します。日本語だろうが英語だろうが、圧倒的エンターテイメントの前では無関係。多くの外国人が足を止め、「このバンドは何と言うんだい?」と周囲の人たちに聞いているのを見かけました。
サカナクション – 『ネイティブダンサー』

驚いたのは、既にこのバンドが海の向こうでも知られ始めていること。筆者の前にいた外国人、『mellow』や『enough』などのコアな曲も明らかに知っている様子でした。ライブの定番『夜の踊り子』のイントロが流れた際には、“Holy shit!!!!”と叫び出す始末。もちろんこの外国人が日本在住者であることも考えられますが、海外の音楽ファンの感覚にも刺さることの証明にはなりますよね。彼の、『ミュージック』が始まった瞬間の「面白くなってきやがった…」と言わんばかりの表情が忘れられません。良い顔だった。
振り返れば、サカナクションは2年前のサマーソニックでもRadioheadの直前、つまり準ヘッドライナーとしてラインナップされていました。今回はフジロックで同じ役回りを担ったわけです。そういう側面から考えても、現在の日本の音楽シーンのトップに限りなく近いのは彼らであるような気がします。全盛期のバルセロナ感が、今のサカナクションにはある。「こいつぁ勝てねぇや」という、清々しさを伴った諦観。10-11シーズンのバルサには本当に勝てる気がしなかったもんなぁ…。

話がグアルディオラの方角まで逸れそうなので戻しますが、フジロックのライブ配信は、本当に意義深いと思います。素晴らしい国内のアーティストを世界に知らしめるために。

けれども、「配信によって現場の優位性が揺らぐか?」という問いには全力で「NO」を突き付けたい所存であります。

フジロック2018と僕らの5日間戦記をプレイバック(前編)はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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