【ライヴレポ】マオ from SID、2度目
の『X’mas Acoustic Live』で中島美
嘉の「雪の華」を披露!「素晴らしい
曲をたくさんの人の前で歌えるって本
当に幸せ」

マオfrom SIDが、12月11日に東京・日本橋三井ホールにて『X'mas Acoustic Live 2018』を開催。“箸休め Silent Night”と題した1st SHOW、“箸休め Holy Night”と題した2nd SHOWのうち、ここでは“箸休め Silent Night”の模様をお伝えする。
マオのソロ活動としてすっかり恒例となっている、自身のオリジナル曲と珠玉のカバー曲を織り交ぜアコースティック編成で歌う“箸休めNight”。“X'mas Acoustic Live”が行われるのは、昨年に続いて2度目である。昨年と同じく、ほんのり雪化粧をした大きなクリスマスツリーが中央に飾られ、赤と緑のクリスマスカラーのライトが照らすステージに登場したマオは、ロングコートにハットを合わせた英国紳士のような出で立ち。コートの胸ポケットに挿したバラの花と中に着たベストの赤色が、目に鮮やかだ。
これまでの“箸休めNight”ではアンティークチェアに腰掛けて歌ってきたマオだが、この日は終始立って歌声を届けるという新たな試みも。注目の1曲目は、T-BOLANの「遠い恋のリフレイン」だ。「T-BOLANといえば「離したくはない」や「Bye For Now」が有名かもしれないけど、「遠い恋のリフレイン」は大好きな曲」とのちのMCで言っていたが、その伸びやかな声がぴったりとハマっているではないか。尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」にしても然り、不器用な一途さが伝わるマオの歌声は、たまらなく胸に刺さる。
これまで数々のカバー曲を歌ってきているマオだが、中でも新鮮に感じたのはサザンオールスターズの「いとしのエリー」。いい意味でクセの強いオリジナルの歌とは違ったマオならではの透明感ある歌声は、副旋律を奏でるバイオリンと美しく絡まって、とても耳に心地良い。
また、竹内まりやの「告白」では、“どんなに遅すぎても告白待ちわびて生きている”女性の本音やしたたかさをグッと深いところで表現。「きれいなメロディだけど歌詞はドロドロ……大好きです」と笑顔で言ったマオ、彼はやはり女心を生々しく歌える希有な男性シンガーだ。
かと思うと、バイオリン・門脇大輔、ギター・木島靖夫、キーボード・nishi-kenとのトークは、とことん和やか、まったりムード。“箸休めNight”では、気取らないマオを身近に感じることもできる。
「ここまで「遠い恋のリフレイン」「いとしのエリー」「告白」と3曲新しいカバー曲をお届けしましたけど、ここから2曲も新しいカバー曲です」と前置きして歌ったのは、80年代バンドブームを牽引した先達のナンバー。THE BLUE HEARTSの「ラブレター」と、レベッカの「フレンズ」だ。意外にもアコースティックアレンジが合うことがわかった「ラブレター」にしろ、躍動感の中に切なさや儚さが映えるアレンジの「フレンズ」にしろ、マオの歌声という新たな命を吹き込まれて、よりいっそう魅力的に輝いていたように思う。
「“箸休めNight”のたびにもらうたくさんのリクエスト、歌うのが難しいからこれまではひたすら無視してきたんだけど……あまりに望んでくれる声が多いので、歌うことにしました」という言葉で導いたのは、中島美嘉の「雪の華」。低音部からファルセットまで繊細で美しい歌声を響かせたマオへ、歌い終わりには感動の大きな拍手が送られた。
「素晴らしい曲をこうしてたくさんの人の前で歌えるって、本当に幸せ。ありがとうございます」と、改めて感謝を口にしたマオ。「今日、すごく良くない!?」と、大きな手応えを感じながら、徳永英明の「夢を信じて」では、マオが先導してオーディエンスが大きくクラップ。会場中に、笑顔の花が咲く。
「「夢を信じて」は、Shinjiも大好きな曲。そういえば、ゆうやは自分のバースデートークイベントで俺の名前を連呼していたらしくて。そんなに俺のこと好き!?っていうね(笑)。シド、世界一仲良いんじゃないかな」
本当に、そうなのだろう。何があっても手を離さずにしっかりと歩み続けてきたバンドには揺るがぬ結束があり、だからこそソロの活動も自由に気張らずにできる。
そして、ここまで言えていなかった「メリークリスマス!」をやっと言えた後は、オリジナル曲へ。別れを選ぶしかなかったふたりを、ドラマティックに歌う「違う果実」。オーディエンスのクラップに彩られながら、昂りながらも艶を感じさせた「不埒な体温」。マオの表情豊かな歌力に、どうしたって引き込まれてしまう。
「みんな、盛り上がってくれてありがとう。何気に、いつもより1曲増やしています。徐々に増やしていって、俺が70歳になる頃には40曲くらいやっていたらおもしろいよね(笑)。見た目はちょっと残念になったとしてもさ、ほら、薄目限定ライヴにするとか、スモークをたきまくるとか、やりようはいくらでもあるから(笑)」
どんなに年月を重ねても、歌やそこに込める想いは絶対に色褪せない。冗談めかしてマオが語る未来も、すごく希望的だ。
「クリスマスにこうして大切なファンのみんなと会える場所があること、そこでしっかり歌えること、すごく幸せです。今日はみんなとデートしているような、ロマンティックな時間を過ごせたんじゃないかと思います」と静かに微笑んで「月」へ。“約束の歌”に溢れるマオのファンに対する愛と誓いは、何度でも心を震わせる。クリスマスよりも少し早めにもらえた歌声という至高のプレゼント。幸せに満たされた心は、きっとしばらく温かい。
写真/今元秀明 文/杉江優花
<セットリスト>
1.遠い恋のリフレイン
2.OH MY LITTLE GIRL
3.いとしのエリー
4.告白
5.ラブレター
6.フレンズ
7.雪の華
8.夢を信じて
9.違う果実
10.不埒な体温
11.月

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