その歌声に恋をする…泣き歌の貴公子、林部智史のコンサートで“幸活”

その歌声に恋をする…泣き歌の貴公子、林部智史のコンサートで“幸活”

その歌声に恋をする…泣き歌の貴公子
、林部智史のコンサートで“幸活”

シンガーソングライターの林部智史が11月19日、東京国際フォーラム ホールCにて『林部智史 〜意志の上にも三年・秋〜 CONCERT TOUR 2018』を開催した。ライブでは、最新アルバム『カタリベ1』の世界観を全面的に発揮したセットリストで構成。音と共に歌詞という言葉一つ、ひとつを丁寧に歌い上げた圧巻の一夜をレポートしました!ぜひ最後まで拝見してください!
カバーアルバム『カタリベ1』の歌詞を熱く語ったインタビューはこちら
歌詞オタク林部智史があの名曲の歌詞を徹底解剖、カバーの極意も語る

恋にまつわる様々な感情
10月3日にリリースされたアルバム『カタリベ1』の収録曲順はコンサートを意識したものと公言していた林部智史。
その宣言通りに『Squall』から始まったステージは、心地よい緊張感と会場からの期待が入り混じったような、“ライブ”と呼ぶものとはまた違ったコンサート独特の雰囲気に包まれていた。
ヴァイオリン、アコースティックギター、グランドピアノの音に乗せて歌われた『Squall』に続けて『ごめんね・・・』を披露する林部。
CD音源では味わえない生の声の強さを活かし、「消えない過ちの 言い訳する前に」というフレーズを自身を戒めるかのように歌い上げ、会場の誰もが自身の“消えない過ち”と向き合えた瞬間を作り上げた。
阿木子が作詞した自身のオリジナル楽曲『恋衣』を挟みMCへと移った林部は、落ち着いたトーンで客席との距離を感じさせないトークを展開し、会場では時に暖かい笑い声が飛び交った。

ハンカチを用意して聴きたい『たしかなこと』
恋にまつわる様々な感情を歌った曲で構成された序盤を経て、早くも山場を迎えるステージ。
日本のソウルソングと言えるであろう名曲、小田和正の『たしかなこと』は、今回のニューアルバム『カタリベ1』でもカバーされている。ファンにとってはライブでのパフォーマンスも特に楽しみにされていた曲ではないだろうか。
そしてBメロに当たる「哀しみは絶えないから 小さな幸せに気づかないんだろ」という歌詞では、会場の多くの人の涙腺が早くも崩壊したに違いない。
『たしかなこと』でも、CDでは自身の声を重ねて録音されているが、コンサートでは一切音源を使わず、ハモりやコーラスなしの1本勝負で臨む林部。
2番が始まった頃には林部自身も胸に手を当てながら、歌詞を届けることに相当の想いをかけている様子が伺えた。
落ちサビ前の間奏ではピアニカがノスタルジーな音色を響かせ、ピアニカの“息”による音圧の変化を感じながら、落ちサビ、大サビへと移ってゆく。
とめどなく押し寄せる感動に、曲が終わる頃には握りしめたハンカチもびしょ濡れだ。

歌声に恋して、涙して
『たしかなこと』の余韻に浸りながら続いたのは、日本で一番カラオケで歌われている曲と言っても過言ではない、中島みゆきの名曲『糸』。
林部の歌う『糸』で特に心掴まれるのは「どこにいたの 生きてきたの」とサビ前にあたるフレーズ。ここでは私と同じく“恋をした時のような胸の痛み”を感じる女性も多いのではないか…。
続く『木蘭の涙』では、CD音源にはなかった“溜め”や“間(ま)”なども折り混ぜながら、マイクが拾う全ての細かい音まで計算し尽くされたかのような説得力でこの哀しい歌詞が歌われ、辛いくらいに感情移入をさせられる林部の歌声を私たちはただ受け止めた。
そしてこの涙誘うステージ中盤の極め付けは、林部のデビュー曲『あいたい』で締めくくられ、曲中何度も繰り返される「あいたい」というフレーズのひとつひとつに些細な感情の変化が投影されたような歌声に再び涙腺が緩んだ。

歌が人生の日記に
中盤のMCで林部は、新作のカバーアルバム『カタリベ1』収録曲について「大好きという言葉では言い表せないくらい、自分のルーツになっている曲」と紹介し、30歳を迎えた最近では叙情歌を歌う“旅”に周っていることについても触れた。
その中で林部は、歌は人生の日記のようなものになっていくとも語り、きっと林部の人生の日記の一節でもあろう『Hello, my friend』の歌唱へと移った。
明るく朗らかなメロディーの『Hello, my friend』を経て、ラテン調の『やさしいさよなら』では林部自らクラップを煽ったり、ステップを踏みながら情熱的に咲き乱れるヴァイオリンの音色に身を委ねた。
会場のクラップは引き続き、『僕が一番欲しかったもの』を続けて披露。そして林部の誘導で会場もコーラスに参加した『始まりの詩』で笑顔を咲かせると、『ひまわりの約束』『明日への手紙』とアルバム収録曲も続けて歌い上げた。

林部のコンサートで“幸活”
バンドメンバーの紹介を挟み披露した『人生で一番幸せな日』は曲を受け取った当初を思い出せると本人も語ったように、当時と今の感情を行ったり来たりしながら歌っているようで、さらに大サビは感情をあらわにしながら叫ぶように歌われていたのが印象的だった。
そこから『側にいて』『行かないで』と悲しい歌が続く中で、愛しさや哀しみ、無力さを嘆く気持ちが、林部の歌声でドラマティックに描かれ、コンサートのラストは『僕はここにいるII』と『瑠璃色の地球』が持つ壮大なメッセージを大事に観客へ届けた。
『瑠璃色の地球』の音が鳴り止むと同時に割れんばかりの拍手がステージに贈られると、その拍手はアンコールへのクラップへと変わり、その期待に応えた林部は出来上がったばかりの新曲『東京』を披露することに。
東京というタイトルで曲を作ろう、というところから始まったこの曲には、金沢出身の林部が思う東京が詰め込まれていた。
コンサート終了後。涙を流しながら様々な“人生の日記”に触れたことで、満員電車でも鼻歌を歌いたくなるほどに幸せな気分で帰路に着いた。
林部のコンサートには“涙活”だけではなく、“幸活”までできるパワーがあった。
Text:愛香
セットリスト
1.Squall
2.ごめんね・・・
3.恋衣
4.たしかなこと
5.糸
6.木蘭の涙
7.あいたい
8.Hello, my friend
9.やさしいさよなら
10.僕が一番欲しかったもの
11.始まりの詩
12. ひまわりの約束
13.明日への手紙
14.人生で一番幸せな日
15.側にいて
16.行かないで
17.僕はここにいるII
18.瑠璃色の地球
EN1.東京

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