【サイダーガール インタビュー】
バンドの殻を破るトライもあった
2ndアルバム
メロディーメイクや世界観作りの名手であるサイダーガールが、その幅を広げた傑作アルバム『SODA POP FANCLUB 2』。深く聴かせて心から踊らせるアレンジの妙について、3人にたっぷり訊いた。
今作のリリースに先駆けて、収録曲全てを演奏するという“先取りツアー”(『サイダーガール 2nd ALBUM 先取りツアーサイダーのゆくえ -半透明、2018秋-』)を行なったんですよね。
知
ツアーそのものが先に決まっていたんですよ。アルバムの制作もしていたので、そのツアーをアルバム先取りツアーにしようっていうコンセプトになっていきました。
なるほど。1曲目の「アクセル」は1分足らずのアグレッシブな楽曲だし、ライヴでも映えそうですよね。
Yurin
僕らの軸はロックバンドなので、そこを1曲目で見せていきたいっていうのがあったんです。この曲、全員で歌ってるんですよ。
知
僕の中でコンセプトがThe Beatlesだったんです。曲調はメロコアですけど(笑)。アルバムの制作に行き詰まった時、フジムラが泣いちゃったりしたことがあって。泣いてんじゃねぇよ!って思って書いた歌詞ですね。
噛み締めざるを得ないですよね(笑)。続く「サテライト」はサイダーガールらしさもありつつ、歌詞としては宇宙まで飛んでいくというスケール感のある曲で。
知
この曲は今まで自分たちが作ってきたものの延長線上になったらいいなって思って。それでいて、シーケンスだけじゃなくバンドのアレンジもひと癖加えたりしたんです。
今回、メロディーや世界観、上もので魅せるだけに止まらず、アレンジで味付けしている楽曲が多いですよね。特に「化物」はバンドの技量が試されると思いました。ジャズを感じさせるフレーズも挟み込まれていますし。
フジムラ
演奏は難しいです(笑)。ベーシストとしてフレーズを考えることで成長もできたと思います。
Yurin
僕もあんなフレーズを弾きながら歌ったことがなかった(笑)。難しいですね。
知
ジャズを通っていないので、あそこのフレーズを考えるのは大変でしたね。そこを乗り越えたので、ライヴはとにかく楽しんでいます。エフェクターで一瞬ミュートしたりしていますし、バンドアレンジを底上げできた曲だと思いますね。
次の「ぜったいぜつめい」もグルーブ重視ですよね。
知
この2曲は同じタイミングで録っていて。バンドの殻を破れた2曲だと思います。
Yurin
明るい4つ打ちの曲を作ろうという話になって。「化物」は横ノリですけど、縦に跳ねられるような曲にしようって。歌詞も耳に残りやすいフレーズをたくさん使えたらいいなって書いていきました。
そして、「最終電車」。これは歌だけを聴くとシンプルにいい曲ですけど、音質や上ものが細かく工夫されていますよね。
知
僕の中ではスタジオジブリなんですよ。久石 譲さんをサイダーガールでやりたいと思って始まったんです。上ものはあるんですけど、歌、ベース、ドラムだけで聴けるR&B要素もあって、今までやってこなかったタイプの曲だと思います。
R&Bですか!? ハイブリッドですね!
知
その時期に初期DA PUMPも聴いていたんですよ(笑)。“これも混ぜたらどうなるんだろう?”ってスクラッチ音を入れたりして、音遊びって面白い!って引きこもって作りました(笑)。
この曲、ライヴではどう演奏しているんですか?
知
Yurinは立ちヴォーカルで、僕はアコギ、フジムラはベース、ドラムもいて、あとはシーケンスを流すんですけど、僕のアコギはそんな聴こえてないんじゃないかな。代わりにMacBookを置いていてもいいぐらいな(笑)。編成が変わるっていう面白さにも挑戦していきたいんですよね。シーケンスに頼るというよりは、Radioheadのように楽器にこだわらないスタイルに憧れているんです。
「ミスターデイドリーマー」は今作の中でも特にダンサブルな印象を受けました。
フジムラ
ファンクに近いっていうか。この曲も演奏は難しいです。しかも、シーケンスもあんまり入っていないので、演奏で魅せなきゃいけない。歌詞も…さっき泣いちゃった話がありましたけど(笑)、何か言われて落ち込んでしまうタイプの人に同じ人種の自分が“気にすんなよ”って言えば、一番説得力があるのかなって思って書きました。みんなからは二枚目な歌詞だって言われるんですけど(笑)。
確かにそうですね(笑)。そして、「スパイス」。アコギと歌だけのYurinさんの完全な弾き語りという。
Yurin
今作は弾き語りも合いそうだなって。「サテライト」や「スーパーノヴァ」は宇宙っぽいテーマですけど、歌詞を読むと狭いところから宇宙を見ているイメージなので、「スパイス」はその狭いところ…ワンルームとかで爪弾きながら曲を作っている時の風景を思い浮かべてほしいなって。音像も狭くしたり、一発録りしたりしました。
そこから壮大なJ-POPと言える「dialogue」に続くことで緩急も付いていますよね。しかも、この曲は7分もある。
Yurin
映画『家族のはなし』の主題歌だったので、先に尺が決まっていたんですよ。僕はいつも2コーラス目を変えたくなるんですけど、この曲はそのまま行って、もう1回サビ、間奏、新しいメロっていう、それこそJ-POPっぽい感じにしました。
構成が考えられているからか、全然長く感じないんですよね。
知
そうなんですよ。ライヴでやっていても7分も演奏している感じがしない。
そして、「約束」で終わるところも潔くっていいです。
知
「dialogue」で終わる案も考えていたんですけど、最終的に速い曲で終わったほうが楽しいねって。フジムラが《未来に行くよ》の歌詞で最後にしたほうがいいって言っていたし。
フジムラ
『SODA POP FANCLUB 3』に続いていくっていう意味にもとれるなって。
取材:高橋美穂
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アルバム『SODA POP FANCLUB 2』2018年11月28日発売
UNIVERSAL J
- 【完全数量限定生産盤】
- UPCH-7469 ¥4,167(税抜)
- ※ ビッグTシャツ付
- 【通常盤】
- UPCH-2179 ¥2,500(税抜)
『サイダーガール TOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-』
2/03(日) 北海道・札幌cube garden
2/09(土) 香川・高松DIME
2/11(月) 広島・SECOND CRUTCH
2/17(日) 宮城・仙台MACANA
2/23(土) 新潟・CLUB RIVERST
2/24(日) 石川・金沢vanvan V4
3/02(土) 岡山・PEPPERLAND
3/03(日) 福岡・BEAT STATION
3/09(土) 大阪・BIGCAT
3/10(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
『サイダーガール TOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER- FINAL』
3/24(日) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
シュワシュワとはじける炭酸の泡は爽快感、その泡はあっと言う間に消えてなくなってしまう儚さ。そしてどんな色にも自在に変化していく。そんな“炭酸系サウンド”を目指し、2014年5月、動画サイトを中心に活動していたYurin(Vo&Gu)、VOCALOIDを使用して音楽活動していた知(Gu)、フジムラ(Ba)で結成。インターネットを含むメディアでは一切顔を出さず、ライヴ会場でのみ本人たちの姿を目撃できるということと、“炭酸系”サウンドが相まって話題となり、17年7月にシングル「エバーグリーン」でメジャーデビュー。同年10月には初のフルアルバムとなる『SODA POP FANCLUB 1』をリリースした。そして、12月1日に4枚目となるフルアルバム『SODA POP FANCLUB 4』をリリースする。22年1月からは、アルバムを引っ提げた全国11都市を巡るツアーを敢行する。サイダーガール オフィシャルHP
「サテライト」MV
「約束」MV
「パレット」MV
アルバム『SODA POP FANCLUB 2』
ティザー