【ライヴレポート】ZIGGY、この5人に
しかできないロックショウ

早くも2019年春のツアー開催とニュー・シングル発売が決定しているZIGGY。新たな展開に向けての期待感が膨らんでくるところだが、来年へと思いを馳せる前に、まさに今、全国展開されている真っ最中の<ZIGGY TOUR 2018「ROCK SHOW」>の各会場にも足を運ぶことを激しくお勧めしたい。すでにこのツアーも序盤の5本が終了に至っており、ここから先の各公演もソールドアウトの連続になることが予想されるが、いわば過去のいかなる時代や局面とも異なる、“今だからこそのZIGGY”を堪能することができるのだ。
今ツアーのスタート地点にあたる11月1日、新横浜NEW SIDE BEACH!!にて、最新アルバム『ROCK SHOW』発売後初となるZIGGYのライヴを観た。結果的に3時間を超えたそのステージを通じて (そう、あくまで結果的にその長さになったのであり、最初からその前提で演奏内容が組まれていたわけではない) とても印象的だったのは、このバンドの看板を1984年からずっと背負い続けてきた森重樹一(Vo)が笑顔を見せる場面の多さだった。しかもそれが“楽しくてしょうがない!”とでも言いたげに、自然にこぼれてくる笑みなのだ。それ自体が、現在のZIGGYがバンドとしてとても良好な状態にあることを物語っていた。
ご存知の通り、現在のZIGGYにおける正式メンバーは、その森重のみであり、彼の脇を固めるカトウタロウ(G)、TOSHI(B)、佐藤達哉(Key)、そしてCHARGEEEEE…(Dr)は、いわゆるサポート・ミュージシャンということになる。そうした成り立ちについて“それはバンドじゃなくてソロ・プロジェクトじゃないの?”という疑問をおぼえる読者がいたとしても不思議ではない。が、これは『ROCK SHOW』を聴いたときにも感じたことだが、森重がZIGGYという名の下で作りたい音楽を形にし、そのために彼自身が必要とする顔ぶれが結集した状態にあるバンドをZIGGYと呼ぶのはごく自然のことであり、そこで彼自身が歴史に対して遠慮深くなったり、たとえば“ZIGGY 2018”みたいな名乗り方をしながら過去との差別化を図ったりする必要はないはずなのだ。
もちろんここで現在の彼らが展開しているライヴ・ステージが、遠い過去にかつての盟友たちと作りあげてきた馴染み深い楽曲群を軸とするようなものだったなら、僕自身、ここまできっぱりとした言い方はできないだろう。しかし実際、この夜の演奏プログラムの中心軸となっていたのは、あくまでステージ上の5人により制作された『ROCK SHOW』であり、結果的には現在の状態への導線となった前作『2017』からの楽曲たちだった。確かにそうした誕生から間もないナンバーばかりではなく、懐かしい楽曲もときおり顔を出しはする。が、それにしてもいわゆるヒット曲が無闇に連射されるわけではなく、現在のバンドの状態に合うもの、メッセージ的な部分で今の彼が伝えたいことと重なるものが抽出されているように僕には感じられた。しかもステージ上の5人は、疑う余地もなく“バンド”なのだ。誰もが唯一無二の歌い手を堅実にサポートすることに徹するのではなく、森重と理想を重ねながら、他では味わうことのできないスピード感と円熟味を併せ持ったロックショウを成立させているのだ。
まだまだツアー前半であるだけに、詳しい演奏内容についての記述は控えておくが、とにかく強調しておきたいのは、今、この状態にあるZIGGYのライヴにできるだけ早く触れて欲しい、ということ。この夜の森重は「新人バンドのつもりで」といった言葉を幾度か口にしていたが、確かに昨年来のライヴ実績があるとはいえ、この5人だけでアルバムを制作したのは今回が初めてのことだし、それを携えながらのツアーもこれが初。彼ら自身のなかにも、夜を重ねていくごとに化学反応の形が変わっていく実感があるはずだし、まさしく『ROCK SHOW』はこのツアーを経ながら本当の意味での完成へと至ることになるのだろう。

この夜、森重が発した言葉のなかで特に印象深かったもののひとつに「ここから先の人生では、いちばん好きなことしかやらないから!」というのがあった。当然ながらこれまでだって、彼は自分の音楽人生において好きなことしかやってこなかったはずだ。が、それを徹底的にやりたい放題やり尽くすためのホームを、彼はここでようやく手に入れたのだと思う。そんな境地へと達したZIGGYの現在に、一刻も早く触れて欲しい。

文・撮影◎増田勇一


■<ZIGGY TOUR2018「ROCK SHOW」>

11月15日(木) 札幌 KRAPS HALL
11月17日(土) 函館 Club Cocoa
11月24日(土) 東京 TSUTAYA O-EAST
11月30日(金) 名古屋 SPADE BOX
12月02日(日) 金沢 GOLD CREEK
12月06日(木) 大阪 BIG CAT
12月07日(金) 広島セカンドクラッチ
12月14日(金) HEAVEN’S ROCK 宇都宮
12月15日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
12月22日(土) 熊本 DRUM Be-9 V2
12月23日(日) 博多 DRUM Be-1


■『ROCK SHOW』リリース記念CD SHOPインストア(サイン&握手会)

11月16日(金) 19:00〜 タワーレコード札幌ピヴォ店
12月01日(土) 13:00〜 タワーレコード名古屋パルコ店
12月05日(水) 19:00〜 タワーレコード梅田 NU 茶屋町店
12月08日(土) 13:00〜 タワーレコード広島店
12月16日(日) 13:00〜 タワーレコード仙台パルコ店
12月21日(金) 19:00〜 タワーレコード福岡パルコ店
12月27日(木) 18:30〜 銀座山野楽器本店 (※ミニライブ&サイン会)


■<ZIGGY TOUR2019「ROCK SHOW」season1.8>

3月29日(金) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
■<ZIGGY ROCK PARTY>
5月04日(土) 新宿BLAZE


■<ZIGGY TOUR2019「ROCK SHOW」season2>

4月05日(金) 札幌KRAPS HALL
4月07日(日) 帯広MEGA STONE
4月12日(金) 博多DRUM Be-1
4月14日(日) 大分DRUM Be-0
4月19日(金) 広島Cave-Be
4月21日(日) 松江AZTiC canova
4月24日(水) 金沢GOLD CREEK
4月26日(金) 大阪BIG CAT
5月10日(金) 神戸VARIT.
5月12日(日) 名古屋SPADE BOX
5月24日(金) 東京Zepp DiverCity Tokyo

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