レニー「ダサいバンドを聴かずに俺らを聴けよ」最新作で魅せた強さ

レニー「ダサいバンドを聴かずに俺らを聴けよ」最新作で魅せた強さ

レニー「ダサいバンドを聴かずに俺ら
を聴けよ」最新作で魅せた強さ

デビューからおよそ2年半経ったLenny code fiction。ようやく切り拓いた今作では、映画用語で使われる『Montage』というタイトルを掲げている。レニーの持っている熱い芯をぶらすことはせず、様々な顔を見せるといった自信作に仕上がった。今回UtaTenでは、歌詞にフォーカスを当てつつ、レニーが感じている今の率直な想いをロングインタビューした。
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バンドのイメージと「Montage」っていう言葉が奇跡的にリンク
――1stAlbum『Montage』のリリースおめでとうございます!全曲聴かせて頂きましたが、まるで、映画の瞬間、瞬間を切り取ったような最高なアルバムに仕上がりましたね!
全員:おお~!!ありがとうございます!!

――『Montage』は、映画ソムリエと言われている航さんらしいタイトルですね(笑)
全員:(笑)

――タイトルは結構悩まれたんじゃないですか?
片桐 航:でも、そんなにですね。最終段階で『Montage』というタイトルは決まっていたんですけど、それまでに映画用語にはしたいっていう気持ちはあって。バンドにとって色んな側面から曲を書きたいし、そういうライブもしたいし、一つの感情にも留まりたくないっていう想いがあって、その映画用語の中にちょうどいい言葉が見つかったんです。
バンドが持っているイメージとその「Montage」っていう言葉が奇跡的にリンクしたというか。アルバムにもそうやし、バンドにもそうやし、ライブにもそうやし、その通りやなっていう。色んな側面から一つものを完成させる部分が合いました。凄く納得しているタイトルです。

――メンバーの皆さんとタイトル決めで揉めたりはされなかったんですか。
ソラ:揉めはしなかったですね!

――そうなんですね。「Montage」の意味は、視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法だそうですね!
片桐 航:そうですね。例えば無表情の人の写真があるとして、その前に凄いくだらないギャグをやっている人を載せたら、それはシラケているシーンになるじゃないですか。だけど、真顔な写真の前に感動なシーンをやると感極まっているシーンになる。一つの事は変わらないのに、色んな側面で変わっていくっていう技法で。その感じがバンドに似ているなって。芯はぶらさず、言ってる事やサウンドでシーンが変わっていくという意味があります。

――タイトルは先ですか?
片桐 航:曲が全部出来てからタイトルをつけました。
一貫してレニーっぽくなった
――1stAlbumのリリースという事で、色々な想いがあると思います。まず『Montage』をリリースする心境からお聞かせいただけますか?
KANDAI:活動自体がライブを中心にやっているっていうのもあって、アルバムの頭に入っているSEの『Montage』から最後にかけて、一本のライブを見ているかのような並びになっています。今までライブに来てくれている人は、レニーのライブの組み立て方もわかっていると思いますし、一本のライブを見ているようにCDも聴けるはずです。
これからこの『Montage』を聴いてきてくれる人は、こういうライブなのかな?というイメージが湧くと思うし、よりスーッと入ってくると思います。ライブに繋がっているというのが、俺は良いなと思っています。

――ちなみに、『Montage』の収録曲で苦戦したことはありましたか?
KANDAI:個人的には『Snatch』の2番の頭が苦戦しました。アレンジャーのakkinさんに“出来ないことがあるのは良い事だよ。それを越えていくとドラムが上手くなっていくし、成長するきっかけが得られて良かったね”と言ってくださったので、『Snatch』は今後の成長にも繋がる曲になったと思います。

――kazuさんはどうですか?
kazu:今までも言ってきた事なんですけど、これまでにシングルを出してきたときも他にも出したい曲がいっぱいある中で、今のベストを選んでシングルに詰めましたっていうのが結構ありました。今回もそうではあるんですが、デビューから2年半かけてこのアルバムを作ってきた状態なんですね。
昔にレコーディングした曲もあれば、最近レコーディングをした曲もある。この制作期間以内に、12曲を録りましょうっていうのではなく、デビュー当時から今の『Make my story』にかけて作った感じなんです。
“早く曲を出したい!出したい!”という気持ちもあったけど、今4枚目を出して色んな作品のタイアップをもらって、今の状態で初めてのアルバムを出せるのがすごくありがたいなって思っていて。焦ったアルバムではないので、すごく納得して満を持して出せたっていうのがありますね。

――kazuさんのベースラインって、デビュー当時から安定されていますよね!全然乱れてないです!(笑)
kazu:ありがとうございます!
片桐 航:まあな、レコーディングはね。

――では、ソラさんいかがでしょうか!
ソラ:色んな所で“自信作だ!”って垣間見える所が沢山あって。まず僕らデモ曲が、320曲以上あるんですけど、その中から12曲が選ばれたっていう所が300分の12の精鋭たちって考えると、それだけ悍ましいというか…(笑)。
勝ち進んできて選ばれた12曲なので、そこで自信曲というのがわかります。カップリングが1曲も入ってないっていうのが、攻めた1stAlbumだと思いますね。カップリングを入れられるアーティストって結構多いと思いますが、カップリングに頼らないで曲だけで勝負する意気込みと自信はあるし。

――確かにカップリング曲を収録されていないですね。
ソラ:シングル曲が後半に来ているというのも、聴かせたいのは新たな新曲たちっていう所も、色んな所からこれが本当の自信作なんだなっていうのが実はわかる。僕たちの全てが出し切れたのかなって思います。

――航さんはいかがですか。
片桐 航:みんなが言った通りなんですけど、一貫してレニーっぽくなったなと。例えば『Key-bring it on, my Destiny-』を出して、『Flower』出してってなると曲の差とか、“バンドのイメージがずれていくんじゃないか?”って思ったんですけど、シングル4曲も入ってアルバムを1本聴くとどこが芯が通っていて。一個レニーっぽいサウンドで、ちゃんとしているロック感が全曲にあったんやなって。
『Make my story』と『Key-bring it on, my Destiny-』は一曲ずつ聴くと違うかなって思うけど、アルバム1本を通すとちゃんと作品になっているのが新たな発見で。ライブに組み込みやすくなったなって思ったし、セットリストも作りやすくなった。この流れで作って良かったなっていう一枚です。
アルバム『Montage』ジャケット
――ジャケット写真もインテリアに出来るようなデザインですね!
片桐 航:そうですね(笑)
ソラ:インテリアにしてるんでしょ?
片桐 航:俺はインテリアにしてる!
全員:(笑)

――レニーさんはBPM(テンポの単位)が180~200ぐらいの曲がお好きだと思いますが、前半に収録されている曲はほぼ攻めていますね。
片桐 航:そうですね。やっぱりライブは頭を盛り上げるというか、自分らもスイッチが入る曲の方が良いので、聴かせるっていうよりもリズムとビート感と言葉のノリや譜割りで勝ちにいくっていうのが、好きやし得意やし必要やしみたいな感じで。だから今回は結構盛りだくさんです。
宣戦布告感を詰め込んだ『Snatch』
――2曲目の『Snatch』は、2000年に作られたイギリスとアメリカ合作の映画のタイトルと同じだなとふと思ったのですが!
全員:おおお~!
片桐 航:素晴らしい!(笑)そうです。俺、その映画が好きで。イメージはその映画からなんです。『Snatch』は奪い去るっていう意味があります。これを一曲目にしたのは、一曲目っぽいサウンドが出来たなっていうのもあるんですけど、歌詞の中で「ぬるいバンドとかダサいバンドを聴かずに俺らを聴けよ(笑)」みたいな事を歌っていて、そこから誘拐していくっていう。なんていうんやろ(笑)
ソラ:誘拐って面白いね!(笑)
片桐 航:“なんでこいつらが人気なんやろ?”っていうバンドや、“そういう芯のないダサいバンドじゃなくて、俺らを聴けよ!”みたいな宣戦布告感が歌詞にふんだんに入っている、そんな1曲です。

――そんな『Snatch』はKANDAIさんが苦戦されたんですよね!(笑)
KANDAI:一部分だけですけどね!(笑) akkinさんから返ってきたアレンジが、ちょっとメタルチックというか、今までやってきたことのないドドドドド!っていうバスドラムを踏むようなフレーズで…。最初全然できなかったんです。

――今回女性のコーラスが入っていますね。
片桐 航:楽曲を作ったときから、女性コーラスにしたいって元々思っていて。女性コーラスの曲って好きなんですけど、そこは全員共有しているんです。みんなが聴いてきた音楽の中にも入っていたりするので。知り合いのめちゃめちゃ良い声の子に声をかけて、録ってもらいました。
――歌詞のお話しにいきます。『Snatch』に「深みのない甘い魔法が頭に残ることはないわ」という女性的な言葉づかいがありますが…。反対に「お遊びに負けるのは オレのBirthと興味が許してくれないみたいだ」という男性的な言葉づかいがあります。これを対照的にさせた意味を教えてください。
片桐 航:これは、聴く人と俺自身みたいな。奪いたいっていうのが、女性の方なんで、女性をまず奪っていきたいな…(笑)
全員:(笑)
ソラ:なんのインタビューかわかんなくなってるよ(笑)
片桐 航:聴く人は女性目線で、俺の意見としては俺の意見をしっかりとぶつけるという。無意識というよりは、聴く側の意見と言う側の意見をわかるようにした歌詞にしています。

――全体的に色っぽいですけど、挑発盛りだくさんですね(笑)
片桐 航:もう、挑発でしかないです(笑)

――ちなみに(Take me down from saturation)という英歌詞は、どういう意味がありますか?
片桐 航:これは、“ぬるい飽和状態から俺を奪い去ってくれ!”っていうのと、“私を奪い去ってくれ!”っていう2パターンがあります。自分自身もぬるい所にいる時代から抜け出したいっていう気持ちと、奪い去って欲しいっていう気持ちの人もいるだろうなと。飽和したこの世界を奪回したいというか、変えたい。ぬるい時代はいややなって思っていれました。

――航さんから楽曲を受け取ってみて、ソラさんはどういう印象がありましたか?
ソラ:これの最初のデモ名が『魔女』だったんですよ(笑)。

――魔女!?
ソラ:でもなんか、俺はそのタイトルがしっくりきていて。この曲と『Enter the Void』に関しては航にしか書けないようになっていると思って。色っぽいし、何処か泥臭さもあるんだけど、どこか上品みたいな。大人のエロさみたいな!こういう曲は誰にでもかけるもんじゃないと思っていたので、ずっと世に出したいとは思っていました。

――めちゃくちゃ、魔女というタイトルに引っかかります(笑)
ソラ:そうなんですよー!俺は最後まで、魔女で行きたい!って言っていました(笑)
片桐 航:それはきつかったな(笑)
KANDAI:ギリギリまで魔女って言ってたしね!

――kazuさんはいかがですか?
kazu:歌詞にある反骨精神の部分や、“やってやるぞ!”っていう感じのものは過去にもあったんですが、“あ、言ってくれてんなこいつ!”みたいな。凄い他の人たちだったらあんまり使わないような言葉で、ガッツリと表現してくれているので、“そうそうそういう感じ!”っていうような…
片桐 航:そうそう(笑)
kazu:(笑) “そうそうそういう感じ!”っていうような所と、俺達も思ってた所、そして、昔悔しい思いをしたから今があるっていうような俺らもそうだし、聴いてくれている人もそうだし、そういう所を代弁してくれる。
思っていた事を言葉に置き換えて、だけどぶらさずに僕らのバンドの世界観で出してくれるので、そこに関しては今回も『Snatch』で言ってくれてるなとか。ぶっこんだ言葉使ってくるねんなっていう新鮮さと、ちゃんとやってくれている今までの安心感の2つがあります。航節が効いているなって思いますね!
『Enter the Void』は無に入るという意味
――3曲目の『Enter the Void』も2009年のフランス映画がモチーフだったり…?
ソラ:おお~!すごい!
片桐 航:あってます!
――この曲は映画を見てから書きだしたのがスタートですか?
片桐 航:そうですね。映画を見たあとに、すぐに書きだしました。視覚的要素が強い映画なんですが、この芸術的視覚作品に感動しているのを自分だけで収めたくなかったんです。何かに変換をして、絶対みんなに届けたいと思って書き始めたのが最初です。

――想像するだけで、怪しい所に誘いこまれちゃうような(笑)
片桐 航:(笑)そうなんです。結構怪しい映画で。歌詞自体にはあんまり意味はなくて。サウンドをちゃんと聴いて欲しいのと、視覚的な怪しさやものをサウンドでどう表現するかが大事で。言葉のテンポ感や響きっていうのは、後々修正したんですけど最初に、歌詞を書いたのは一発書きでした。
曲を流して思い付いた言葉を入れて、終了!みたいな。あんまり考えてのせた歌詞ではなくて、サウンドにのれる、そして気持ちよく聴こえる言葉、ほとんどそれだけで。演奏重視のライブメインの曲ですね。

――ライブでファンの方が跳ねているようなイメージが湧きます!
片桐 航:そうそう!それが一番重要な所やったんです。

――「機嫌取りの我儘をKillサイン」という歌詞のあとにくる、KANDAIさんのドラムソロが、とても聴いていて心が高鳴りますね!
KANDAI:ダダダダダ!の所ですね!

――『Enter the Void』を叩かれているときって、どんなイメージでやられていますか?
KANDAI:正直な話、あんまり本を読んでなくて、最後に読んだのは「ぐりとぐら」レベルなんですけど(笑)航の言葉に関しては、色で見えるタイプというか。内容を理解しようとは勿論してなんとなくはわかるんですけど、イメージ的には怪しかったりエロかったりみたいなそういう雰囲気を読み取りつつですね。上げていきたい部分として、ああいう攻める感じのドラムも入れていきます。

――歌詞に「HEY Mr.JUNKY」や「HEY Ms.DRESSY」という歌詞がありますが、こちらは誰かの名前でしょうか。
片桐 航:これの本当の意味は、薬物中毒っていう意味なんですけど…(笑)他の意味で何かに没頭しているというか、熱心すぎてそれに集中しちゃっているような、それがライブそのものなんですよね。ライブはライブを楽しむで良い!みたいな曲です。
「HEY Ms.DRESSY」はその上で上品さやしっかり自分を持っているみたいな意味もあります。その二人がしっかりと無に入っていくという感じです。『Enter the Void』は無に入るっていう意味なんですよ。これも一発で出てきた言葉です。

――航さんの言葉のストックが凄いですね!
KANDAI:すごいんですよ、うちの片桐は!!
全員:(笑)
音色をこだわり抜いた『欲を纏う』
――5曲目の『欲を纏う』はイントロに機械音が入っていますよね!これはどういう仕組みになっているんでしょうか?
片桐 航:入ってます!あれは、よくデモとかで俺が最初にイメージをよりつけたい曲とかに、効果音を入れたりとか、ビンテージ感を出したいからラジオボイスを入れたりとかするんです。
例えば夏っぽいのを入れたいときは、花火の音をエフェクトで入れたりとか、そういう作り方をしていて、その名残がそのまま残っているというか。ビンテージ感のあるフレーズだったりとかする部分もあるので、ラジオボイスも最初から入っていたりしたんです。

――かなり繊細に音作りにこだわられていますね!
片桐 航:そうですね。曲の空気感を出すためにはどうしたらいいか?みたいなのにフォーカスをあてて、曲を作っています。

――全曲そうですが、楽器隊の皆さんの良さが凄く引き立つ構成になっていると思いました。
全員:ありがとうございます!!
――では、ソラさん、『欲を纏う』でこだわった点を教えてください!
ソラ:言って頂いた通り、実はギターだけ着目して聴くと頭から結までギターソロみたいなフレーズを弾いていたりとか。そういう所にみんながそろそろ気づいて欲しいなって思います(笑)届いていないプレイヤーたちの耳にそろそろ届かせたいなと!!ギターキッズとか。
僕たちが憧れていた先輩像っていうのは、今もまだ残っていますが、その先輩像にこのアルバムを通して僕らもなりたいんです。『欲を纏う』はギターがわかりやすく出ているから、ギターキッズに受ければいいなって思って!
『Vale tudo【MAKE MY DAY】』は格闘技の競技名
――6曲目の『Vale tudo【MAKE MY DAY】』はポルトガル語ですか?
片桐 航:ブラジルの競技だからポルトガル語かな。格闘技の競技名です。武器使用以外なんでもありっていうルールの格闘技ですね!

――格闘技お好きなんですか?
片桐 航:格闘技漫画が好きで!その中に出てきた言葉なんですけど、なんでもありっていう意味に使おうって思って、使いました。

――なるほど!「名前隠して顔も見ないで群れて嘲笑うお前を笑う」という歌詞があると思いますが、ここは現代社会のSNSの事を示していますか?
片桐 航:ああ!そんな感じです。行動もせずに、じっと座ったままモノだけ言ってくる奴は無視しようぜ!!みたいな(笑)

――無視しようぜ(笑)
片桐 航:そのままです!行動していない奴が行動している奴に盾突いても、“行動している方がカッコいいやろ!”っていう曲ですね。

――「勝敗なんて無いと言って黙る奴らに興味なし だって考えたって時は経つし バカにされたらやり返す」はレニーさんらしい、挑発の仕方ですね!
片桐 航:ありがとうございます!もうその通りで、仲良しこよしで音楽を “わあー楽しい~!”みたいにやるんじゃなくて、もっと上を目指したいし。良かったものは良いし、悪かったものは悪いってちゃんと理解しているバンドも好きだし、そういう人も好きなんで。なので、挑戦していく事って大事やなっていう部分です。

――さらに「典型的な臆病者は既にこんな曲なんて聴かない」って言っていますし、かなり攻めた言葉のチョイスだと思いました。
片桐 航:そうですね(笑)少しでも行動する気がある人とか、自分の中で信念を持っている人っていうのは、やっぱりロックバンドが好きだったりするし。俺らの曲をちゃんと聴こうと思っている人の中には、しっかりと行動しようっていう意思も絶対あると思う。
ロックバンドとか音楽を探らずに、フラーっと聴こえてきたものだけを聴いたり、食べて寝ての生活をしている人には、俺ら出会ってないと思うんです。この曲を聴いているだけで、如何にどれだけチャンスがあるかが言いたかったんです。

――『Vale tudo【MAKE MY DAY】』は歌詞も深いですが、BPMもかなり速いですね。
ソラ:最速ですね!
片桐 航:今までで一番最速かな。

――楽器隊の皆さんは弾いていて、かなり大変ですよね…!
KANDAI:大変でした…(笑)
ソラ:この曲はちょっとだけ筋肉を使いました!今まで筋肉はいらなかったんですけど、少し入りますね。
kazu:俺は少しじゃないけどな…。
全員:(笑)
KANDAI:ライブが不安です!でもアドレナリンで出ていたら大丈夫なんだろうな…と!
『Ruby’s day』は出会いの一瞬の曲

――9曲目の『Ruby’s day』は航さんが以前から音楽で作られている、男女が出会ってから別れるまでの8作の物語に出てきそうな楽曲だなと思ったのですが…。
片桐 航:おお!!素晴らしい。これがその物語の一曲目です。だから色々伏線は混ぜていて。なんならこの曲きっかけみたいな所もあるんですよ。これ、2、3年ぐらい前の曲で、そこから繋がっていったのがデカいです。なので、ほぼ色々繋がっていますよ!っていう曲ですね。
――歌詞の一フレーズ一フレーズがキャッチコピーにできそうだなと!
片桐 航:ああー!出会いの一瞬の曲なんで、そういうのが多いのかもしれないです。最初、一秒をテーマに曲にするって所から始まったんですよ。どこかのショートムービーで、出会ったその一秒間を映像作品にするっていうのがあって、それを曲にもできひんかな?って思って。
これは出会って一目惚れした一瞬の一秒のストーリーなんで、如何に狭い空間を広げるかっていうのが大事で。だから言葉回しや言葉の強さは意識して、書きましたね。

――サウンド面についてお聞きしますが、全体的の綺麗さもありつつ、広がっていく感じがしますね。
ソラ:そうですね。結構曲に寄り添ってこれはアレンジをしました。自分の色を出すというよりも、曲にハマるフレーズを心掛けた記憶があります。

8作の物語至上、一番泣ける『オーロラ』
――『オーロラ』はかなり泣ける曲になりましたね!!個人的に推し曲です(笑)
全員:ありがとうございます!!(笑)

――『オーロラ』も男女の出会いと別れを描いた8作の物語の7話目ですよね。
片桐 航:7話目ですね。

――既存曲『Wonder』が8作の物語中2話目にあたると思うのですが、その『Wonder』の歌詞では「振り返る君は怒る「もう少しゆっくり歩いてよね」」や、「忘れられない忘れる事ない未来を一緒に願う日々がいつまでも続くといいな」という男性目線のフレーズがあって、『オーロラ』では、「振り返ってもすぐ後ろにはもうあなたはいない」や「忘れたい忘れさせて二人想像した未来を」という女性目線のフレーズになっていますね!
片桐 航:すごい!!
ソラ:これは嬉しいね。
――(笑)『Wonder』と『オーロラ』で対比をさせている気がしたのですが…!
片桐 航:『Wonder』で願っている方面と、別れている方面が違うのは、5話目でわかるかもしれません…!実はその別れた理由っていうのがあるんですよ。別れた理由がどこにあるのか?っていうのと離れられた理由がどこにあるのかで、なぜ思っているのが変わってくるっていう仕組みです。

――「you are special to me forever このまま君を想えば」も、韻が踏まれていて気持ちがいいですね!
片桐 航:(笑)ここもわざと入れました。耳障りが良いなと思って。

――「オーロラ」という言葉で愛する人を例えているような気がしたのですが。
片桐 航:そうですね。元々、モノを決めてから歌詞を書くっていうのは結構好きで。オーロラってすごく暖かいのに寒い空の中にあって、見に行く人には見えるけど、すごい僻地でしか見れないし。あんなに綺麗なものなのに、結構孤独だなっていうのもあって。まず、オーロラっていうイメージを決めて膨らませて、そこからストーリーを作ってっていう流れでやっていきました。

――楽器隊の皆さんは、航さんのそういったお話しを聞いてから弾かれるんでしょうか。
ソラ:“こういう曲にしたい!”っていうのは元からもらっていたので、その曲をインスピレーションとして受けながらアレンジしていった記憶があります。ちょうど、『Key-bring it on, my Destiny-』を録ったあたりに、録ったんですよ。長年温めていた曲ですね。

――kazuさんはいかがでしょうか。
kazu:この曲はフレーズを詰め込むっていうよりも、この空気感を崩さずにどうエモーショナルな雰囲気を出すかっていう感じだったんです。逆に空気感を出すっていう風に徹する方が難しくて、レコーディングで苦戦したなと。
ただ単にオンタイムで弾けばいいっていうものでもないので。サビで展開的に半分のリズムになるんですけど、音数が減った中でどう音を埋めていくか、伸ばすか切るかっていう音の微々たる使い方が難しかったですね。

――KANDAIさんはどうでしょう。
KANDAI:俺はサビの歌詞をフォーカスしつつ、感情的に切なく、でも沸々した想いがあるイメージ感で叩きました。頭は冷静にというか、レコーディングで言うとスネアドラムにリム(スネアについている金属の輪っか)に当てずに叩け!っていう指令があったので、そこは冷静にやっていました。

レニーが今伝えたい想いを詰め込んだ『Twice』
――ラスト曲の『Twice』はソラさんのギターフレーズが耳に残りますね!
ソラ:わーありがとうございます!!
――『Twice』の歌詞には、「忘れない悲しみを飼っている」というフレーズがありますね。この「飼っている」という言葉が不思議な表現だと感じました。
片桐 航:これは離れられないというか、しっかりと自分の要素として持っているものが、悲しみみたいなものかなと思います。

――「だけれどあの日の痛みは変わらず 残って今でも時々針を刺す」の部分は、今のレニーさんだからこそ、言える言葉のような気がしました。
片桐 航:そうですね。バンドを続けてきて悔しい事もあれば、その分それを乗り越えようとして楽しかった事もあるっていう一個人としてもあります。それにこの曲を聴いてくれる人もあると思うし、人間一人ひとり表には出せない傷があると思うので、それを隠すことは悪い事じゃないっていう事をちゃんと伝えたかったんです。
レニーが選ぶピックアップフレーズ!
――UtaTenは歌詞サイトなので、『Montage』収録曲の中からお気に入りのフレーズを教えてください!
ソラ:『Vale tudo【MAKE MY DAY】』の「典型的な臆病者は既にこんな曲なんて聴かない」が好きです。理由は最強の尖りだな!って(笑)現代音楽シーンの風刺を皮肉交じりに言いつつも、それなりの覚悟があって言っているという所が、カッコいいなと。俺らが塗り替えてやるみたいな部分も裏テーマとしてあるので、ここが一番好きです。
片桐 航:俺は、『欲を纏う』の「心動かすものだけ見ていたい 目に余る 慰めじゃなく」が好きです。
ソラ:そこ選んだんだ(笑)
片桐 航:まさに、自分もこうありたいし、こういう事を思わせたいっていう一番の部分ですね。その場凌ぎのリズムで騙すような曲じゃなくて、もっと心を一曲一曲動かすような曲とライブをしていきたいし、俺もずっと憧れているアーティストにそうしてもらいたいしっていう今一番の目標です。
kazu:僕は『オーロラ』のサビの「忘れたい忘れさせて二人想像した未来を」が好きですね。
ソラ:大丈夫?なんかあった?(笑)
全員:(笑)
kazu:僕、個人がどうとかではないんですけど、「忘れさせたい忘れさせて」ってレコーディングする前の段階から、割と早めに決まっていたフレーズで。サビの頭でバンドが一斉に入ってくる中で、この歌詞の空気感がすごく好きで。
今までは、割と演奏重視でレコーディングをしていたんですけど、この曲は歌詞が固まっている状態でレコーディングが出来たっていうのもあったので、それが印象に残っています。歌詞を知った状態で弾けて良かったなーって。このストーリーは悲しすぎるな~とも思うし、昔から知っている曲なのでとても思い出深いです。
KANDAI:『Vale tudo【MAKE MY DAY】』の「正解なんて解らないしやるかやらぬで待ったなし 別に座ってたって時は経つし だけど世界に飼い殺し 脳ミソと足動かして行動をとってんだ今も 放置されたお前の人生とは真逆 Day by day」が好きです。やるかやらぬかっていうのは何事に置いてもそうだと思うんです。
自分たちはバンドで、普通の人からしたら“無理っしょ!”って散々言われてきた身なんですけど、ここまではやってきていて。まだまだ先を見ていますが、ここまで来るっていう段階では誰も諦めなかったんですよね。
この間地元でライブがあって、そのときに地元の友達と話していたんですけど、“未だに夢もないし、ただただ生きてるだけだわ”とか言ってて。別に放置されている訳じゃないですけど、もっと俺も頑張らなきゃなって思えて。それに“お前は、俺達の秋田の星だから頑張ってね!”って言われて、ここのフレーズが再生されました。喧嘩売っている感じですけど、自分に拍車をかける意味でもすごく好きですね。

――最後にバンドを代表して、航さんからファンの方にメッセージをお願いします。
片桐 航:このアルバムタイトルにしてこの曲たちを入れたのは、怒りや感動もあれば、悲しみもあるっていう、どれが自分なんやろ?と悩みだす瞬間とかもあると思うからで。でもその一個一個の感情が自分やし、それを否定することなく、自分が素直に思った感情を肯定して欲しいっていうアルバムになっています。
だから怒りが湧いたときは、そういう曲を聴いて欲しいし、切なくなったらそれを慰めるような俺達のメッセージを聴いてもらえればいい。場面場面で素直な自分を肯定して、その時に一番聴きたい曲をこの先も聴いていってほしいなって思います。
TEXT:橋本美波
PHOTO:大西基

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