銀杏BOYZがtetoを招いたツアー初日、
半年ぶりのライブで放った圧倒的エネ
ルギー

銀杏BOYZ「GOD SAVES THE わーるど」ゲスト:teto

2018.11.7 Zepp DiverCity TOKYO
銀杏BOYZ、1年ぶりのツアーの初日の東京公演、11月7日Zepp DiverCity。銀杏BOYZとしてライブを行うこと自体、5月5日さいたまスーパーアリーナでのフェス『VIVA LA ROCK』に出演して以来、実に半年ぶりになる。
teto 撮影=AZUSA TAKADA
先にステージに上がったのはteto。このバンドに峯田が、ツアー初日のゲストのオファーを出したことを知ったときは「へえ!」と思った。銀杏BOYZと同じUKプロジェクトのバンドであり、銀杏BOYZから多大な影響を受けているが決して物真似には終わらぬ、というか真似ようと思っているいない以前に結果的に違うものになってしまう、そんな個性が如何ともし難くにじんでしまうようなオリジナリティーに満ち満ちている、現在注目度急上昇中のバンドである。ちなみに彼らは、現在ファースト・フル・アルバム『手』のリリース・ツアー中なのだが、そうであってもこうしたオファーを断ることはないようで、この4日前のキツネツキの渋谷クラブクアトロにもゲスト出演していた。
teto 撮影=AZUSA TAKADA
全7曲、文字通り駆け抜けるかのようにあっという間、情熱が爆発しっぱなしの熱い熱いステージ。ボーカル&ギターの小池貞利、いつものように歌いながらマイクスタンドを口で押してじわじわ回転しつつ、声を放ち続ける。「歌う」とか「叫ぶ」というよりも「歌をぶちまける」という方がしっくりくる。
teto 撮影=AZUSA TAKADA
ただ、銀杏のゲストというのは、やはりいろんな思いを抱えざるを得ない場だったようで、中盤のMCでは銀杏BOYZのすごさを讃えつつも、「ただ、9年もアルバム出さないのはやりすぎだと思う」などと、今ここで言わなくていいようなことをわざわざ言ったりもする。それまで彼らに好意的な空気だったフロアが、一瞬微妙な空気になったが、ただ僕は、無難に讃美だけしてその場を去るのでは気がすまない、敬意と愛を示すだけでは帰れないというあたりに、却って銀杏イズムを感じた。
去り際に小池貞利、弾いていたギターを床に叩きつけた。そしてギターの山崎陸は、服だけを残してステージを後にした。
teto 撮影=AZUSA TAKADA
銀杏BOYZ 撮影=村井香
銀杏BOYZは、この5人でライブをやるようになって以降、もっと荒々しいステージングだった時期も、もっと過激でむちゃな感じだった時期もあった。しかし、1曲1曲、その瞬間その瞬間でステージで爆発し続けるエネルギーの総量は間違いなく過去最大、もしかしたら旧メンバーの時代まで含めても今がピークかもしれない。峯田和伸はダブダブのジャージ、ベース藤原寛は普通サイズのジャージ、それ以外の山本幹宗(ギター)、加藤綾太(ギター)、岡本健二(ドラム)の3人はジャケット着用という、ぱっきり2タイプに分かれたスタイリングでステージに登場した銀杏BOYZは、この日、そんな圧倒的なライブをやった。
銀杏BOYZ 撮影=村井香
前述の『VIVA LA ROCK』のステージでは額から血がにじむほどマイクをゴンゴン打ちつけ続け、挙げ句去り際に転倒してモニターに目の上をぶつけて大流血していた峯田、今日はそんなに頭にマイクをぶつけなかったし、一度ギターを弾きながら背中から跳んだ以外はダイヴもしなかった。頭から最後まで、ライブをやれる、今ここに立てている、という喜びに打ち震えた、というか心身を乗っ取られているみたいな状態に見えた。
銀杏BOYZ 撮影=村井香
歌っているときも、間奏でギターを弾きながらフロアに目をやっているときも、しゃべっているときも、峯田の表情、この日は特にすごかったように思う。なんだ「すごかった」って。ええと、喜怒哀楽もそれらの間にあるさまざまな感情もまとめて一気に大噴出したみたいな、そうやってあらゆる感情に襲われてどんな顔していいのかわからないみたいな、そんな表情だった、ということです。
目が釘付けになった。GOING STEADYの頃から、それなりに長いこと、この人のライブを観ているけど、こんな顔してる峯田、俺、観たことあったっけ。と思うほどだった。
銀杏BOYZ 撮影=村井香
なお、メンバー4人とも、そんな峯田とまったく距離がない、それぞれがそれぞれにイキまくりのステージングだったことにもしびれた。ドラムの岡山健二なんて、激しく叩きすぎてドラムセットから転げ落ちていた。座って演奏する楽器なのに、転げ落ちるってなんなんだ。ギターの山本幹宗と加藤綾太は、一緒にプレイするようになったのはこのバンドが初めてとは思えないほど、アクションの面でも音の面でも、曲の中での、ステージの上での「ここでスパーク!」という瞬間が、異様にぴったり合っている。コーラスやサポート・ボーカルを務めるとき以外は、この5人の中で比較すると比較的黙々とプレイするタイプに見えるベース藤原寛も、青い炎が立ち上るような凄みを全身から発している。
銀杏BOYZ 撮影=村井香
「やっとライブ、この日が来ました」「デートの待ち合わせ、遅れました」「昨日ベッドの中で、今日が楽しみで」という最初のMCは、「なるべく気持ちをこめて歌います」という言葉でしめくくられたが、そう言って歌い始めた峯田の声をかき消しそうな勢いで、オーディエンスの大合唱が響く。「駆け抜けて性春」や「BABY BABY」のような長年歌い続けられているアンセムだけでなく、「恋は永遠」や「エンジェルベイビー」といった最近の曲でも、同じようにでっかいシンガロングが巻き起こる。みんな普段から超熱心に銀杏の曲と向き合っている、そして今日のこの時間を本当に楽しみにしていたことが伝わって来る、「ああ、いいファンだなあ」と思わされるこんな光景が、最初から最後までくり返されるライブでもあった。
銀杏BOYZ 撮影=村井香
以上、ツアー1本目なので、曲順等がわからないように書きました。曲名を出すのも「まあこれはやるよね」というやつだけにしました。
とにかく。1月15日の日本武道館が、ただただ楽しみになった。2017年の日本武道館も最高だったが、あれとはまた違うものを見せてくれると思う。
なお、その2017年の武道館の映像が、『デイドリーム 祈り』という作品として、このライブの日、11月7日にリリースされた。音楽に目覚めた頃、VHSに録画した『夜のヒットスタジオ』のザ・ブルーハーツや、ユニコーンのNHKのクリスマス特番を何度も何度も観ていたら、どんどん画質が悪くなっていってしまった、それでも観ていた、自分のそんな体験に近い作品にしたいと思って編集したら、すごく時間がかかって1年後のリリースになってしまった──峯田はMCで、そんなふうにこの作品を紹介していた。

取材・文=兵庫慎司 撮影=村井香(銀杏BOYZ)、AZUSA TAKADA(teto)
銀杏BOYZ 撮影=村井香

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