蓬莱竜太作『まほろば』が新演出にて
上演 高橋惠子、早霧せいな、中村ゆ
り、三田和代らが出演

2019年4月5日(金)~21日(日)まで東京芸術劇場シアターイースト、4月23日(火)~4 日(水)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、『まほろば』の上演、そして全キャストが発表された。
日本の現代演劇の中でも名作戯曲といわれる蓬莱竜太作の本公演は、2008年に新国立劇場で上演、日本という国家を逆照射するホームドラマは好評を博し、翌2009年に岸田國士戯曲賞を受賞、2012年に再演された。そしてこの度、本作が初演・再演の演出家と世代もバックグランドも全く異なる劇団チョコレートケーキの日澤雄介演出により、新たなアプローチで蘇る。そして高橋惠子、早霧せいな、中村ゆり、生越千晴、安生悠璃菜・八代田悠花(W キャスト)、三田和代といったキャストが出演する。
軽妙でテンポの良い女たちの会話の深層に「妊娠」「家」「血脈」という奥深いテーマが潜む本作。名作とは、その時代
ごとに異なるものを浮かび上がらせてくれるが、2008年初演から10年、「出産観」や「家庭観」が多様化し、現代では本作の登場人物たちの選択が珍しいものでなくなった。
新演出となる新たな『まほろば』では、母・ヒロコを中心5世代にわたる「女性の在り方」に焦点をあて旧世代の象徴的な存在ヒロコの心象が物語を通して徐々に変化し、子供たちの生き方を受け入れ、また自分も変わろうとする“女のたくましさ”を描き出す。
【ストーリー】
とある田舎町、祭囃子が聞こえる中、宴会の準備をする母・ヒロコ(高橋惠子)。長女・ミドリ(早霧せいな)は東
京に出ていき仕事を理由に結婚をせず、次女・キョウコ(中村ゆり)は父親不明の娘・ユリア(生越千晴)を出産し今もこの家に住み着いている。かつて地元の名家として知られた藤木家は男の跡取りもなく、ヒロコは娘たちに苛立っていた。そんなある日ミドリが突然帰ってくる。さらにユリアまでもが前触れもなく現れる。祖母・タマエ(三田和代)、見知らぬ近所の子供・マオ(安生悠璃菜・八代田悠花)も加わり、女たちの赤裸々な会話が進む中、ミドリから衝撃的な告白が……。

作:蓬莱竜太 コメント
蓬莱竜太
男所帯の劇団で執筆している僕が、初めて女性だけの芝居を描いた作品である。『妊娠』という女性ならではのテーマが話の中心にはあるが、描きたかったのは性別ではなく人間の姿だ。僕にとって色々な扉を開いてくれた作品な気がしている。劇場の外で女性のお客様に『女の人生は閉経してからなんですよ』と笑顔で言われたことを今でも忘れない。もう10年ほど前の作品なので少し照れくさい気もするが、演出、役者も一新されているわけで、新作を観るような楽しさで劇場に向かいたいと思う。
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)コメント
日澤雄介
名作と呼ばれる戯曲は、色褪せることなくその時代を映し出します。蓬莱竜太氏の『まほろば』は、間違いなく名作と呼ばれる戯曲の一つであり、平成という時代とその時代に生きる女性を色濃く映し出しました。『まほろば』初演から 10 年、世の中の移り変わりと共に様々なものが形を変えてしまいました。良いにせよ悪いにせよ、その変化に目を向けつつ演出したいと思っております。そして新しい時代の始まるこの年に、それでも変わらない何かを探します。
高橋惠子[母・ヒロコ] コメント
【楽しみにしていること】
4世代に渡る女性だけの話という事に加え長崎弁のセリフの言い回しがどんな独特な雰囲気になるのか今からとても楽
しみにしています。共演者の方々も初めてご一緒する方がほとんどなので新鮮な気持ちで挑みたいと思っております。
【役の印象】
嫋やかで芯も強く、でも前向きで明るい部分もある女性で昔の日本の母をイメージさせるような印象を持ちました。

早霧せいな[長女・ミドリ] コメント
【楽しみにしていること】
私自身、ずっと憧れていたストレートプレイへ初挑戦です。しかも脚本が最高に面白い! ストレートプレイだからこそ、お客様には誤魔化しのきかないありのままが伝わると思います。初挑戦だからこそ怖いものはない! 世代の違う 6人の女性達で創る舞台。皆さんから沢山学んで吸収して体当たりで演じたいと思います。どんなお稽古、本番になるのか想像するだけで楽しみで仕方ありません。
【役の印象】
今の等身大の自分を投影できる役! それが第一印象です。なにせ共通点が多い! 実家が長崎で長崎弁を話す。東京で働いている。長女であり、妹がいる。などなど。女性がかかえるナイーブな問題をウィットに富んだ形で表現できる役です。
中村ゆり[次女・キョウコ] コメント
【楽しみにしていること】
蓬莱さんの書かれる脚本、演劇は、人の覗かれたくない暗部や、隠しておきたい現実的な部分を絶妙にえぐる鋭さがあるのに、最後にはそれぞれの人間みんなが美しく愛しい者として見えるような、不思議な力があるといつも感じております。今回は女性だけが出演者のお芝居です。女性の持つ、逞しさ、脆さ、強かさ、儚さ、様々な側面を、これだけ個性の違う魅力的な女優さん達と、日本演劇界を背負う、才能ある日澤さんの元で、どんなものが生み出されるのか、非常に楽しみにしています。
【役の印象】
家族の中でも若い頃から奔放で、恋多き女で、問題児ではあったとは思いますが、その分真っ直ぐで、その時々の愛情深さは持っているし、好きなようにやっているように見えて周りをハラハラさせるけれど、実は家族のバランスを取っているような、破天荒だけど繊細な人だと感じています。
生越千晴[孫娘・ユリア] コメント
【楽しみにしていること】
初めて戯曲を買ったのは「まほろば」でした。戯曲のパワーが物凄く、文字で力強さを感じたのは初めてで衝撃を受けました。その作品に参加できることが夢のようで心から嬉しく、不安もありますが楽しみです。そして女性だらけの戯曲も初めてで、さらに四世代に渡る女たち。この歳になり、女とは色々ある、めんどくささや面白さも感じてきた今、日澤さんのもと、幅広い年代の皆さんとどんな芝居を作り上げられるか、今からすごく楽しみです。
【役の印象】
私はユリアを演じます。第一印象はまだ 20 歳と若く、少し複雑な家庭に育ちつつも、自分の言葉を持ち、しっかり考え、判断することができる芯のある子だと思いました。どんな状況にあれど、20 歳ならではのあどけなさや無垢さみたいなものを 26 歳の私がどう演じられるか課題な気がしています……。そしてこの家族自体、どんな家庭なのか、母親キョウコとの関係、色々皆さんと稽古で埋めていけるのが楽しみです。
三田和代[祖母・タマエ] コメント
【楽しみにしていること】
長く生きていると、ワッ! 生きていて良かったと思う事が時々あります。今回は、その最たるケース。日本演劇界トップの劇作家、蓬莱竜太氏の出世作。人気ナンバーワンの劇団チョコレートケーキの演出家、日澤雄介氏の演出。エネルギッシュな俳優陣。このチームに参加できるなんて夢のようです。素敵な出会いの予感がします。皆様の足を引っ張らぬよう、そして、まだ見たことのない新しい自分に出会えればと期待しています。
【役の印象】
「神出鬼没、本気か冗談か、何だかトボケたお婆さん」。タマエは、一見するとそう見えますが、実は、経験をたくさん積んだからといって、生きる術がそう簡単にわかるものではない事を、彼女は熟知しています。そうです、彼女もまた、ハテナしながら、今を、懸命に生きている、現役バリバリの女性の一人だと私は感じています。家族を思いやる気持ちを、かるく、あかるく、あたたかく、演じられればと願っています。

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