【XTEEN インタビュー】
テーマは反逆と殺意。
ホラーパンクXTEENとは?
黒服系ホラーパンクアイドルユニットとして活動中のXTEEN(クリスティーン)。彼女たちは病んだ心の闇を世の中へ反旗を翻す反逆のメッセージに変え届けていく。最新シングル「ROMANTICIST」ではゴスロックに乗せ、《吐き気がするほどロマンティックだわ》と世の中を皮肉る。その真意をメンバーに話を訊いた。
XTEENの誕生から、どれくらいの月日が経ちました?
姫草
10月25日でちょうど8カ月になりました。結成以来編成も3回変わったように、激動な日々を過ごしています(笑)。
打ち出している音楽性が…
楔條
XTEENは黒服系ホラーパンクという色を打ち出しています。アイドルは歌って踊るのがメインですけど、XTEENは踊りを排除して歌と煽りとカッコ良さを追求しているグループなので、そこが自分たちの強みであり、自信を持って表現していけるところです。
メンバーの性格もオラオラな煽り系?
楔條
僕はXTEENへ加入する前にキラキラ系のかわいいアイドルをやっていました。その時は自分を繕いながら“かわいくしなきゃ”と思っていましたけど、それがすごく窮屈だったんです。だけど、XTEENでは素の自分を出して活動ができていて、もともと持っていたオラオラな性格を活かせているなと感じています。
姫草
XTEENは生演奏を軸にしているように、いつもライヴが爆音なんですね。だから、XTEENを始めた頃は“なんでこんなに音が大きいの?”と歌いながらイライラすることもあったり(笑)。それまで触れたことのない音楽性だったんですよね。毎回、ライヴでは自分の実力を試されていると感じています。お客さんはもちろん、自分自身とも勝負をするように全力で挑んで、ライヴ中は別の私になった気持ちでパンクをしています。ギャップの世界ですね。最初は“ホラーパンクって一体何?”と思いながら、よく分からずに活動をしていましたけど。最近はノリノリでライヴを楽しんでいます(笑)。
ゆりあんぬ
あんぬ(ゆりあんぬの愛称)はまだ加入して2カ月半くらいですけど、前にもアイドル活動は経験していて、次にアイドル活動をするならロック系やパンク系の楽曲を歌えるアイドルをやりたいと思っていたらXTEENを見つけて入りました。かわいいものは好きですけど、自分がやるならかわいい歌や踊りよりもフロアーで思い切り暴れるものがいいなって。だから、今のXTEENのスタイルは本当にやりやすいし、やってて楽しいです。
姫草
XTEENの歌はどれも中2病みたいな子が主人公で、最近はその世界に馴染んできたのか、心に殺意を抱きながらライヴをしています。
XTEENのオリジナルメンバーは?
楔條
それで僕が5月に第二期メンバーとして加入をして…
ゆりあんぬ
8月に第三期メンバーとして加入しました。
個性の強いグループだけに、その色に染まれる人でないと活動していくのは難しいグループですね。
姫草
全ての動きがマジなので、本当にやる気がないとXTEENの活動には付いていけないんです。たとえやる気があっても、それに見合う熱量が必要で。そこが高くないと続けていくのは難しいと思います。
先ほどから出てくる、““殺意”が気になります。
姫草
XTEENの全ての楽曲においてテーマにしているのが“反逆”で。しかも、大人に対する殺意や差別に対する殺意など一曲ごとに異なる反逆の理由を詰め込んでいます。ライヴではテーマに据えた殺意を自分たちなりに歌声やパフォーマンスに込め、フロアーに向けて熱を持って歌い叫んでいます。
楔條
僕たち3人ってそれぞれにコンプレックスを持っていて、世界をちょっと恨んでいるところがあるんですね。差別やいじめなどに対して。もちろん、来てくれるお客さんに感謝を覚えながらも、ライヴで歌う楽曲を通してその殺意をぶつけるのがXTEENのスタイルで。だから、毎回“お前ら全員、今日この場で殺してやる!”という気持ちでやっています。ライヴのたびにお客さんを殺しては、また生き返らせることを繰り返しています。
ゆりあんぬ
おかげでXTEENのライヴ中のフロアーはヲタクゾンビだらけです(笑)。
姫草
XTEENの世界は非日常だし、似たグループもあまりなくて、いろんなアイドルさんと対バンをするたびに“うちは違うな”と思えるのも嬉しいことで。カッコ良くライヴができた時はもちろん、ボロボロの時でも一番黒く輝いていますし、たとえお客さんがひとりでもこっちを向いてくれるなら、うちらは全力でやるだけ。それとXTEENは初ライヴからずっとGASTUNKの「Devil」を入場SEに使っているのですが、曲の衝撃が強すぎるのか、知らないお客さんは唖然として入場パフォーマンスを観ています。最初は私たちもこの曲に殺意を持っていたくらいですから(笑)。
最初は訳が分からず始めながら、いつしかみなさん、心に“殺意”を抱くようになったわけですね。
楔條
いつしか殺意を抱いていましたね(笑)。たとえこの身がボロボロになろうと、常に僕らは殺意を持ってライヴへ向かいますから。
初めてXTEENに触れる人たちのためにも、それぞれのキャラクターの魅力も教えてください。
楔條
姫は黙っているとちょっと冷たい印象だし、やる気も表立っては出さないんで、全然知らない人からしたら嫌な女と思われがちですけど、ちゃんと話し合ってコミュニケーションをとると、こんなに熱い女はいないと思います。僕の熱量にとても合う子で、“この子と出会えて良かった”と運命を感じるくらい、本当に熱くてカッコ良くていい女だなと思います。見た目だけじゃなくて、ちゃんと中身を知ってから姫のことを語ってほしいです。
ゆりあんぬ
最初は気難しい人かなと思ったけど、全然そんなこともなくて。私の意見も聞いてくれるし、若干クールぶっているけど(笑)、本当は面白い子です。
ゆりあんぬ
そこが勘違いなところ(笑)。でも、熱い性格だし、面白いし、いろいろはっきり言ってくれるところも姫ちゃんのいいところだなと思います。
楔條
自信を持って“うちのセンターです!”と言える子です。
ゆりあんぬ
続いて詩苑ちゃんですが、彼女は最初厨二病なキャラだと思っていたけど、そう見えるだけで、今のまんまの真っ直ぐな子。私はそこが好き!!
姫草
二期メンバーとして入ってきて、初めての練習の時に全部完璧に覚えてきていて、その時点で“この子はすごいな”と思いましたね。やる気や熱量を身体中から発する…私の中で詩苑ちゃんは器用でカッコ良いXTEENのヒーローです。あんぬはXTEENとして活動を始めてからまだ2カ月ちょっとですけど、とにかくやさしくて、意見を聞いてくれるバランサータイプです。私と詩苑の会話が熱くなりすぎるたびに、いつも中立の立場で“私はこう思うよ”としっかり意見を言ってくれる子だからね。バンドの音楽が好きでふたりが知らないバンドのノリ方を曲中にぶっ込んでくるから、XTEENの中へ新しい風を吹き込んでくれるのもあんぬですね。
楔條
僕の印象は、見た目に反してめっちゃ心のやさしい子ということ。XTEENで唯一の純真タイプ。本当に素直だし、嘘をつけない良い子だと思います。
XTEENは11月3日にシングル「ROMANTICIST」を発売しますね。
姫草
表題曲の「ROMANTICIST」はXTEENの中ではわりとかわいいめな楽曲です。
姫草
今までのようなガッと迫り来る楽曲とは違って入りやすくてノリやすいし、ロックを聴いたことのない人でも気持ちが沸くようなテンションの上がる曲です。歌詞はかわいさを否定したどころか殺意を持った内容。でも、それがXTEENらしさですから。私は《Fed Up》(うんざり)と叫ぶ歌詞が好きなんです。そこに殺意を込めると自分が女の子だと認識しながら歌えるポイントにもなっているんですよね。まさに、“アイドルだけど殺意を持ってる”というXTEENを象徴している言葉だし、女の子がパンクをやっている世界観を歌詞に散りばめているところも「ROMANTICIST」の魅力です。
ライヴでもすでに披露していますよね。
楔條
ライヴでも一番お客さんのハートを掴んでいる曲じゃないかな。
ゆりあんぬ
《吐き気がするほどロマンティックだわ》という言葉を読んだ時に、あんぬは酸素に触れる前の血液とか、黒くなる前の真っ赤な血みたいな感じがした。
姫草
ドス黒いというよりは、ちょっとした毒って感じかな。きれいな言葉を使っているけど、どの言葉の意味も黒く病んでいるところがXTEENらしさだから。
「Alice The Ripper」にも強い殺意が出ています。
姫草
今回収録した中で一番黒い曲ですからね。あまりに悪さをする子は不思議の国に閉じ込めてやる!という、大人に対する反逆の歌。私がアリス役として歌ったり、それぞれ役柄を決めて歌や振り付けをしています。その中で初めてラップにも挑戦しました。プロデューサーから、日本のヒップホップ系ではなくRage Against the MachineのZack de la Rochaのようなかなり攻め込むラップでと言われ、3人とも頭の中が“?”状態で(笑)。そこは音源を聴いた上で自分たちなりに解釈をしてやりました。
《鮮やかに 殺れ》という言葉も素敵ですよね。
姫草
殺意を表しやすい言葉という印象でしたし、この言葉を歌う時にガッとアドレナリンも上がります。
「Living Dead Doll」は掴みを持った楽曲です。
姫草
この曲はこれまでのXTEENにはないキャッチーさを持った歌になりました。
楔條
でも、今のかたちに落ち着くまで、メンバーのライヴでの歌いやすさに合わせて5回くらいキーが変わって歌詞も変わったけどね。
姫草
他の曲もそうですが、ライヴを通して歌や歌詞、振りが少しずつ変化しながら完成していくのもXTEENのスタイルだと思います。
ゆりあんぬ
最初は振りも多かったのに、“ライヴで暴れやすく”というXTEENのスタイルに合わせてかなり減りました。
この作品ではMary's BloodのギタリストのSAKIさんが全面参加していますが。
楔條
SAKIさんを通してXTEENのことを知ってくれた人たちも多いです。
姫草
バンドファンでアイドルに触れるのは初めてという方もライヴに来てくれているようになって嬉しいです。
XTEENはゴスロリファッションを魅力にしていますよね。ということは…
ゆりあんぬ
逆にアイドル現場にいそうな人が少ないです。
姫草
MOTERHEADの「IRON FIST」の日本語カバーもしているんで、そこからファンになってくださった方もいます。
楔條
おかげでアイドル現場での他のグループさんとの温度差がすごいですけどね(笑)。
ゆりあんぬ
他のグループさんのファンの方たちが思い切りMIXしてたあとに私たちのライヴが始まると、急にMIXがなくなるからね(笑)。
姫草
今やXTEENの現場はMIX禁止にしています(笑)。
12月18日には目黒鹿鳴館を舞台に『姫草雛奈子 生誕GIG』の開催も決まりましたね。
姫草
その日はすごいゲストが登場する予定なんですよ。しかも、人生初の生誕祭で私の二十歳の誕生日当日であり、XTEEN初の主催イベントにもなります。私が初めて作詞をしたソロ曲「Heroine」を披露するんですけど、それまで自分に自信のなかった女の子が“カッコ良い女の子になる!”と強気に宣言していく、私自身を投影した内容なんです。聴く人たちも歌う私も強気になれるこの曲の中にも殺意を込めています。女の子はかわいだけじゃない…みんな毒も棘も持っているという歌です。まさにXTEENの世界観ですね。
最後にXTEENの観どころを教えてください。
楔條
殺意や毒もそうですけど、XTEENは同じライヴは絶対にしないので、毎回違う表情を持ったXTEENのライヴを観に来てほしいです。
ゆりあんぬ
私の髪の毛の色も日に日に変化したり、急に色を変えたりなど気分で変わるのでそこも観どころです。あと、同じライヴは絶対にできないので、あとになって“観ておけば良かった”って絶対に後悔してほしくないです。
楔條
ライヴを観れなかったことを後悔するようなライヴを毎回やりたいよね。“なんで行かなかったんだろう?”って毎回思わせたいです!
取材:長澤智典
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シングル「ROMANTICIST」2018年11月3日発売
BODY COUNT
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『姫草雛奈子 † 生誕GIG 「20th BIRTHDAY BASH “Heroine is Me”」』
12/18(火) 東京・目黒鹿鳴館 ※XXX-DAY
クリスティーン:2018年2月に結成された黒服系ホラーパンクアイドルユニット。ユニット名の由来はStephen Edwin Kingのホラー小説『Christine』から。4月にMary’s BloodのSAKIがギターで参加したデビューシングル「Eclipse」を発表。幾度かの脱退と加入を経て10月に現在の3人編成になる。11月3日、新体制初となるシングル「ROMANTICIST」を全国リリース。XTEEN オフィシャルHP