【ライヴレポート】Koochewsen、変幻
自在な演奏とポップで美しいメロディ
で観客を燃え上がらせたライブ@渋谷
WWW

2018年10月25日(木)渋谷WWWにて、Koochewsenのライヴ<Koochewsen 1st full album「sweet illusion」Release party@渋谷WWW>が行われた。

このライヴは、10月17日にデジタル・リリースされた1stフルアルバム『sweet illusion』の発売を記念して行われたもの。会場ではこの日から会場限定CDも販売された。2017年10月にバンド名表記を“クウチュウ戦”から“Koochewsen”に改名してからちょうど1年、アルバムのリリース・パーティである共に、1年間の集大成的な視点でも、どんなステージを見せてくれるのか注目された。
ゲストに迎えたSuiseiNoboAz呂布カルマのライヴに続き、21時頃にメンバーの網走ぱうろ(Dr)、ベントラーカオル(key.Sampler.Gt)、西平匠杜(Ba)、小林リヨ(Vo,Gt)がステージに上がる。「Koochewsen 1stフルアルバム『sweet illusion』リリースパーティにようこそ!つべこべ言わずに踊ろうぜ!」との小林のの呼びかけに応えて客席がドッと沸き立ち、「your TV」からライヴがスタートした。ミニマルなリズムにエフェクトがかかったベースラインとキーボードが絡みながら高まっていく音像は、大木にツタがまとわりついて登っていくよう。ラップ調に始まり、オートチューンがかかったヴォーカルも聴かせる小林。混沌としながらもエモーショナルなオープニングとなった。
「SuiseiNoboAz、呂布カルマ、両方とも超ヤバかったな!でも今日その2組を呼んだのは、俺らのハードルとなってもらうためだから。軽々と飛び越えていくぜ!」(小林)

「セクシーホモサピエンス」では、小林がギターを持ち、鋭いソロを披露。早口なボーカルを聴かせる前半と、ファルセットで聴かせるサビのギャップがユニークだ。熱いソロを聴かせたベントラーカオルのキーボードだが、それとは対照的に静かなメロディを弾いて始まった「city rock」では、徐々に熱を帯びるダンサブルなアレンジに観客が体を揺らす。
「ありがとう!今日は会場限定CD発売ということで」と、小林の短いMCからスポットライトを浴びて歌い出したのは、アルバム表題曲「sweet illusion」。ドラム、ベースによる緩いダブ・サウンドに、ベントラーがスタッカート気味なオブリガードを調味料のように加えていく。ステージの照明も相まった、幻想的な世界観。コーラスのリフレインが延々と続き、会場中を支配していく。曲が終わると、圧倒されたように立ちすくんで聴き入っていた観客から大きな拍手が起こり、序盤のハイライトとなった。その世界観を引き継いだ「spacey summer II」の空間を活かしたエフェクティブなサウンドによるサウンドスケープは、別世界へと誘われるようだ。

どこかノスタルジックな「深海魚のマーチ」を挟み、激しくドライブする「Music Traveler」から、ライヴは後半へ。小林のファルセットボイスは、もはや一つの楽器のようで、大きな武器だと感じさせる。また、ベントラーのコーラスと小林のギターがユニゾンする場面もある等、曲ごとに変幻自在で飽きさせない。
発表がある、と小林が網走にドラムロールを求めるも、水を飲んでいたりでタイミングが合わず。観客を笑わせながら3度目のトライでようやくドラムロールを成功させてから告知されたのは、2019年1月11日(金) 渋谷clubasiaでのワンマン・ライヴ開催。大きな歓声を集めていた。
「いっそUFO」では、神経をかき回すようなハイトーンのギターリフ、ド迫力な演奏から、軽快なギターのストロークへと変化して、モータウンサウンドばりのポップな展開に。そして再び轟音に戻るなど、つかみどころのないプログレッシブなアレンジに観客は圧倒されている様子だ。スケールの大きく優しいフォーキーなメロディがこの日演奏された曲の中では新鮮に響いた「English man」から、「ヴィーナスの恋人」へ。ギターを弾きながらステージを縦横無尽に動き回ったベントラーがキーボードにチェンジすると、流麗なフレーズを中心に、バンドは一体となり白熱のアンサンブルを聴かせて、ステージを後にした。

すぐにアンコールに登場した小林は、「改めて、こんなに目の前にたくさんの人がいるのを目の当たりにすると、感謝の気持ちを伝えたくなるね。どうもありがとう!」と、観客に感謝の気持ちを伝えた。そして、「地球上、この世。誕生したすべての“soul”に、ありがとう」。そんなセリフから歌われたピースフルな「soul」の余韻が残るまま、最後のMCへ。
「今日はお祭りみたいなもんだから、今度はワンマンでもっと音浴びにきて。どうもありがとう!」と呼び変えると、ミディアムテンポの「作られた歌」で、熱くなった会場をゆっくりとチルアウトさせ、リリースパーティを終えた。

変幻自在な演奏と歌は、サイケデリックでありながら、あくまでもポップで美しいメロディが際立つもの。野外など、よりスケールの大きな会場で観てみたくなる、そんなライヴだった。

取材・文●岡本貴之

セットリスト

<Koochewsen 1st full album「sweet illusion」Release party@渋谷WWW>
2018年10月25日(木)渋谷WWW
1. your TV
2. セクシーホモサピエンス
3. city rock
4. sweet illusion
5. spacey summer II
6. 深海魚のマーチ
7. Music Traveler
8. いっそUFO
9. English man
10. ヴィーナスの恋人
EN1. soul
EN2. 作られた歌

リリース情報

1st full album『sweet illusion』
2018-10-17 Release
1. soul
2. city rock
3. your TV
4. spacey summer II
5. いっそUFO
6. 深海魚のマーチ
7. ヴィーナスの恋人
8. English man
9. sweet illusion
※CDはライブ会場限定・10/25より販売開始

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

新着