the GazettEがいまスタンディングツ
アーを行なう理由とは? メンバーコ
メントと併せてその価値を考える

最新アルバム『NINTH』を引っ提げた国内ツアーの第2弾となる『THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』を、間もなくスタートさせるthe GazettE。去る7~9月に行われた『THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-』は各地のホールを転戦するものだったが、今回はスタンディング形式の会場を廻る。これがいかに特別なことであるのかは、彼らのライブに参加してきた人であれば、すぐさまわかるだろう。
座席指定ではない分、より自由にフロアで反応を返せるといった単純な違いはもちろんある。そこに魅力を見出す人がいてもいい。事実、そこで生まれた熱がバンド側を刺激し、思いもよらぬパフォーマンスにつながることもある。
ただ、今回の『PHASE #02』において、何よりも重要だと思えるのが、『NINTH』に収録された楽曲群が、『PHASE #01』を通して、音源以上に研ぎ澄まされている点だ。それは初日の埼玉・三郷市文化会館大ホール公演の時点で容易に想像できていた。
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe
一般的にツアーの序盤は、リハーサルをいくら繰り返したとはいえ、新曲へのアプローチが試行錯誤するケースは少なくない。よりよい形に変容していく様を目撃できる貴重な期間でもあるが、今回のthe GazettEに関して言えば、過去のアルバム発表時と比べても、驚くほど早い仕上がりを見せていた。極めて重厚で攻撃的なコンセプトを有した前作『DOGMA』(2015年)に伴うツアーの際は、特に各マテリアルと対峙し、打ち克っていくかのような修練の様相が独特の緊張感を生み出していたのとは対照的で、『NINTH』に対しては、早々にその核心を掌握し、あとはいかに自在にハンドリングするかというレベルにまで到達していたように映った。
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe
実際に『PHASE #01』を終えた直後、予想どおりに、メンバーからは“手応え”を感じたこと、さらなる進展を確信している旨の言葉を直接耳にしている。具体的に換言するなら、『PHASE #01』で完成形に至った『NINTH』の世界を、より本質化させる場が『PHASE #02』ということだ。おそらく今もそのためのアイディアを様々に思案しているところだろう。
そういった5人の姿から伝わってくるのは、『NINTH』というアルバムが改めて提示することになった“the GazettEらしさ”である。作品の制作を始めるに当たり、彼らの念頭にあったのは“NINTH”という言葉だけだった。つまり、シンプルに“9枚目”ということである。ただ、「NINTH ODD SMELL」の歌詞にはバンドの足跡が象徴的に綴られているが、そのつどの音楽的実験を取り込む全体像のテーマ設定はなされていない。曲が出揃うまでに幾度ものミーティングが繰り返され、「ABHOR GOD」のようにレコーディング作業の完了直前に形となったものもある。その意味での“産みの苦しみ”は確かにあった。だからこそ、ポジティヴな意味でギミックのない、どこから切り込んでもthe GazettEのスタイルが強烈に放たれるマテリアルのみが並ぶことになったのは、結果論とはいえ、興味深い現象だった。
しかも、直感的に覚えたのは、ライブでの実演が見えてくる生々しさである。無論、音源制作と実際のステージは同一ではないものの、『NINTH』に備わることになった多彩な要素は、ライブにおけるダイナミズムを即座に予感させてもいた。メンバー自身はそこは必ずしも意図していなかったはずで、それゆえに生まれた瞬発力が、彼らの個性をシンプルに表出させることにもなった印象だ。
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe
今回の『PHASE #02』に冠された“ENHANCEMENT”なる言葉は、増強、昂揚といった意味を持つ。『PHASE #01』で得た感触を踏まえ、より直情的な『NINTH』が形になるということだろう。ある種の客観的視点で『NINTH』を再構築したメンバーが、どのような形を提示しようと考えているのかは推測の域を出ないが、バンドとオーディエンスの物理的距離が近い、このツアーならではの空間が生まれることは間違いない。『PHASE #01』を目撃した人はもちろんだが、前述した“the GazettEらしさ”が必然的に集約されるという点では、彼らのライブに初めて触れる機会としても、最適な場になるはずだ。
文=土屋京輔
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

<the GazettE 戒(Dr)インタビュー>

――ホールツアー『THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-』の、一番の収穫は何でしたか?
アルバム『NINTH』の可能性をまだまだ感じられたのが大きいです。
ファンとの一体感は今までのツアーと比べてもすごく良くて、#02のLIVEが楽しみです。
――ホールツアー『THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-』を通して、変化したことはありますか?
特に変化していく事はあまりなかったですね。むしろイメージ通りに出来た事がよかったです。
メンバー同士のテンション感も浮き沈みなく、ファンと向き合いライブを楽しむ事が出来ました。
――アルバム『NINTH』をスタンディングツアーでプレイすることについて。メンタル面、プレイ面など、スタンディングの会場だからこそ意識すること、ホールツアーとの違いなどを教えてください。
ホールツアーではやはり熱の伝わり方というか、熱さに欠ける部分はどうしてもありますね。
その分、視覚的に魅せる事が出来るのがホール会場の特徴だと思うので。
『NINTH』の世界観をしっかり届ける事が#01なのかなと、だから#02ではおもいきり暴れる事を意識して楽しみたいです。
――スタンディングツアー『THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』の見所。
衣装、ステージセット、セットリストなど、いま言える範囲の構想を教えてください。
これはまだ秘密ですね!笑
ただ『NINTH』以外の候補曲も増やしましたし、ホールで魅せる『NINTH』とライブハウスで魅せる『NINTH』は根本的に違うので、#01に来たファンの子も間違いなく楽しめるツアーになると思いますね。
――スタンディングツアー『THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』で楽しみにしていることを教えてください。
ライブハウスでやる『NINTH』の曲たちがどういう一体感を生むのかすごく楽しみです。
――スタンディングツアー『THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』の意気込みを聞かせてください。
より深く、より熱く『NINTH』を楽しみたいです。

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