水樹奈々

水樹奈々

【水樹奈々 インタビュー】
短期集中で作った
「WONDER QUEST EP」
じっくり時間をかけた
「NEVER SURRENDER」

2カ月連続シングルの第二弾「NEVER SURRENDER」は劇場版アニメ『魔法少女リリカルなのはDetonation』主題歌と挿入歌、さらに地元・愛媛を舞台にした映画主題歌など、聴き応えのある4曲を収録した一枚となった。

『魔法少女リリカルなのは』は特別
脈々と受け継がれたもの

9月にリリースされたシングル「WONDER QUEST EP」に続き、10月24日に新たなシングル「NEVER SURRENDER」がリリースされますが、どういった経緯で2カ月連続のリリースに?

9月の「WONDER QUEST EP」は、実は春ぐらいに急遽リリースが決まったものなんです。昨年末に、夏から秋のタイミングでのタイアップのお話をたくさんいただいて。「NEVER SURRENDER」のほうは劇場版アニメ『魔法少女リリカルなのはDetonation』(以下、『なのは』)の劇場公開のタイミングで10月24日に出すことは1年以上前から決まっていて、最初はそれと併せてアルバムにしようかという案も出ていたんです。でも、私としては『なのは』シリーズの主題歌は歴代の主題歌と同じように、シングルとして並べたいとお話しさせていただいて。そうしたらプロデューサーさんから“それなら制作を前倒して、もう1枚シングルを作ろう”と。

そういう流れだったんですね。

あまりに時間がなくて“どひゃー!”という感じではありましたけど(笑)、結果として38枚目の「NEVER SURRENDER」は時間をかけてじっくり、37枚目の「WONDER QUEST EP」はギュッと短期集中で作った、対照的なものになりました。

37枚目の「WONDER QUEST EP」はアグレッシブなロックチューンの「WHAT YOU WANT」があったり、宮野真守さんとのコラボ曲やダンスチューンもあったりと、収録曲の勢いと短期集中の勢いがマッチしたものになりましたね。

はい。ちょうどライヴツアー中で自分の感覚も鋭くなっていたので、すごくいい状態で制作ができました。短期集中だからこその温度感と、今歌いたいものが詰まっています。

逆に「NEVER SURRENDER」は聴かせる一枚という印象でした。じっくり練られただけの濃さがあるというか。

全てに重みがあります。ズシーン!って(笑)。ぜひ歌詞を見ながら聴いてほしいです。ひとり物思いにふける時や、秋の夜長にもぴったりだと思います。

特に表題曲の「NEVER SURRENDER」はサビメロが秀逸で。

“ザ・歌謡曲”です! 聴いた瞬間、劇場版『なのは』の主題歌は絶対にこれしかないと思いました。デモテープ集めの初期段階で出会った曲なんですけど、たくさんのデモを全部聴いた上でも、やっぱりこのメロディーが忘れられなくて。

すごく耳に残るメロディーですからね。

『なのは』は女の子が魔法で闘うアニメで、いい意味での昭和感というか、王道感があると思っています。それを表現するには一度聴いたら耳から離れなくなるような、キャッチーなメロディーがぴったりだと思ったんです。

最後のサビにかけて歌い方のエモーショナルさがどんどん増していくところに、すごく惹き付けられました。

『なのは』のサブタイトルが“Detonation”(爆発)なので、サビは感情が爆発している様子を表現できたらと思いました。今回と2部構成になっている前作の『なのは』の主題歌だった「Destiny's Prelude」(2017年7月発表)はこれから物語が動き始める予兆感や、どこか神秘的な雰囲気が漂っていましたが、今作は完結編なので全ての感情を遠慮なく放出するイメージです。

悲しみを背負いながら、それでも前に進む強さのある歌詞ですね。作詞はとても苦労したそうですが。

はい(笑)。熊本公演のMCで“みんな、パワーをちょうだい!”と呼びかけて、そのパワーをもらって書けました! 作詞期間中はどうしても家にこもりがちになりますが、熊本の会場が野外だったので気持ちが開放的になれて。抜けるような空や山の風景、花火の演出もあって、自然に抱かれる大きな空間を感じられたことで、すごく自分の中で見えたものがあったんです。

いろいろな仕掛けもあるとのことですが。

そうなんです。歴代の『なのは』の主題歌の歌詞からキーワードを少しずつ盛り込んでいます。ずっと『なのは』を観て聴いてくださっている方にはきっとニヤリとしていただけるのではと思います。『なのは』は私にとって特別な作品です。今回の歌詞も、これまでの歴代主題歌と並べた時に脈々と受け継がれている遺伝子が感じられたり、つながりを感じてもらえる仕掛けができたらいいなと思いながら作りました。

イントロでピアノとストリングスが使われているのも、『なのは』主題歌の伝統のひとつですよね。

イントロを聴いただけで『なのは』曲だと思い浮かべてもらえるものにしたくて、ピアノとストリングスを印象的に編曲もお願いしています。

“NEVER SURRENDER”というタイトルは直訳すると“絶対に降参はしない”ということなので、いかにも水樹さんらしい言葉ですね。

はい(笑)。私らしくもあり、“なのは”たちらしくもある言葉です。小学5年生の女の子の力は決して強くありませんが、“絶対に諦めない!”という気持ちが連鎖していろんな人を巻き込んでいくことで、それがやがて大きな力となって奇跡が起きます。だから、ひとりひとりの力は弱くても諦めちゃいけないということを、メッセージとして込めたくて書きました。

その『なのは』の挿入歌「GET BACK」も収録されていて。この曲のレコーディングはどうでした?

これはスムーズでした。「NEVER SURRENDER」のほうが難しかったですね。感情を爆発させすぎると暑苦しくなってしまうし、かと言って優雅に儚げにやさしく歌うだけだとスッと流れていってしまう。抑揚の付け方やバランス感、ドラマの作り方がキーになりました。「GET BACK」は素直に歌った気持ちが曲とぴったりフィットして。

「GET BACK」を歌う時の感情は“なのは”ですか?

「NEVER SURRENDER」はメインの登場人物である、なのは、フェイト、キリエ、アミティエたちのことを考えて歌っていて、「GET BACK」はメインキャスト3人が2役で演じているレヴィ、シュテル、ディアーチェというキャラクターがいるのですが、その3人の気持ちで歌っています。“GET BACK”は“取り戻す”という意味で、レヴィたちは暴走したユーリという仲間を止めるために闘っているので、ユーリに対する“どんな状態でもあなたとの絆は変わらない。あなたから受けた愛に恩返しするために、今度は私たちがあなたを救う番です”という気持ちを込めています。

《大好きな人です》とか《〜でしょう》と、歌詞の口調が丁寧語になっているのは独特なところですね。

これは矢吹俊郎さんだからこその歌詞ですね。作曲はHAMA-kgnさんという初めてご一緒させていただく作曲家さんなのですが、デモを聴いてひと聴き惚れして決めました。闘いに向かうクライマックスの、とてもドラマチックなシーンで流れる重要な曲なので、聴いたら決意が固まるというか、“大切な人のために一歩踏み出そう!”と思えるような、ギアが入るような熱さを感じられる一曲です。

OKMusic編集部

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