10月7日(日)日本武道館

10月7日(日)日本武道館

Nothing's Carved In Stone、
ラストまで生気漲るパワーを
撒き散らした日本武道館公演

どの楽曲も、ここ日本武道館を想定して作ったのではないか。そう勘繰りたくなるほど、Nothing's Carved In Stone(以下NCIS)の曲は大舞台でよく映えていた。2018年結成10周年を迎え、初の日本武道館公演『Nothing's Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN』を開催した彼ら。この日は見事ソールドアウトを果たし、アリーナからスタンド最後尾までびっしり埋め尽くされたオーディエンスの熱気を帆に受け、楽曲は推進力を高め、飛躍的なスケールを描き上げていた。

撮影:Yoshika Horita/取材:荒金良介
どの楽曲も、ここ日本武道館を想定して作ったのではないか。そう勘繰りたくなるほど、Nothing's Carved In Stone(以下NCIS)の曲は大舞台でよく映えていた。今年結成10周年を迎え、初の日本武道館公演『Nothing's Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN』を開催した彼ら。この日は見事ソールドアウトを果たし、アリーナからスタンド最後尾までびっしり埋め尽くされたオーディエンスの熱気を帆に受け、楽曲は推進力を高め、飛躍的なスケールを描き上げていた。

まず会場に足を踏み入れると、ステージ背面のスクリーンに開演時間である17時30分までのカウトダウンが明示されていた。残り10秒を切ると場内はざわつき始め、暗転と同時に村松 拓(Vo&Gu)、生形 真一(Gu)、日向 秀和(Ba)、大喜多 崇規(Dr)の4人が現れると万雷の拍手が起きる。バンドだけではなく、ここに集まった観客もこの日を待ちわびていたのだろう。そんな祝祭ムードにあふれる中、「Isolation」で本編がスタート。記念すべき1stアルバム『PARALLEL LIVES』のオープニングを飾るこの曲で、僕も彼らの音楽に初めて触れたことを思い出す。今から9年前に作られた楽曲がこの日本武道館で鳴り響く様に早くも興奮状態に陥った。

“よく来たな、野郎ども!”と村松が親密な口調で呼びかけると、「Spirit Inspiration」に移る。すると観客も拳を突き上げ、踊り出す人が増えていく。次はイントロだけで歓声が沸いた「Like a Shooting Star」をプレイ。生き物のごとく蠢くメンバー4人のアンサンブルが一枚岩となり、音源とは比較にならないエネルギーを大放出。すでにクライマックスに到達したような迫力漲る演奏で、多くの人たちを音の渦に飲み込んでいった。

すかさず「You're In Motion」に突入すると、ステージに8本の火柱が上がる日本武道館らしい演出にも大興奮。また、生形のコーラスワークも楽曲のボルテージを高める役目をしっかりと担っていた。「Brotherhood」を経て村松がハンドマイクに切り替え、ステージを動き回るかたちで「The Poison Bloom」を披露。曲中にベース〜ドラム〜ギターと各ソロを挟むスリリングなパートもあり、日本武道館には大合唱が轟いた。その後も「In Future」「Directions We Know」とデジタル風味のロックナンバーで観客を激しく踊らせる。

本公演がソールドアウトをしたことに触れ、“同じ感性を持ってる仲間がいるんだな”と村松が満面の笑みを見せたMCを挟むと、中盤はリズミックかつシンフォニックな「Red Light」、グルービーな疾走感が心地良い「Damage」、メンバーそれぞれの音世界をぶつけ合う「Gravity」とつなげ、卓越した演奏力と魅惑のサウンドで観客を酔わせていた。そして村松が“つながりの曲になればいい”と述べると「青の雫」を披露し、そのやさしくも甘い歌メロにもうっとり聴き入ってしまった。

それからNCIS流の王道ロックを突きつける「Mirror Ocean」に身も心も奪われ、放心状態の最中に“後半戦行けるか、武道館!”と村松が威勢良く言葉を放つと、「Bog」では観客総出でジャンプする光景が広がる。加えて、この日はレーザー光線や照明の演出も素晴らしく、NCISの曲調に上手くマッチする相乗効果の役割を担っていた。

次はスパニッシュなギターがアクセントの「Milestone」へ。曲の後半に激しいハンドクラップが起き、観客もお祭り状態で盛り上がる。「Out of Control」に入ると、スクリーンにメンバー4人が映されるシーンもあり、終盤にこうした演出を差し込む辺りも心憎い。“10年やってこれたのはみんなのお陰、ありがとう!”と真っ直ぐな気持ちを約10,000人の観客に投げかけ、その感謝の気持ちを「きらめきの花」で大爆発させると、彼らの代表曲「November 15th」で本編を盛大に締め括った。

当然、ここで終わるはずがない。観客がアンコールを求めると、メンバー4人が再登場。メランコリックな「シナプスの砂浜」、芯のある伸びやかな歌メロに引き込まれる「Shimmer Song」と続き、客電が煌々と日本武道館を照らす中で披露されたのは「Around the Clock」だ。最終曲にもかかわらず、またここからライヴが始まりそうな生気漲るパワーを撒き散らす馬力にも恐れ入った。

10周年を祝した初の日本武道館を経て、“2~3年は突っ走っていく”という嬉しい発言も飛び出したNCIS。ラウド、オルタナ、エレクトロ、ダンスミュージックなど多彩なジャンルをロックに落とし込み、他の追随を許さない独創的なサウンドを掲げて、ファンを開拓してきた彼ら。ひと筋縄ではいかない音のテクスチャーを提示しつつ、日本武道館をソールドさせたことはバンドにとって大きな自信になったことだろう。“ここからの10年”にさらに期待したくなる隙のないショーに感服した。

撮影:Yoshika Horita/取材:荒金良介

【セットリスト】
1.Isolation
2.Spirit Inspiration
3.Like a Shooting Star
4.You're in Motion
5.Brotherhood
6.The Poison Bloom
7.In Future
8.Directions We Know
9.Midnight Train
10.村雨の中で
11.Red Light
12.Damage
13.Gravity
14.青の雫
15.Mirror Ocean
16.Bog
17.Milestone
18.Rendaman
19.白昼
20.Out of Control
21.きらめきの花
22.November 15th
<ENCORE>
1.シナプスの砂浜
2.Shimmer Song
3.Around The Clock

【ライブ情報】
『Live on November 15th 2018』
11月15日(木) 大阪・なんばHatch
<チケット>
1Fスタンディング/2F指定席¥4,000(税込)
■ライブ情報ページ:https://www.ncis.jp/live/
10月7日(日)日本武道館

『Live on November 15th 2018』

11月15日(木) 大阪・なんばHatch
<チケット>
1Fスタンディング/2F指定席¥4,000(税込)
■ライブ情報ページ:https://www.ncis.jp/live/

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