【詳細レポ】GLAY、20周年締めくくる
東京ドームで生まれた“新たな夢”

GLAYが5月30、31日、10年ぶりに東京ドームにて単独ライブ<20th Anniversary Final GLAY in TOKYO DOME Miracle Music Hunt Forever>を2日間にわたって開催した。11万人を動員したこの2日間の公演を通して、10年前にここでオーディエンスと交わした“約束”をきっちり守った彼ら。彼らはまた新たにファンが待ちこがれる壮大な夢を作り、デビュー20周年のアニバーサリーイヤーを締めくくった。BARKSではGLAYが5月31日に開催したライブの模様をレポートでお届けする。
じつに温かくて、どこまでも人間味が溢れていて、みんなが家族のよう――。スケール感たっぷりのドーム公演で、こんなにもぬくもりを肌で感じさせてくれるアーティストは彼らしかいない。GLAYが20年間歩んできたMUSIC LIFE、その根幹にあるものをまざまざと体感したのは、この公演のオープニングとエンディングの演出だった。

まずはオープニング。会場が暗転すると、交響曲「ツァラトゥストラはかく語りき」が鳴り響くなか、舞台上にあった巨大な筒状のLEDがリフトアップ。その中から10年前に東京ドーム公演でTERU(Vo)が「10年後に取りに来る」とステージに残していった白いジャケットが降りてくるのと同時に、アリーナ後方にメンバーが登場。4機の真っ白いビッグバルーン(直径7.3m)にTERU、TAKURO(Gt)、HISASHI(Gt)、JIRO(B)が次々と乗り込んでいく。彼らは地上30mまで上昇したバルーンの中でアリーナ席からスタンド最上階までを見渡し、移動するバルーンにあわせ、集まったオーディエンスみんなに挨拶を届けながらじっくり時間をかけてステージへと向かった。

さらにコンサートのエンディングでは、最後の曲の演奏が終わった直後、今度はTOSHI(Ds)とSEI(Key)のサポートメンバーも引き連れてオーディエンスに挨拶をするためだけにフロート車(ステージセットと同じデザインが施された)に乗り込み、アリーナの外周を時間をかけて1周している。“20年というキャリアを立ち止まることなくここまで歩んでこられたのは“君”がいたから”。そんな思いと感謝の気持ちを、このドームという場所でわざわざひとり一人に向けて、丁寧に心から心へと伝え届ける。それがGLAYというバンドなのだ。そんな誠実さが、10年前の約束を彼らに実現させた。

ライブは、舞台に到着したTERUが10年前に置いていった白いジャケットを羽織るところからスタート。20年たったいまもGLAYには夢見る未来があることを綴った「疾走れ!ミライ」で勢いよく幕を開けると、キャリアを重ねても気持ちはあの頃と変わらないというように、次は「Young oh! oh!」へ。ドーム公演には欠かせないナンバーで客席には大合唱が広がり、TAKURO、HISASHI、JIROは花道へと駆け出す。そして「OK、ドーム。ついにこの日がやってきました。約束を守ってくれた人たちみんなありがとう!」と最初のMCで観客に挨拶をしたTERUは、この後「この言葉を10年間いいたくてたまりませんでした。東京ドーム!!」と大声でシャウト。「気持ちいいんだよね、これいうの」といって全開の笑顔を見せる。
続いて始まった「everKrack」は映像で観客を笑わせ、それを受けて「月に祈る」はTAKUROみずから自分のこめかみを指のピストルで打ち抜くパフォーマンスからスタート。そして大ヒットシングル「誘惑」のサビ歌が始まると、ドームにとてつもない観客の大合唱が炸裂する。キャリアを経ても消え失せないキラーチューンの破壊的な威力をまざまざと見せつけたあとは、シングルカップリング曲でありながらファンに愛された「春を愛する人」を大切に届け、続いてヒット曲「SOUL LOVE」では再びオーディエンスの大合唱を巻き起こす。客席にいる全員が、ビートに合わせて頭上で前後に手を振る。ドームだからこそ生まれるその迫力ある客席の光景を、アリーナの最前列から最後尾まで流れるようにムービーカメラが走り、スクリーンに映し出していったところも圧巻だ。

そのあと「Only Yesterday」をはさみ「浮気なKISS ME GIRL」が始まると客席に浮かんでいた40球のカラフルなバルーンが爆発。すると、なかに入っていた400個のカラフルなズラー(TERU考案によるキャラクター)バルーンが一斉に客席に飛び散り、これにはファンも大喜び。この後は再びTERUのMCが始まり、ここでは「10年前のドームに来てた人?」と聞かれ、客席の過半数の人が挙手。ずっと自分たちを見守ってくれていたファンがこんなにもいたことを改めて実感した彼ら。TERUの口からは「GLAYは20年間、大変なこともたくさんありました。でも、これから10年、20年は楽しいことだらけにしていきたいと思います」という嬉しい言葉がファンに届けられた。
ライブ後半はTERUが10年前と同じように溝口肇をコンダクターとして招き入れ、ステージ上にストリングス隊が登場。今夜限りのスペシャルバージョンで「pure soul」、「つづれ織り~so far and yet so close~」という大切なナンバーを続けてプレイしたシーンは絶品だった。スクリーンには2曲とも歌詞が映し出された。世代ごとに響くワードを持つこれら2曲に綴られた歌詞の深み、そんなオーディエンスみんなの気持ちを受け止めていく表情豊かな歌と演奏の表現力。そして、そこからにじみ出る包容力。これはキャリアを重ねた今のGLAYだからこそなせる技。彼らが奏でる音に包まれ、客席には涙する観客も多々見られた。次にGLAYが歩んできた過去を巡る映像ともに披露された「軌跡の果て」もまた素晴らしい演奏で、観客をどこまでも深い感動へと導いていった。
「軌跡の果て」については、演奏が始まる前に披露されたエピソードも胸を熱くした。「この曲を作ったとき、自分の人生をどこまで(歌詞に)落とし込んでいいものなのか分からなくて悩んでたんです」(TAKURO)「2人でお寿司屋さんのカウンターで話してたら、TAKUROが泣きながらそんな話をしだしたんですね」(TERU)「祐天寺の寿司屋でね。そうしたら、TERUが“それを歌詞に書くことで楽になるなら、俺はTAKUROが元気になるように歌うよ”っていってくれて。……俺は初めてその夜、人に寿司をおごったね(笑)」「俺、そこにいなかったけど、この話は雑誌で読んだ(笑)」(HISASHI)「だから、この曲は当時初めて誰かのために歌うというのを経験した曲なんです。TAKUROには感謝してます」(TERU)
この後は再びいつものバンド編成に戻って、ライブもいよいよ終盤戦へ突入。炎が勢いよく上がった「BLACK MONEY」は“JIRO vs HISASHI”のデスマッチにTAKUROまで加わるという予想外の映像で観客を驚かせ、こちらもアルバム曲ではあるがファンから愛されている「嫉妬」、「いくぜー」というTERUの合図で音玉が勢いよく爆発した「百花繚乱」、白いスモークが吹き出した「FAME IS DEAD」、火柱が燃え上がった「TILL KINGDOM COME」と、ここではあらゆる特効を使いながらエモーショナルなロックチューンを連発。
ステージでは、メンバー4人があちこち動き回りながらロックバンドとして熱気に満ちたパフォーマンスを披露し、客席はどこまでもヒートアップ。そして「これからもみんなの夢が僕らであって、僕らの夢にのっかって、またこれから10年20年、GLAYは解散しないから。みんなでたくさん夢を叶えていきましょう」とTERUが挨拶をした後、最後に新曲「HEROES」を披露して、彼らはステージを後にした。
アンコールでは、サプライズゲストの登場に場内が狂喜乱舞した。まず最初にスクリーンにGLAYの現在から過去へとさかのぼるヒストリー映像が映し出され、その映像が1994年を示したとき、舞台には静かにたたずむ4人の姿が。そして、クリスタルのグランドピアノが映し出され、ピアノの前に座っている真っ白い衣装を着た人物がX JAPANYOSHIKIであることが分かると、東京ドームにはわれんばかりの悲鳴が響く。

X JAPANの「Forever Love」のフレーズを散りばめながら、しっとりと始まったのはYOSHIKIがプロデュースした彼らのメジャー・デビューシングル「RAIN」。今回が“初共演”ということもあって、曲中に「幸せだな」とTERUがつぶやくシーンも。演奏が終わるとTAKUROが「20年以上前、ライブハウスの地下でまだ何者でもないGLAYをこんなにたくさんの人に祝福されるまで成長させてくれたYOSHIKIさんには、なんてお礼をいっていいのか分からないので……YOSHIKIさん! 抱きしめさせて下さい」といってYOSHIKIに抱きつくと、「次、僕もいいですか?」とメンバーが次々とYOSHIKIに抱きつき、熱い抱擁を交わした。
YOSHIKIからは「デビューのきっかけを作ったのは僕かもしれないけど、この20年間GLAYを支えてきたのはスタッフであり、ここにいるファンのみなさんだと思います」と涙ながらに告げられ、GLAYもファンも大感動。「X JAPANもGLAYを見習わなきゃね。ウチは問題ばかり起こすから」とYOSHIKIが話している横で、「(あなたが)起こしてる人でしょ」とTAKUROがツッコミを入れる姿にアットホームな笑いが巻き起こる。最後にはYOSHIKIが「X JAPANはここがホームグラウンドなんだけど。20回目やるときはGLAYに出てもらいましょう!」と宣言。これにはGLAYも観客も驚きながら大喜び。興奮がとまらないTERUは「YOSHIKIさん、ここで“WE ARE X”やりましょうよ」といいだし、YOSHIKIの掛け声でXジャンプをしてYOSHIKIを見送った。

アンコールではそこからさらに「生きてく強さ」など懐かしいナンバーをプレゼント。最後に、みんなのこれからが本当に幸せで楽しいMUSIC LIFEでありますようにという願いを込めて「MUSIC LIFE」を届けてこの夜のドーム公演を締めくくった。

「10年後ここに立つという夢が叶ったということで、今日また新たな夢が誕生しました。次はX JAPANと東京ドームだ! みんな忘れんじゃねぇぞ」とTERUが叫んだ後、彼らはサポートメンバーを引き連れてフロート車に乗り込み、観客に挨拶をするためにアリーナの外周を1周。ステージに戻った後は一人ずつ、ファンに感謝の気持ちを伝えた。

「今日はみんなありがとう。本当に最高の2日間でした」(JIRO)
「GLAYの20周年、これで<Miracle Music Hunt>も終わりです。最後に一緒に“WE ARE~”“X(観客)” 。そこは“GLAY”だろう(笑)」(HISASHI)
「GLAYはまた新たな旅に出ます。次は、みんなの街で会いましょう」(TAKURO)
「じゃあ、行ってきまーす」(TERU)

「行ってらっしゃーい!」と声をあげる5万5000人の観客。ファンの温かさに見送られ、GLAYはまた新たな夢を実現させるために、夢を叶えたこの場所からミライへの第一歩を踏み出した。

取材・文◎東條祥恵

セットリスト<20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME Miracle Music Hunt Forever>
2015年5月31日(日) 東京ドーム

00. Opening SE
01. 疾走れ!ミライ
02. Young oh! oh!
03. everKrack
04. 月に祈る
05. 誘惑
06. 春を愛する人
07. SOUL LOVE
08. Only Yesterday
09. 浮気なKISS ME GIRL
10. pure soul [with Strings]
11. つづれ織り~so far and yet so close~ [with Strings]
12. 軌跡の果て [with Strings]
13. BLACK MONEY
14. 嫉妬
15. 百花繚乱
16. FAME IS DEAD
17. TILL KINGDOM COME
18. HEROES
<ENCORE>
EN1. RAIN
EN2. 生きてく強さ
EN3. 彼女の“Modern…”
EN4. SHUTTER SPEEDSのテーマ
EN5. 微熱(A)girlサマー
EN6. MUSIC LIFE


シングル「HEROES/ 微熱(A)girlサマー/つづれ織り~so far and yet so close~」(※注:(A)はマルA表記)

2015年5月25日発売
CD+DVD/PCCN-00019/¥1,800+税
CD Only/PCCN-00020/¥1,200+税
収録曲:
M1.HEROES(作詞・作曲 TERU)
M2. 微熱(A)girlサマー(作詞・作曲 HISASHI)
M3. つづれ織り~so far and yet so close~
他ライブ音源収録予定
DVD収録内容:「HEROES」MV&メイキング、「つづれ織り~so far and yet so close~」MV&メイキング
※本商品は発売日5月25日(月)からの販売開始となります。


GLAY Special Live at HAKODATE ARENA<GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.2>

場所:函館アリーナ
開催日時:
7月25日(土) 16:00/17:00 (20:00終演予定)
7月26日(日) 15:00/16:00 (19:00終演予定)
今年の夏、GLAYの故郷・函館にオープンする函館アリーナこけら落とし公演開催。
土砂降りの函館野外ライブから2年振りとなる、 GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHTの第2弾

■チケット料金
指定席:¥7,560(税込)

■チケット発売のご案内
チケット一般発売:2015年6月27日(土)
一般発売に先駆け、6月上旬、ローソンチケットにて先行予約実施予定

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