L→R 伊藤彬彦(Dr)、佐藤拓也(Gu&Key)、内澤崇仁(Vo&Gu)、前田恭介(Ba)

L→R 伊藤彬彦(Dr)、佐藤拓也(Gu&Key)、内澤崇仁(Vo&Gu)、前田恭介(Ba)

【androp インタビュー】
やさしさが光となり闇を溶かすーー
行き着いたテーマは“普遍的な愛”

アルバムを引っ提げたホールツアーを経ての第一弾はドラマ『グッド・ドクター』の主題歌「Hikari」。バンドとドラマの双方が追い求める“光”を軸に、物語に寄り添いながらもandropらしさを兼ね備えた見事なコラボレーションについて、内澤崇仁(Vo&Gu)が語る。

ニューシングルの「Hikari」はフジテレビ系ドラマ『グッド・ドクター』の主題歌ですが、温かなバラード調のサウンドといい、光をモチーフにした歌詞やタイトルといい、ドラマの内容にぴったりですね。

主人公である小児科医の青年もすごくピュアで、やさしくて。そのやさしさが“光”となって周りの人の心を照らし、闇を溶かしていくというお話なので、作っていくにあたっては“普遍的な愛”がひとつの楽曲テーマだったんです。その普遍的な愛をどんな言葉に落とし込んでいけばいいんだろうって。いろんなかたちにとらえられる、でも抽象的になりすぎない言葉を探していきました。

だから、男女に限ったラヴソングではないし、特にクライマックスの《始まりと終わりが在る場所で やっと巡り会えた》というフレーズは素敵だなと。

それも“この地球上で”という意味合いもあり、生と死が交錯する病院内の物語にも置き換えられるところで。もともとandrop自体が生と死、光と闇、自分との葛藤というものをテーマにしてきたバンドなので、重なる部分もすごく多かったんです。だから、ドラマに寄り添っているだけの楽曲というよりは、自分自身でもしっかりと考え抜いてきたものを出すという感覚に近かったですね。

そう考えるとandrop としても、命を扱うドラマの主題歌としても、“Hikari”というタイトルは究極ですね。

“光”という言葉は希望の象徴として、ずっと僕も大切に使ってきた言葉だったんです。ドラマの内容と合わせても、心に灯るもの、強いもの、希望の象徴というのは、僕もMV監督も共通のワードとして最初から持っていたので、CDジャケットは燃える火だし、MVではメンバーが火を囲んで歌っているんです。とはいえ、この撮影をした段階では、まだ“Hikari”というタイトルは決まっていなくて…。

えぇ!?

自分の正解と周りの正解の折り合うところが、なかなか見出せなかったというか。4月からデモ作りに取り掛かったんですけど、なかなかドラマの制作サイドからオーケーが出なくて、実はドラマの1話目が放送された時点ではTVサイズのものしか上がっていなかったんです。裏を返せば、それだけ熱量のある現場だったということで、僕もやり甲斐はあったし、ドラマのプロデューサーの方とも“最後までみんなが納得するものを作り続けます”と約束していたんです。だから、実は1話が終わってから歌を新たに録り直していたり、ストリングスも生に差し替えたりしているんです。最初にドラマ側からいただいたオーダーが“温かみややさしさを表したミディアムテンポのバラードを作ってほしい”というものだったので、生楽器の持つ温かさというのは強く意識していたんですよね。あとは、登場人物の心情に沿って曲を流すから、回によってはもっとスローにして使うこともあると。それでカップリングにはピアノバージョンも入っているんです。

その他のカップリング曲の「Catch Me」と「Hanabi」は6月にパシフィコ横浜で行なわれたホールツアー最終日のライヴ音源となっていますが、そちらの狙いは?

ちょうど「Hikari」を作っている時にアルバム『cocoon』のツアーが始まって、終わって。要するにツアーの間中、ほんとに毎日のように歌詞を作って、曲を作っていたんですね。だから、制作中の空気感を入れたかったというのもあるし、この「Hikari」でandropというバンドを知る人も多いだろうから、どんなライヴをやっているのかを提示したかったんです。あと、アルバムは3月発売だったので、そこでリード曲にしていた「Hanabi」を、やっぱり夏にも聴いてほしかったんですよね(笑)。

なるほど。一転、次はライヴハウスツアーになりますが、どの会場も比較的小さめじゃありません?

大阪とか名古屋とか福岡とか2デイズになっている会場は、実はandropが最初にツアーを回った時の会場なんですよ。今年の12月からCDデビュー10周年イヤーが始まるので、改めてここで初心に戻ってみようかと。特に大阪BIG CATは初めて客席からクラップが起きた場所ということですごく印象に残ってますね。それまで僕ら、顔もそんなに出してなくて、照明もあえて暗い演出の中で演奏していたんです。姿形ではなく、純粋に音だけで納得してもらいたかったから。

それが今回のアーティスト写真では、ばっちりと全員が正面を向いたキメカットで、しかも海でスーツという。

自分でも“えっ!?”とびっくりしました。MVで女の子が漁船で海に出ていくシーンがあるから海はまだいいとして、“なんでスーツ?”って(笑)。まぁ、そこには今までのイメージをゼロにしたいという狙いもあったようだし、そもそも去年の今頃なんて、サングラスかけて、アロハシャツ着て、海で水鉄砲打ってはしゃいでいましたから。

Creepy Nutsとコラボした「SOS!」のMVも衝撃的でしたね(笑)。そういう意味でも、だいぶフラットになったのかもしれない。

いろんなものにとらわれていない気はしますね。ライヴも昔は音響が整っている場所じゃないと嫌だっていう想いもあったけど、最近は音のクオリティーではなく、心を揺らすものが本当に良い音なんじゃないかっていう考えに変わってきたんです。5年振りのホールツアーを回ったことで自分たちとしてもいろんな表現方法が広がっただろうし、今回すごく苦労して曲を作った分、自分の中でもキャパが広がった感覚があるんですよ。だから、次のライヴハウスツアーではそれを凝縮させて、以前のツアーに来た人ももっと楽しんでもらえるライヴにしたいですね。これまでの曲から新しい曲までバリエーションに富んだセットリストで爆発します!

取材:清水素子

シングル「Hikari」2018年8月29日発売 image world/ZEN MUSIC
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UPCH-7434 ¥2,484(税込)
    • 【通常盤】
    • UPCH-5947 ¥1,296(税込)

『androp one-man live tour 2018 "angstrom 0.9 pm"』

9/04(火) 千葉・LOOK
9/07(金) 宮城・仙台Rensa
9/08(土) 福島・郡山CLUB#9
9/14(金) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
9/21(金) 大阪・BIGCAT
9/22(土) 大阪・BIGCAT
10/05(金) 群馬・高崎 club FLEEZ
10/06(土) 新潟・NEXS NIIGATA
10/08(月) 山梨・甲府CONVICTION
10/14(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
10/17(水) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
10/18(木) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
10/21(日) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
10/30(火) 福岡・DRUM Be-1
10/31(水) 福岡・DRUM Be-1
11/10(土) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
11/15(木) 東京・代官山UNIT
11/16(金) 東京・代官山UNIT

androp プロフィール

アンドロップ:2009年12月に1st アルバム『anew』でデビュー。ジャンルレスかつ緻密なサウンドアプローチとその傑出した音楽性でシーンに頭角を現す。数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手がけ、MVもカンヌ国際広告祭(フランス)、One Show(アメリカ)、Webby Awards(アメリカ)ほか国内外11のアワードで受賞するなど、その映像世界やアートワークでも世界的な評価を得ている。2021年12月に6thアルバム『effector』をリリース。androp オフィシャルHP

L→R 伊藤彬彦(Dr)、佐藤拓也(Gu&Key)、内澤崇仁(Vo&Gu)、前田恭介(Ba)
シングル「Hikari」

「Hikari」MV(Short Ver.)

『androp one-man live tour 2018
"angstrom 0.9 pm"』
ティザー映像(Joker Ver.)

OKMusic編集部

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