【対談】暁(アルルカン) × ガラ(ME
RRY)、「僕にとって最後の後輩バンド

アルルカン主催ツーマンライヴ<Baa Baa Dear Big Sheep>が8月5日(日)、MERRYを迎えてTSUTAYA O-EASTで開催される。BARKSでは両バンドのフロントマン、ガラ(MERRY)と暁(アルルカン)を招いて対談を実施した。
アルルカンは先ごろ、lynch.をゲストに迎えたツーマンライヴ<laughing in the dark>を開催したばかり。その事前に実施した奈緒と玲央のBARKS対談ではリスペクトも闘争心も浮き彫りとなり、結果、灼熱の対バンステージのエンディングには奈緒が感涙する胸熱の一幕もあった。

そしてMERRYだ。過去に2度の対バン経験があるほか、プライベートでも親交を持つヴォーカリスト同士によるトークセッションは、幕開けからして波乱含み。しかし、ヴィジュアルシーンの変遷や作詞論におよんだトークは、「すいません、カウンセリングみたいな対談になっちゃって」と暁が漏らすほど濃度の高いものとなった。その一部始終をお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■大きなものにぶつかっていったとき
■生まれるものも大きいんです──暁

──8月5日に恵比寿リキッドルームで行なうアルルカン主催ツーマンライヴ<Baa Baa Dear Big Sheep>に、対バン相手で招かれたのがMERRY。つまりアルルカンにとって先輩バンドですよ。しかし暁は本日定刻入りし、先輩であるガラは10分前行動で、対談前から待ってたという(笑)。

ガラ:まっ、しょうがないですよね。僕らはイベントに呼ばれている側なんで、先にいないとっていうことですね(笑)。

暁:すいません(苦笑)。僕が先に来ておくべきでした、お迎えする側ですから。

──という笑い話も入れつつ対談を進めたいわけですが、対バンするのはお初ではなく、約2年前のアルルカン主催イベント<呼び水>で共演してますね。

ガラ:そうです。でもその前に、MERRYのツーマンツアーがあったんです。大分で頼んでいたバンドが直前にキャンセルになって、“どうしよう……”となったとき、電話一本で「すぐ行きます!」と言ってくれたのがアルルカンだったんです。だから何かあったら、僕らもちゃんと返そうと。そういう気持ちでいるんで、今日の対談も暁より早く来たわけです(笑)。8月5日当日も、早く会場にいると思うんですよ。暁を待たせてはいけないって。

暁:……。

──黙っちゃった(笑)。

暁:“かわいがり”に上手く反応出来なくて……(笑)。ダメ人間 (※アルルカンファンの呼称でもある) ですね。

ガラ:あっ、この流れでうまいこと言う(笑)。
▲暁(アルルカン)

──その会話からもいい間柄なのが伝わってきますよ。2年前から先輩や後輩を越えたところで親交が始まったんですか?

暁:僕はお慕いしてるんですけど、バンドとしてズケズケってのはこれからかなって感じはしてるんです。

ガラ:実は今回の対談前にちょっと呑んだんですけど、けっこう気を使ってくれたりもするんで。そのときも「今度からズケズケいきます」と言ってたんですけど。最近、そういうバンドが多いなか、アルルカンは真面目だなって印象ありますね。

──普段というより、以前、一緒にライヴもやってみて、バンドとしてどんな印象でした?

暁:まず、なぜお呼びしたかってことにつながるんですけど、熱の入り方が違うんですよ。気合いの入った熱というか。MERRYという大きいバンドにぶつかっていったとき、追い込まれて自分たちからなにかが出る感じとか、そこに期待もしているんです。たとえボコボコにされようが、そのままでいられるほど僕らは大人じゃないんで、逆にそこから昇れるような気もするんで。MERRYのライヴを観て、“こんな空間があるのか”ってことも、僕らのファンにも知ってほしいし。lynch.との対バン(アルルカン主催ツーマンライヴ<laughing in the dark>6月10日@TSUTAYA O-EAST)のときもそうだったんですけど、一緒にぶつかろうと思ってくれるファンもいるし、なかには悔しいとか思ってくれる人もいて、それはすごく幸せなことでもある。とにかく自分より大きなものにぶつかっていったとき、生まれるものも大きいんです。

──強い相手だからこそ敢えて戦いを挑みたいと?

暁:そうなんです。普通のイベントでも先輩バンドと一緒になることはあるんですけど、ツーマンライヴだと受け取り方も全然違うと思うんですね。

ガラ:世代が違うと、なかなかライヴに誘いづらかったり、誘われても“なぜ呼んでくれたんだろう”とか、変なところで探っちゃうところもあるんですよ。でも、アルルカンに関しては、前からCDを聴いたりしていたし、暁ともよく話をする間柄でもあるんです。“今の流れに乗って、もっと楽しんじゃえばいいのにな”と思うぐらい、暁はいつも自分と葛藤していて。そういうところ、僕はけっこう好きで。もがきながらバンドと音楽やってるところに、すごく共感持てる。真剣にバンドと音楽に取り組んでいるなって。そういう意味で、僕にとってアルルカンは最後の後輩バンドじゃないかなって感じがしますね。
▲アルルカン

──2018年でアルルカンは結成5年目ですね。結成17年目のMERRYは5年目のとき、なにをやっていて、どんな心境だったか覚えてます?

ガラ:5年目……デビューしてたと思いますね。でもなにも考えてなかったかな。好きなことを好きなようにやっていただけっていう。今、目の前にあることを、ただただやるっていう感じだったと思いますね。暁は、アルルカン結成5年目で、まだ若いのに、話してみると自分の信念やアルルカンに対する熱い思いもある。何年か先とか、自分のなりたいヴォーカリスト像などもあるんでしょうね。そこを見ながら、あがきつつやってる感じがするんで。

暁:自分の設定しているハードルはあって、そこに追いつこうとは確かにしているんです。そこを見てくれているのは嬉しいですね。あと“最後の後輩バンド”って発言は、でか文字にしてもらっていいですか? けっこう嬉しいです、その発言は。

ガラ:僕らもなんでもいいってわけじゃないから。呼ばれたらなんでも出るってことじゃない。でもアルルカンから呼ばれたからには、絶対になにか意味があると思っていて。普段は仲いいけど、“コイツはなにかしようと企んでいるんだな”と。でも、まだまだ踏み台にはさせねえぞって、俺ら側の気持ちもあるし。

──やはり。

ガラ:そうですよ(笑)。あと僕らも先輩バンドと対バンしようって、あまりズケズケいけないところがあって。アルルカンの精神は見習わなきゃなと。僕らも17年やってますけど、もっともっと挑戦や冒険しなきゃなと思います。だからこそ、今回、アルルカンに呼ばれたとき、「やろう」って即答したんですよ。
■17年目の俺がつい最近気づいたようなことを
■暁は気づいてる。そこはスゲーなって──ガラ

──バンド界における“かわいがり”が頻発しそうな当日ですね(笑)。

暁:うん、ありがたいです(笑)。うちのメンバー全員、自分のテリトリーでやれればいいって感じなんで、あんまり外に行けないところあるんです。点がなかなか大きくならないんですよ。

ガラ:今は個というよりも、みんなでイベントやったり、みんなでなにかやってるって感じが多いよね。でも僕らのとき、そういうのはあまりなかった。それぞれのバンドでしかなかったから、交わるってことがほぼなくて。

──10数年でヴィジュアル系のシーンもだいぶ様変わりしたと感じますか?

ガラ:僕らじゃ、ちょっと理解できないようなところもあったりしますよ。ライヴを観に行くと、“今はこうなってんだ”とかたまに驚くこともあるんで。俺らの時代には、先輩バンドたちからそう見られていたと思うんだよね。“なんじゃ、コイツら”みたい感じに。
▲ガラ(MERRY)

暁:僕が最初にヴィジュアル系に抱いたイメージは、“綺麗なお兄ちゃんが楽器弾いてる”とか“バンドやってる”という感じだったんですよ。だから自分でもいい感じの化粧して。そうすればヴィジュアル系だと思ってたんです。

ガラ:まあ、確かにテレビや雑誌で見て一発で“この人たちはカッコいい”って、そこから入ったよね。そういう憧れから始めたようなものだし。

暁:そういう入り方は悪くないと思うんですよ。ところがアルルカンを始めて、“あっ、順番が逆だったな”って。なぜこの出で立ちになったのか。ちゃんと音楽的な背景があって、そういう見た目になってるわけじゃないですか。そこを知らずに、まず見た目だけでやっちゃっていた。途中でそれに気づけたから良かったんです。

ガラ:いや、だからアルルカンを始めてまだ5年目でそこに気づいてるのが驚き。俺、17年やっていて、つい最近、気づいたようなことも暁は気づいてるんで。そこはスゲーなって。

暁:というか、変わらない人のほうが凄いなと思うんです。17年といったら長い時間ですよ。それを自分が持った1本の武器だけで戦い続けているみたいなのが、凄い。僕は、自分でも変わり始めているのは分かってるんですけど、過去より今が絶対いいと100%言えるかといったら、まだちょっと分からないんです。昔は昔でいいところもあっただろうし。自分の中ではまだ模索している途中なんで。

ガラ:いや、俺もずっと模索していたところを、マネージメント代表のダイナマイト・トミーさんにバッサリ切られた感じ(笑)。真ん中からバサーっと。

暁:ウワッ(笑)!

ガラ:「そんなに過去にこだわっていたら、前へ進めないよ」って話をトミーさんにされて。さらに「挑戦あるのみ」って言われて、まあ、そうだなと。でもトミーさん、ムチばっかりで飴がない(笑)。“たまには飴をください”って感じですけどね(笑)。
▲MERRY

──無理でしょう(笑)。そこはともかく、世代は違えど、お互いに刺激し合うところも?

暁:僕はガラさんから刺激を受けてます。あんなにムチャクチャになっていて、なんで歌えるんだとか。初めて観たMERRYのライブで、心に残った曲が「夜光」だったんです。歌詞について聞いていいですか? “この箱の中が幸せだろ?”って詞の後に“この箱の外が幸せだろ?”って詞が続きますよね。あれはどういう意味ですか?

ガラ:「夜光」に……確かにそんな歌詞あったな(笑)。

暁:あれっ(笑)。でもそんな感じで、歌詞を書いてるときにパッと出たんですか?

ガラ:うん。“この箱の中”というのはライヴハウスのことを言ってて、そこから出たら一般の日常生活があって。やっぱライヴって、あの中は非日常じゃない? 俺らはお客さんがいないとライヴが成立しないし。だから、いかになにか持って帰ってもらうか、みたいな。

暁:オオーッ!

ガラ:楽しいだけじゃ、お互いにダメなような気がする。“ライヴに来て今日は楽しかった”だけじゃ。やっぱりなにか持って帰って、翌日からなにかしら糧にして頑張ってもらえればいいなと思うから。いや〜、でも歌詞のことでそう聞かれると、ちょっと恥ずかしいな。すごく見られているような気がして(笑)。

暁:ガラさんとようやくお話させてもらえるようになった時期が、MERRYがシングル「Happy life」(2015年発表)を作ったころで。2007年の「木漏れ日が僕を探してる…」で“幸せ分けて下さい”と言ってたバンドが、「Happy life」では幸せを与える側になっていることを感じて、凄くつながったと思ったんですよ。ウワ〜、これは凄いなって。

ガラ:そりゃ、17年やってたらそういう変化もね。歌詞自体、自分の歩んできた人生みたいになっているから。最初のころは、死ねだのクソだの言ってたヤツで。そういうドン底にいた人間が上がってきて。それで“幸せをください”って言ってた人が、今度は“幸せを持っていってよ”って与える側になってる。それはバンドやってきた歴もあるのかもしれないけど、本当に今、そう思って音楽やバンドをやっているからね。ファンの人たちとは1対1の関係性だと思うから、その人にどんだけ突き刺させるかっていう。昔は全員を幸せにしたいと思ってたけど、今は一人ずつ向き合って、その人にちゃんと突き刺していきたいって変わってきたかな。暁も、ちゃんとステージで歌ってるイメージを見て歌詞を書いてる気がする。この歌詞のときは照明がこうだ、ぐらいに思ってるんじゃないかなって。
br>暁:そうかもしれないですね、でもまだまだなんですよ(笑)。僕は作詞法とか知らなくて。うちのメンバーの奈緒(G)はそういうのをけっこう知っていて、“これは歌詞としてどうなんだ?”って突っ込まれますよ。僕も奈緒に聞くので。自分らしいものは出せると思っているんですけど、気づいたら僕のことしか言ってないんです。それプラス、例えば曲をさらに楽しめるようななにかがほしいんですよね。
■人間味とか人間臭さが
■絶対に出るからね、バンドって──ガラ

──誰にでも伝わるような普遍のメッセージ的なものとか?

暁:ああ、それぐらいのほうがいいんですかね。例えば情景が見えるような歌詞が僕は苦手で。そういう単語を使えないんですよ。“ベンチ”とか。恥ずかしくなってくる(笑)。

ガラ:俺は大丈夫(笑)。

暁:いいな〜、と思って(笑)。

ガラ:どんな言い回しも、全然使える。でも英語はあんまり使えないかな。

暁:僕は英語も入れてたんですけど、ちょっとよく分からなくなってきて。一応、英詞の意味は知っているけど、日本語のほうが強いなと。今は、よく分かんない言葉を歌っているのがイヤだなと思っているんです。
▲ガラ(MERRY)

ガラ:やっぱ真面目だよね。ちゃんと考えてるなと思う。僕はなにも考えてなかったから。言葉のハマり具合がいいからとか、この響きがおもしろいからとか、そういうノリで昔は歌ってて。メンバーに歌詞を見せるようになったのはここ数年だからね。

暁:エッ!?

ガラ:歌録りの当日まで見せなかった。歌って初めて“こういう歌詞が来るんだ”とみんな知るぐらい(笑)。

──3年ぐらい前からですよね、歌詞を先行で曲作りにするようになったのは。

ガラ:そうですね。その前までは、曲だけあって、メロディは僕が付けて、その状態でみんなはレコーディングに入ってたから。どんな歌詞が来るのかも分からず、みんながレコーディングするという。でも僕の頭では完成形が見えている、みたいな。

暁:僕らもそれに近い状態だけど、それは僕が期日ギリギリに歌詞を書くっていうだけで。歌詞を見せないっていうんじゃなくて、スケジュール的に見せられないっていう(笑)。

ガラ:でも、メンバーで歌詞について話し合いをしているのは、いいですよね。今は言葉遊びも難しくなってきてるじゃない? 歌詞の意味、ストーリーや背景、それを説明する時代になっちゃってる。“これはこうでああで、だからこうなんです”みたいな。オチがないと発表できないみたいなのが、自分もちょっと難しいなと思うところなんです。自分がバンド始める前は、歌詞読んでも意味分かんない曲はいっぱいあったんだけど、なんか響くな、という。

暁:確かに。このときの雰囲気のこの言葉が好きだ、みたいなのでいいと思うんですよね。そういえば、僕は歌詞を書いていて、起承転結の“結”がないとはよく言われますけど(苦笑)。

ガラ:ああ、自分も歌詞を投げっぱなしで、後は自分で考えてくださいみたいなことも結構ある。聴いてもらって、そこから先はみなさんそれぞれの解釈で、みたいな。それはたぶん逃げていたのかもしれない。今は、そこから先もちゃんと書かないとなかなか伝わらないんで、よりシンプルになってきちゃっているし。でも逆に、直接的に言わないと伝わらないみたいなところが難しいと思いますね。
▲暁(アルルカン)

暁:自分らしく詞を書いていても、“自分の中の世界過ぎて分からない”って言われたり。でも僕は難しい言葉を知ってるわけじゃないし。簡単な言葉を使っているのに“分からない”と言われるってことは、つまり僕は文章を書けてないってこと? それも考えものですよね(笑)。

ガラ:いやいや、自分のことを歌詞であれだけさらけ出せるヤツもいないよ。

暁:もがきっぱなしです。程度がちょっと変わっただけで。昔はバンドが売れることが目的で、目標は別にないみたいな。でも今は、大きく設定すると“幸せになるため”。バンドをやる価値観とか大切にしたいものが、時を重ねて変化してきましたね。だから、つまらないヤツになってしまうのが怖いです(笑)。自分で自分がつまらないなとか感じたことあります?

ガラ:そんなの、いつも思うよ。なにかおもしれえことねえかって探したり、なるべく外に出るようにもしたし。やっぱりね、自分から動いていかなと世界も広がらない。待ってて来る時代じゃないから。でも、模索したり悩んだりしているのは、それはいいことだと思うけどな。どうでもいいことだったら考えないでしょ? もがいて“どうしよう”って考えるってことは、それだけそこに信念も気持ちもあるってことだから。悩みとか迷いっていい言葉じゃないかもしれないけど、迷えるものがあるっていいことだと思う。自分がそれだけ考えたりできることがあるってのは、実は幸せかもしれないし。だから、もがきとか悩みとか、あまりネガティヴな言葉に感じないんだよね。

暁:良かったです。僕、そういうのが詞にも出ちゃってるんで。ライヴになると、だだ漏れですよ、今も(笑)。

ガラ:それが暁であり、アルルカンなのかもしれないけどね。人間味とか人間臭さが絶対に出るからね、バンドって。

暁:歌詞のテーマはけっこうネガティヴなんですけど、どんなテーマだろうが、みんながライヴに来るってことは幸せになりに来てるんだなって気づいたときがあって。そこから抑えるようになりましたね。イラついていても言わない、みたいな。その分、悲しい曲を歌うとき、前よりもすごく自分が曲に入っちゃうようになったし。それが、逆に良かったなと思ったし、なんかおもしろいですね。
■2年前はぶつかるので精一杯だったけど
■あのときよりも力を出せるはず──暁

──アルルカンを始めて、自分が救われたようなところがあるんですか?

暁:……ありますね。メンバーの中でネガティヴなのは僕だけで。他のメンバーはポジティヴだから。そのズレもずっと気持ち悪かったんです。だから、僕は僕でやるしかなかったんだけど、4人がいることやファンの人たちがいることで少しずつだけど救われるっていうか。人間、誰しも最初から疑うわけじゃないんですよ。信じようとしたタイミングで、それが叶わなかったときに、ちょっとずつ疑う気持ちが膨らんでいくだけで。僕はそのタイミングを多く感じてしまってたんですよね。でも、最近はそういうことにも気づけて、ひとつずつ腑に落ちるというか。なるほどなって。でも全部のあり方を認めるのは難しいです。

ガラ:うん、真面目だよ。

暁:えっ、真面目なんですかね。歌っているとき、気持ちが“0”の状態ってないじゃないですか。絶対にプラスだったりマイナスだったりに振れるじゃないですか。そのへんとどう向き合えるか、ですよね?

ガラ:というか、俺はそこすら気にしなくなったけどね、ステージで。

暁:やっぱ、そういう段階があるんですかね?

ガラ:“今、ここから振り切ろう”とか、そんなのも全然なくなっちゃったから。そうやってヘンに考え過ぎてつまらないなってことになったり、自分で答えを求めちゃうとどんどん殻に閉じこもっちゃう。でも現に、アルルカンはこれだけライヴやツアーやって、暁の歌詞に救われてるヤツだっているわけだからさ。ライヴを観て、幸せだって人がいっぱいいるんだから。単純に来た人たちをこれからも幸せにしていけばいいんじゃないかな、と思うんだけどね。

暁:うん……すいません、カウンセリングみたいな対談になっちゃって(苦笑)。
ガラ:この前も呑んでてそういう話になって、「対談でそういうのはやめておきます」と言ってたから、あれっ?と(笑)。暁はやっぱ真面目。でも飲み物だけはコークハイみたいな、ちょっとオシャレで不真面目なやつを呑んでたけど(笑)。

──カウンセリングとか相談をしたい先輩ボーカリストであるってことですよね。

ガラ:いやいや。僕も悩んだりいろいろあったけど、悩んでばっかりでもしょうがないし、今、生きているわけだから。これからやってかなきゃいけないし、やっていくつもりでもあるしっていう。歌っている自分が最後に残せるのは、やっぱり歌と歌詞ですから。そこを磨いていくしかねえなって、そこだけだよね、今は。いつか、見た目とかもどうしようって、アルルカンも悩むときが来るんじゃないの? ここからどう殻を破って、アルルカンをどうしようっていう時期が、絶対に来ると思うよ。

暁:最近ようやくですよね。“もっとこういうふうになりたいよね”ってことも先行していろいろ考えられるようになったので。僕はメイクは落としたくないんですよ。あと、さっきの悩みながらやってるって言いましたけど、それも、やりたいことがあるからなんです。めちゃめちゃしんどいし、イライラもするけど、そうなったときは楽しい、一瞬(笑)。

ガラ:前には進んでいるってことだよね。そういうペースを乱すためにも、8月5日のライヴ当日は、楽屋を一緒にしてもらっていいですか(笑)?

──当然、楽屋入りはガラが一番だと。

ガラ:そう(笑)。それで最初に僕らがライヴやって、「ステージ温めておきました」と(笑)。

暁:そういう“かわいがり”はちょっと(笑)。
ガラ:前回のツーマンライヴシリーズでlynch.とやって、奈緒はlynch.が好きで感動して泣いてたみたいなことがBARKSのレポートに載ってたからね。俺らとライヴやって、なにしてくれるんだろうなと思って。

暁:奈緒が、ですか(笑)?

ガラ:奈緒もそうだけど、誰かが感涙したり、なにかそれ以上のことがないと出る意味だろうと思っていて。感動したメンバーがlynch.のとき以上に増えていくみたいな。もう泣いてほしいな、アルルカンには。嘘でもいいんだから(笑)。お客さんも“なにがあるんだろう”って思ってくれているはずなので。lynch.とは違う、俺らと一緒にやったときのアルルカンも観れると思うし、MERRYもそう。前回のツーマンライヴを超えなきゃいけない。そういう全てを含めて、なにしてくれるんだろうなってことですよ。そこが一番楽しみ。普通にライヴやって、普通に終わってたら、このツーマンの意味はないなって。内側だけで、お互いにバチバチやって、刺激もらったというだけじゃなくて、それを外にも出したいんですよ。それを届けたい。

暁:そうですね、ツーマンライヴやって終わりだけではおもしろくないし、楽しんでもらえるものをなにかしら。ガラさんだからガツガツ行けるところもあるし。2年前のときはぶつかるので精一杯だったけど、あのときよりも力を出せるはずなので。

ガラ:MERRYはヒラヒラとかわすバンドではないし、正面から来れば受け止めるよ、しかもその倍以上で返すから。前から来るなら受け止めるけど、後ろからタックルされたらどうにもなんない。腰も悪いんで、そこだけは気をつけてもらいたい(笑)。でもお互いの持ち時間の中、全力で倒しに行きますよ、アルルカンも全力で来ると思うので。さすが、MERRYと思ってもらえるようにしたい。

──最後に、ライヴタイトル<Baa Baa Dear Big Sheep>はどういう意味で付けたんですか?

暁:『Baa Baa Dear Black Sheep』という絵本があって。僕にとってMERRYは普通じゃないバンドなので、“Black Sheep”はピッタリだと思ったんですが、色々あって“Big Sheep”に変えました(笑)。僕にとってMERRYはそれだけ大きいバンドだから。でも当日は、遠慮せずにガツガツと真正面からぶつかるつもりでやります。

取材・文◎長谷川幸信

■アルルカン 2MAN LIVE<Baa Baa Dear Big Sheep>

2018年8月5日(日) ebisu LIQUIDROOM
開場17:15 / 開演18:00
出演:アルルカン / MERRY
▼チケット
前売り¥5,000(税込/D別) / 当日¥5,500(税込/D別)
一般発売:7月7日(土)
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888


■<アルルカン 5th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR Quint「」>

2018年09月01日(土) 大阪BIG CAT
2018年09月08日(土) 仙台darwin
2018年10月14日(日) 福岡DRUM LOGOS
2018年10月26日(金) 名古屋DIAMOND HALL
TOUR FINAL
2018年12月08日(土) Zepp TOKYO


■MERRY<システム エムオロギー Extra~テツ revenge~>

2018年09月23日(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
2018年09月24日(月・祝)  秋田CLUB SWINDLE
OPEN17:00/START17:30
▼チケット
前売 ¥4,800(税込/D別)
一般発売:8月19日(日)より各プレイガイド


■<MERRY Autumn Tour 2018>

2018年10月12日(金) 名古屋Electric Lady Land
2018年10月13日(土) クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)
2018年11月07日(水) 恵比寿LIQUIDROOM
▼チケット
前売 ¥5,000(税込/D別)
一般発売:8月19日(日)より各プレイガイド


■<Merry Halloween Party ~Trick or MERRY~>

2018年10月30日(火) HOLIDAY SHINJUKU
2018年10月31日(水) HOLIDAY SHINJUKU
▼チケット
前売 ¥6,666(税込/お土産付/D別)
一般発売:8月19日(日)よより各プレイガイド

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