【D インタビュー】
ヴァンパイアストーリーの第二章は
このタイミングで
打ち出すべきだと思った
Dが以前よりコンセプトとして掲げている“ヴァンパイアストーリー”。約3年前に第一章を締め括ったその物語の第二章が「Revive ~荒廃都市~」でついに復活する。ヘヴィかつラウドなサウンドはまさに新章の幕開けに相応しい。
まず、新曲「Revive ~荒廃都市~」について、みなさんはどんなふうにとらえたのかを教えてください。
Ruiza
新章の幕開けという感じをすごく受けました。今までやってこなかった新しさも感じたし、タイトル通りの荒廃感も最初にデモを聴いた時から感じましたし。あと、バイクの部分ですよね。すごくインパクトがあって斬新だなと。
こちらとしてもDにバイクのイメージはなかったので、ASAGIさんがバイクに跨ったビジュアルを見た時は驚いたんですが、メンバーにとっても衝撃的だったんですね。
Ruiza
ええ。あと、打ち込みとバンドの演奏を融合したものはもちろん今までもあったんですが、今回はこれまでとはまた違った手応えがありました。ギターのチューニングは半音下げてあるんですけど、ヘヴィさやスピード感、映像的な楽曲の世界観に上手くつながっているのかなと思います。
HIDE-ZOU
ギターのリフはASAGIさんがデモの段階から作っていて、スリリングで細かくて、すごいこだわりがあるんですよね。ASAGIさんのイメージにバイクがあって、そのニュアンスがリフでのイメージにぴったりで。それでいて聴き苦しくなく、スッと入ってくるキャッチーさもあると思うんで、ライヴでもしっかり届けられるようにします。
ドラムスは手数も足数が多くて、楽曲のヘヴィさに拍車をかけてますね。
HIROKI
そうですね。イントロとAメロはどっしりとしているんですけど、ここはタイトでグルービーなビートを叩き出すことを最重要視しましたね。Bメロ~サビでさらに動き始めるんですけど、そこでの疾走感というか、場面転換も上手くできたと思います。チューニングも音が太くなるように一音一音が締まるように音を作りましたし、そういったところも上手く反映できたんじゃないかと思いますね。
同じリズム隊としてベーシストはどう挑みましたか?
Tsunehito
ベース的にはあまり腰高にならないように音域はなるべく下のほうに居るように気を付けて、バイクの鼓動により近くなればいいなって考えたんです。シンセが多く取り入れられて活躍している楽曲なので、いろんな周波数でシンセが出ている中でベースの音域が上がっていくとそれにぶつかったりすると思ったのと、その中で音域的に誰が下を支えるかということを考えて、ベースはドラムのキックとともにしっかりと下を支えるというのを意識しました。
さて、ASAGIさん。「Revive ~荒廃都市~」ではヴァンパイアストーリーが復活したわけですが、ASAGIさんとしてはどんな想いで取り組んだんでしょうか?
ASAGI
ヴァンパイアストーリーはまだ続くだろうとは思っていましたが、一旦ひと区切りにしていたんです。今回の第二章は第一章の締め括りであった「Dandelion」という曲の3年後の世界として始まるのですが、実際にリリースから約3年経っているところで時間軸もリンクしていて、このタイミングで打ち出すべきだと思いました。主人公はヴァンパイアの王の息子であるジャスティスなのですが、未来感を表現するためにダブステップとバンドサウンドの融合という新たな試みにチャレンジしたり、バイクの音を打ち込みのリズムと組み合わせたりしていて。あと、今回は結成15周年、メジャー10周年ということもありますが、《途切れた道の先を行け》という歌詞も今とリンクしているような感覚もありますね。
カップリング曲の「Next Generation」はバンドサウンドが独特の不安定さを保った、面白いロックチューンですよね。Tsunehitoさんの作曲ですが、これはどんなイメージで作られたんですか?
Tsunehito
ヴァンパイアストーリーの復活ということやキーワードを踏まえて自分も曲作りを始めて、何曲か曲出しした中でこれは一番最初に出したものなんです。展開や音色など、新しいものをどう取り入れようかということも意識しつつ作っていって。ただのマイナー調というだけじゃなくて、シンセの音色もエフェクトも揺らぎが多いものにして、音色の重なりも意識して…何て言うんでしょうね、独特の暗さではないですけど、そういうものを考えて、今回シンセは全部自分で作りました。
間奏でギターとリズム隊の拍がずれているようなところがあるじゃないですか。あそこ、何か気持ち悪くて最高です(笑)。
Tsunehito
ははは。拍の感じもいろいろ試して工夫しました。あとCメロや間奏で音の重なりを細かく見ていくと、コードの中で使っていい音ではあるんですけど、半音違いで重なるところがあったりして。でも、それを揃えていくとイメージしていた響きよりもつまらないものになってしまうなと気付いて、あえてこの感じにしたかったんですね。それがきっと独特の聴こえ方になっているのかなって思います。あと、この曲は転調してるので、その辺もあると思いますね。
ドラムスはずっとベードラ踏んでますね。
HIROKI
そうですね(笑)。イントロの後半では16分で踏んでます。BPMも201でものすごく速い。8分で踏むのにはテンポ感的にいいんですけど、後半部分からは16分で突き進むんで(笑)。Aは音のつながりのタイトさを意識して、Bメロではハットの裏打ちからサビで頭打ちでまた食らい付いてくる…Tsuneからもらったデモがそうなっていたんで、そこで上手くノリが出るようにって。これはもうやるしかないって(笑)。Tsuneは“俺ならできるだろうな”って思っているからこうして提示をしてくれたと思うので、作曲者のイメージを表現するためには必要なものだと思って最大限やらせてもらいました(笑)。
そうでしたか(笑)。2本のギターはこれもまた重く、ノイジーなサウンドですね。
Ruiza
この曲は1音半下げているんですけど、全編通して1音半下げるんじゃなくて、“このセクションはこのチューニングで”みたいな感じで分けて録ってるんですよ。録ったものを聴いた時に“もうちょっとエッジが立った感じが欲しい”とか、“こうしたほうが速度が出るな”とか実際に弾いて感じたからなんですけど、僕にとってはいろんなところが難しくて、結構練習しました…頑張りました(苦笑)。新鮮さもあり、すごくカッコ良い仕上がりになりました。
HIDE-ZOU
うん。1音半下げというのはピッチ感が取りづらくて、ピッキングひとつで音程が変わるくらいで。だから、僕はすごく気を付けて、どうしたらしっかりと合うのかというところからギターの特性を考えたりしたのですごく勉強になりましたね。ローチューニングのヘヴィさもありますけど、キャッチーではあって…全体的には確かに不思議な曲ですよね。ギターはアンプシミュレーターの音がすごく良くて、そっちをメインに出してミックスしていただきました。ローチューニングでより現代的な音を考えた時にあの音が一番合ったとは思いますね。
「エトワール ~白き異端者~」は2本のギターの絡み合いが面白くて、Dがツインギターのバンドであることがありありと分かるナンバーになりましたね。
Ruiza
ありがとうございます。この楽曲はASAGIくんとの共作になります。自分が作ったものを再構築してもらったのですが、すごく引き込まれる展開になりました。「Revive ~荒廃都市~」を受けて考えていったので、フレーズもまさに荒廃した街のイメージが見えるように、瓦礫の感じ、混沌とした感じを出したいなと思って、2本のギターはユニゾンするところはユニゾンして、そうではないところは…例えば、こっちで光っていたら、そっちは火花が散っているような、見える景色がひとつじゃなくて、いろんな情報、いろんな要素が入っているものにしたいなと思ってました。いろんな部分でそういう景色が出せたんじゃないかと思います。
もうひとりのギタリストとしてHIDE-ZOUさんはどう感じていますか?
HIDE-ZOU
RuiちゃんとASAGIさんの共作ということで新鮮さもすごくあって、ギターのニュアンスにも個性が出ているなと思います。パワーコードひとつ取ってもあえて音の主軸を出さなくて、ベースと一緒に音を出した時のコード感を意識してて、それでいてキャッチーさもちゃんと残しつつ…という。
サビメロは開放的ですもんね。
ASAGI
そうですね。メロディーは全て考えたのですが、特にサビの開放感は意識しましたね。
リズム隊のおふたりは「エトワール ~白き異端者~」にどんな印象がありますか?
HIROKI
ドラムフレーズの食らい付きが難しいテンポ感だったので、そういったところを注意しながらレコーディングしましたね。キックの着地の位置が結構タイトで、足と手の着地位置のバランスよって聴感上のタイミングがすごく変わってくるので、どっしりとしたプレイを聴かせるためにこのバランスに気を付けながら録った感じですね。
Tsunehito
ベースはあまりフレーズで細かい動きをしすぎないことを意識したのと、サビに行くまではゆったりとしたリズムのとらえ方で、音数で埋めて忙しくするのではなく、どっしりとした感じを意識しましたね。あと、サビはスピード感が出てくるので、前半のゆったりとした気持ちのままでサビに突入するとノリが変わってくるので、そこの切り替わりも意識しました。ただ、サビに行った時の開け方は意識したんですけど、それまでのノリとあまりにもかけ離れると切って貼ったみたいになってしまうので、そうならないように気を付けてレコーディングしました。
カップリング曲の「Next Generation」「エトワール ~白き異端者~」、そして「Diamond shape(Instrumental)」の3曲、いずれも興味深いロックチューンになりましたね。
ASAGI
今回のシングルは全曲同じ時間軸にあって、絶妙に絡み合っているんです。「Next Generation」では主人公たちがヴァンパイアの王を失い、ヴァンパイアの血が消え、人間として生きている場面を描いていて。ヴァンパイアの血が再び目覚める「Revive ~荒廃都市~」の少し前の部分を描いているのですが、“次世代のために自分たちが何ができるのか?”という主人公たちの成長が見られる歌詞になったかなと。「エトワール ~白き異端者~」はジャスティスの恋人、ブランシェが主人公の曲です。ブランシェの中に眠る白魔女の血が目覚める曲なので、サビはまさに覚醒の場面なので開放感が必要だったんですよね。あとは、曲の個性を生かした曲全体の構成とメロディーの再構築をしたことによって世界観もブラッシュアップされ、よりシーンが具現化されたと思っています。どの曲もその曲ならではの歌の表現になっているので、全曲楽しめると思いますね。
個人的には「Diamond shape(Instrumental)」が超面白かったです。ROXY MUSICがヘヴィメタルとデジロックをやったような…こんな楽曲、他では絶対に聴けない(笑)。
Tsunehito
大元は自分が作ったんですけど、“四騎士”と言って楽器隊の我々4人にもヴァンパイアの役どころがあって、Ruizaさんは氷、自分は火、HIDE-ZOUさんは風、HIROKIさんは大地という、それぞれがそれらを司るヴァンパイアなんです。それを意識した上で各々のソロ=持ち場があることをイメージして作っていきました。
ASAGI
4人で演奏をするインストということにも、ちゃんと世界観的な意味合いを持たせたいと思ったんです。ジャスティスが母親ロザリーの氷の墓標に白い薔薇を手向けに行っている間、四騎士は帰りを待っているのですが、森の入口で待っているんですよ。だから、霧深い森のイメージで始まろう…とか、さまざまな細かいところをアドバイスしました。わりと時間はかかりましたが、最終的にとても納得のいくかたちになりました。シングル全曲、新曲たちがまた新たな景色を見せてくれると思うので、この第二章の始まりにぜひ触れてみてください。ライヴで待っています!
取材:帆苅智之
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シングル「Revive ~荒廃都市~」2018年6月27日発売
HPQ
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『D Tour 2018 「Revive ~荒廃都市~」』
7/07(土) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH‼
7/15(日) 広島・SECOND CRUTCH
7/16(月) 福岡・DRUM Be-1
7/22(日) 宮城・仙台CLUB JUNK BOX
7/25(水) 北海道・札幌cube garden
7/28(土) 新潟・GOLDEN PIGS RED STAGE
7/29(日) 石川・金沢AZ
8/04(土) 大阪・ESAKA MUSE
8/05(日) 愛知・名古屋Electric Lady Land
8/11(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
8/29(水) 東京・マイナビBLITZ赤坂
ディー:2003年4月、ASAGIとRuizaを中心にバンドを結成。2005年に現メンバーとなる。世界観を重視した、ドラマ性を持った作品を次々に発表し、08年にメジャーデビュー。ASAGIの独特の世界観を重視した、ドラマ性を持った作品が特徴。そんなDの作り出す唯一無二の独特の世界観は、ティム・バートン監督にも愛されている。D オフィシャルHP
「Revive ~荒廃都市~」MV