【THE BACK HORN ライヴレポート】
『THE BACK HORN 20th Anniversary
「KYO-MEIワンマンライブ」
~情景泥棒ファイナル~』
2018年5月20日
at Zepp DiverCity Tokyo
凄まじいほどキラーチューン化していた冒頭「がんじがらめ」、そのサビで山田将司(Vo)、菅波栄純(Gu)、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)のエネルギーがドンと押し寄せた時の音圧で勝負ありでした。上手と下手に花道を設けたステージも新鮮で、フロント3人がガンガンせり出し、山田は教祖のごとくオーディエンスを煽動。“全国でいろんな人たちの想いを吸収してきたんで、それを吐き出してまたみんなにTHE BACK HORNの情景を盗んでもらう。そんな循環ができたら”と松田が語っていたが、憂鬱や憤りに満ち、“それでも生きてやる!”と言わんばかりの力強い前半10曲は、まさしく『情景泥棒』のジャケットイラストをそのまま音像にしたようなアザーサイドぶりだった。苛烈を極めるヴォーカル、「罠」「雷電」で妖しく狂い咲くギター、グルービーにうねってはヘヴィに歪むビート。「墓石フィーバー」ではフロアーが《ええじゃないか》の乱痴気騒ぎに! 「情景泥棒」組曲、「光の螺旋」へのつなぎも見事すぎて、ある種のカタルシスを覚えてしまう。
後半は寄り添う感じのナンバーが増えた。HPなどで募集したリクエストを汲んだセットリストだけあって、イントロのたびに歓喜の声が上がる『マニアックヘブン』の様相も。「桜雪」「奇跡」あたりは特に嬉しい選曲。いつもの真摯さがありながら、20年の歩みと重みも確かに伝わる。生きた証を刻むような、人間の愛おしさが見えてくるライヴだった。「閃光」「グローリア」を放ったあと、“祝われ足りてねえから、また生きて会おうぜ!”と山田。4人の笑顔は実に晴れやかだ。
撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)/取材:田山雄士
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