「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット」
マルチに活躍する
福山雅治のヒットを探る
総合4位は
ドラマ『WATER BOYS』の主題歌「虹」
彼の代表曲はCDまたは配信が強いのと同時に、カラオケが人気の楽曲も集中しており、まさに聴いて良し、歌って良しという楽曲の特性を端的に表している気がする。
低音ボイスでの歌唱×女性言葉という
「Squall」も「最愛」が上位ランクイン
また、「Squall」も「最愛」も共に女性言葉でのラブ・バラードで、これらが彼の低音ボイスでの歌唱×女性言葉という、いつもの彼とは異なった魅力を持つものとして浸透したことが、2011年の「家族になろうよ」の大ヒットを増幅したのではないだろうか。
このように3部門総合で見ると、CDシングルが市場全体でも圧倒的に売れていた90年代の楽曲だけではなく、それ以降の「虹」や「最愛」、「家族になろうよ」といったヒット曲も目立ってくる。これも彼がトレンディードラマの俳優に終始せず、たゆまず音楽的に開拓してきた証とも言えそうだ。筆者自身は、2000年代から彼の大半の楽曲のアレンジを手掛けている井上鑑の繊細さも多分に影響していると考えている。
カバー曲やカップリング曲など
シングル表題曲だけでは語れない部分も
16位の「糸」の方は、福山のカラオケランキングでも6位というかなりの人気だ。本作は2015年のカバー・アルバム『魂リク』に収録されており、もはや“カバー・アルバムを聴けば、「糸」に当たる”と思えるほどだが(笑)、福山のオリジナルにも劣らぬカラオケ人気となっているのは、ギター弾き語りで一貫したアルバムゆえ、そのシンプルなアレンジや楽曲のメッセージがより人々の共感を得たのではないだろうか。あるいは、高音域が際立つクリス・ハート版やEXILE ATSUSHI版よりも、酒でも飲みながらリラックスして歌えるのも人気の理由かもしれない。
そして、18位の「道標」は2009年のシングル「化身」のカップリング曲で、報道番組『NEWS ZERO』のエンディングテーマに起用されており、献身的に生きた祖母に想いを馳せたバラード。このあたりから故郷や祖先への敬意を示した楽曲が多くなっている。