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【Suara インタビュー】
宙に輝く“星灯(ひかり)”のように
歌手・Suaraを導くアルバム

約2年半振りにオリジナルアルバムをリリースするSuara。ゲーム&アニメ『うたわれるもの』シリーズ等のタイアップ曲を数多く含みながらも、歌手として、そしてひとりの女性として、力強く生きる姿に裏打ちされた楽曲は、“星灯(ひかり)”のように温かな光を放っている。

オリジナルアルバムとしては2015年の『声』以来となりますが、10年以上前から主題歌を務められているゲーム&アニメ『うたわれるもの』シリーズの楽曲が多いこともあり、この『星灯』はとても壮大でドラマチックな作品に仕上がりましたね。

1曲目から私の新たな代表曲とも言える「不安定な神様」を置いて、『うたわれるもの』という世界観が持つ華やかなパワーをしっかりお借りしました(笑)。ただ、裏を返すとタイアップ曲がインパクトの強いものばかりなので、その間にどういったオリジナルの新曲を入れようか? ちゃんと馴染むだろうか?と、最初はすごく不安だったんですよ。それが出来上がってみたら、自然な流れで上手く馴染んでくれて。今回も“今までの作品で一番好き!”と自信を持って言えるアルバムになったことが幸せですね。振り返ってみると、私、いつも歌手人生の節目にアルバムの制作をしている気がするんです。

節目って、例えば今回はどういう意味で?

言葉で説明するのは難しいんですけど…今後どういう歌手になっていきたいか?だとか、常に情熱を持って活動できる環境をどうやって自分で整えていくか?っていうことを考えた時期だったんですね。だから、アルバム新曲の「Pride」にある《どの道が正解かなんて考えても 誰も答えてくれない》っていう歌詞にもすごく共感してしまって! 毎回最善だと信じる選択をしながらも、どうしても葛藤や悩みが生まれてしまう、そんな自分自身の想いと真正面から向き合いながら、今回は制作を進めていったんですよ。

ちなみに「Pride」は作曲がご自身、作詞が事務所の後輩である上原れなさんが担当されていますよね。

以前から、れなちゃんに歌詞を書いてもらいたいと思っていたんです。毎回アルバムに1曲は自分で新規に作詞作曲をすることにしていて、今回はロックな曲をやりたいと曲を作って。これまで自分の曲は詞も自分で書いていたんですけど、曲調に合わせて“葛藤”をテーマにしようと決めた時に、そういった言葉使いはれなちゃんが上手いなと。お互いプライベートまで知っている間柄ですし。結果、自分では抉り出せない心の中を彼女が掘り下げてくれましたし、彼女自身の今の想いも感じられて、歌詞を読んだ時は泣けちゃいました! 逆に作詞だけを担当した「木漏れ日の中で」では曲から悲しみと温かみの両方を感じたので、昨年の3月に100歳で亡くなった祖母との別れを書いています。その最期の別れのシーンが非常に印象的だったので、曲中の表現も直接的になってしまいましたけど、タイアップ曲に負けないくらいのメッセージを新曲でも残したかったですし、それくらい私にとっては大きな体験だったんですよ。

その他にも十八番のヘヴィバラード「影」や、分かり合うことの難しさをアンニュイに歌った「悲しみの底」のような新曲もありつつ、最終的にゲーム『うたわれるもの 二人の白皇』のオープニング曲である「星灯」からアルバムタイトルを取ったのはなぜだったんでしょう?

タイトルも含めて「星灯」という楽曲が、今回のアルバムを引っ張り、私の歌手人生の指針になってくれる気がしたからですね。私が初めて作詞曲をした歌も「トモシビ」という名ですし、タイトルからして自分を導いてくれるというのと、そんな灯を自分の中にも灯し続けたいというふたつの意味で、この曲を表題にしようと最初から決めていました。「星灯」のレコーディングでも“全編通してカッコ良く、強く歌って”と言われて、なかなか自分とのイメージと結び付かずに苦労したんですけど、出来上がってみたら“私、こんな歌い方もできるんだ!?”と新鮮だったんですよ。そういった挑戦を自分に与えて、今までになかった引き出しを増やしてくれるのがタイアップ曲の良いところなんですよね。

もしや、それでロック曲を作りたいと思ったのかも?

うん、そうかもしれない。特に『うたわれるもの』の楽曲は歌唱的に難しいものが多いですし、おかげで今回もたくさんの引き出しができました。それは今後いろんな楽曲を歌う上できっとプラスになるだろうから、その引き出しを今も整理して、どんなタイアップが来てもいいようにスタンバってます(笑)。私自身は世界観にこだわらず、いろんな曲を自分の声で楽しんでほしいと考えていますから。

中盤でゲーム『ニル・アドミラリの天秤』のED曲「純真の華」等のバラードが続いたかと思いきや、「Merry Christmas」や「耳を澄ませば」といったポップチューンに展開するのも、それこそ世界観の強いタイアップ曲しか知らないリスナーは驚くかもしれませんね。

私自身はこういったミドルポップもずっと歌ってきたんですけどね(笑)。特に「耳を澄ませば」はメロディーだったりテンポ感にキラッと光る部分があって、私の中では聴けば聴くほどはまっていくスルメ曲なんですよ。たくさんのタイアップ曲で成長して、自分自身と向き合いながら新曲を制作する。私にとってはアルバムを作るということ自体がすごく大きな出来事だったので、そうやって新たな経験を積んでまた新たな分岐点だったり、新しいステージに立った私の歌を、ぜひ聴いていただきたいです。

ただ単純にタイアップ曲を集めて新曲を加えたわけではなく、その裏には必ずひとりの人間として歩いているSuaraさん自身の人生の道筋があるわけですからね。

そうなんです。側から見たら幸せそうなのに悩んでいる方もいるし、同じ状況でも心の在り方次第で感じ方が違う。ここ1年そういったことをすごく考えたので、まずは自分自身がどうしていきたいのか?にきちんと向き合って。結果、選んだ道で葛藤が生まれたとしても、しっかり乗り越えていきたいですね。

取材:清水素子

アルバム『星灯』2018年3月28日発売 F.I.X. RECORDS/KING RECORDS
    • 【初回限定盤(Blu-ray付)】
    • KIGA-90032 ¥4,500(税抜)
    • 【通常盤】
    • KIGA-32 ¥3,000(税抜)
Suara プロフィール

スアラ:学生時代からバンド/ユニットを組み、精力的にライヴ活動を行なう。2005年9月に「睡蓮-あまねく花-」でデビュー。TVアニメ『ToHeart2』のエンディングテーマ「トモシビ」、同じくTVアニメ『うたわれるもの』のオープニングテーマ「夢想歌」を歌うなど、その歌声がアニメ・ゲームファンをはじめとする広い層に届き、注目を集める。10年から香港・韓国などでライヴを行ない、韓国や台湾でもCDを発売するなど、ワールドワイドな広がりをみせている。“Suara”とはインドネシア語で“声”を意味する。Suara オフィシャルHP

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アルバム『星灯』【初回限定盤(Blu-ray付)】
アルバム『星灯』【通常盤】

OKMusic編集部

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