【PrizmaX ライヴレポート】
『PrizmaX Live Level6 悲しみを
乗り越えて人は強くなれるだろう
~Memory~』
2017年12月23日 at 日本青年館
ステージに組まれた階段の上から、白にまとめた衣装の5人が登場。始まりを告げる派手な爆音に悲鳴にも近い歓声で包まれる中、「Mysterious Eyes」で幕を開け、イントロから沸き上がった「UP<UPBEAT」では島田翼、福本有希、清水大樹がそれぞれの個性を打ち出したソロパフォーマンスも披露。そして、ふた手に分かれて迫り出した舞台袖まで駆け出したメンバーの近さにホリック(ファンの愛称)も熱狂した「Let's prove it!!」のあと、客席を見渡して“2階って言えるようになった!”(森崎ウィン)、“あんまり感情を出さない僕でも興奮してます!”(翼)とそれぞれ喜びを露わにした。タオルを振り回した「Sing it!」、メンバーも自身のイメージカラーのペンライトを手に一体感を生み出した「Go!」と、スタートからここまで駆け抜けるように進む。すると、突如会場が暗転、ステージ上のスクリーンにショートドラマが流れ始める。2017年12月23日にPrizmaXは解散し、2020年にPrizmaXのことを知った女子高校生が、解散前のグループのことをよく知るクラスメイトと次第に仲良くなっていくという、どこか悲しみと謎を抱きながら進んでいく物語だ。
その後、新衣装のスーツで登場し「抱きしめて行く」「Orange Moon」を大人の魅力たっぷりに披露したり、数曲ごとに映像を挟みながら、物語とリンクするようなセットリストでステージは進行していく。EDMチューン「OUR ZONE」では息ぴったりのダイナミックなパフォーマンスと力強いヴォーカルで魅せ、「Pleasure」ではみんなで手の振りをしてひとつに。力強い黒川ティムのヴォーカルから幕を開けた「I believe」、ステージはウィンとティムのふたりだけになりシンプルなサウンドに乗せてハーモニーを聴かせた「Truth」とさまざまな表情で魅せた。
合間に展開していたショートドラマでは、実はPrizmaXの話をしてくれるクラスメイトの姉がPrizmaXのファンで、解散の前に亡くなっていたことが発覚。ステージでは「Without you」「Never」と芯の強さを感じられるナンバーが続き、ドラマでは主人公がクラスメイトのためにPrizmaXをもう一度だけ観たいとPrizmaXのメンバーに手紙を書く。その願いが叶ったかのように、ステージの上には最初の白い衣装に再び身を包んだメンバーが現れ、「I want your love」をしっとりと響かせ、「Just Revolution」でホリックと拳を強く掲げる。そして、“ホリックのおかげで進んで行ける”“そんな僕たちの思いが曲になりました”と、2月14日にリリースするシングル「yours」から新曲「Memory」を披露。苦悩を乗せた大樹のラップ、ティムとウィンの掛け合いが新鮮で、前へと切り開き進んでいくような意思を感じた。
アンコールは、なんとステージ上で黒いパーカーでフードを被ったスタッフの中にメンバーが居るというサプライズから「my girl」でスタートし、続く「Three Things」では5人でマイクスタンドパフォーマンスを魅せた。そして、今回のライヴとショートドラマについて、“PrizmaXが解散したらどうなるか?”をテーマにしていたことを大樹が明かすと、ティムは“80歳までやる!”と力強い発言で会場を沸かせた。さらに、ウィンの伸びやかなアカペラから始まるドラマチックな新曲「yours」をお披露目。アンコールの最後を再び「Memory」で締め括ると、2018年6月にホールツアー『PrizmaX Hall Tour Level 7 ~FUSION~』を開催することを発表。悲しみと対峙することで、さらなる一歩を踏み出す覚悟を本公演で提示してみせたPrizmaXから今後も目が離せない。
撮影:笹森健一/取材:高良美咲