元祖ソウル・ブラザーズ「クック・ニ
ック&チャッキー」結成50周年記念チ
ャリティーパーティー開催

11月月24日(金)、東京・恵比寿の『アクトスクエア』にて、<元祖ソウル・ブラザーズ クック・ニック&チャッキー結成50周年記念 チャリティーパーティー>が行われた。

クック・ニック&チャッキーって知ってる? では、「可愛いひとよ」って、曲は? それでも、グッとこない人は、この「元祖ソウル・ブラザーズ」という言葉に注目してもらいたい。日本に、まだディスコというジャンルの店さえなかった時代。ザ・ビートルズが来日した1966年、新宿に『ジ・アザー』というR&B喫茶(のちにディスコ化)が誕生する。リバプールサウンドやロックンロールが爆発的に大衆化する陰で、その源流ともいえるソウルに対する憧れがカタチになって現れてきたのである。
その『ジ・アザー』に集う、20歳そこそこの若者であった、クック豊本、ニック岡井(2007年死去)、チャッキー新倉の3人が、ソウル・ブラザーズを結成する。数人のバンドマンを従えて、巷のR&Bや米軍基地などで活動をはじめる。1970年に、その3人が、クック・ニック&チャッキーとしてメジャーデビューを果たす。現在、日本において、「ソウル・ブラザーズ」といえば、三代目J Soul Brothersということになるだろうが、それより40年ほど前に、「ソウル・ブラザーズ」は存在していた。これが、クック・ニック&チャッキーを元祖と呼ぶ由縁である。
クック・ニック&チャッキーは、日本初の本格的ソウル・R&B系アーティストであり、我が国においてソウル・R&Bミュージックの普及と発展に貢献した3人なのだ。日本におけるソウルステップの創始者であるニック岡井は惜しくもこの世を去ってしまったが、クック豊本とチャッキー新倉は、いまだ現役でクック・ニック&チャッキーとして活動を続けている。
さて、そのクック・ニック&チャッキーの結成50年を祝うイベントである。会場に集まったのは、その生きざまにソウルを感じる熟年の男女。出演者と見間違う年季の入ったファンキーな華やかさに圧倒される。新宿『ジ・アザー』、ニックが店長をしていた新宿『ゲット』(1971年)、チャッキーがマネージャーをしていた新宿『ソウルトレイン』(1974年)など、当時のディスコ好きなら知らない人はいない名店のスタッフや常連客たちの同窓会的な雰囲気も漂う。会場は、ディスコ創世記からディスコ全盛期をリアルタイムで生きてきた人たちのエネルギーで充満していた。
ライブでは、8人編成のバンドよるファンキーでゴージャスな演奏にのせて、和製ディスコソングの第1号といわれる「可愛いひとよ」(1972年/作詞:阿久悠 作曲:大野克夫)をはじめ、「僕の彼女は三つ年上」(1971年/作詞:阿久悠 作曲:ニール・セダカ)、デビュー曲「ライダー・ブルース」(1970年/作詞:阿久悠 作曲:井上堯之)など、クック・ニック&チャッキーのオリジナル6曲を披露。ニック亡きクック・ニック&チャッキーの助っ人として、元・KING OF SOULのマイケル鶴岡も加わった。
マイケル鶴岡
マイケル鶴岡といえば、『とんねるずのみなさんのおかげです』のソウルダンスコンテストの名物コーナーだった『SOUL TUNNELS』(1991年〜1992年)の審査員をしていたことを思い出す。彼こそは、ジェームス・ブラウンの日本で唯一のマブダチといわれたドン勝本(2007年死去)亡きあと、日本のソウル界を支える最重要人物のひとりである。そして、KiYOMi(テナー)、COKURi(アルト)、MiKA(ミカ)、MiSUZU(ソプラノ)の女性の4人組の超実力派ソウルコーラスグループ・TokyoFunkyDollsを交え、テンプテーションズメドレー、ジェームス・ブラウンメドレーなど、1970年代のR&Bヒットソングを次々とカバーしていく。
他にも、DJ K-Co a.k.a. NinaとDJ KAWABATAによるディスコタイムでは、客の半数以上が踊りまくるというすさまじい熱気。1960年代後半から1970年代のディスコムーブメントの裏話やクック・ニック&チャッキー結成秘話などのトークも展開。マニア垂涎のお宝チャリティー・オークション(障害者支援団体「どんぐりビレッジ」に寄付)では、ニックの奥様である佐和子さんも登場し、『ゲット』の当時のマッチやチケット、『ソウルトレイン』の当時のTシャツ、ニックが履いていた靴、などなど貴重な品々に大盛り上がりの、懐かしくてパワフルなソウルパーティーだった。
ソウル好きなはずなのに、クック・ニック&チャッキーを知らなかった人、是非、これを機会に、クック・ニック&チャッキー、マイケル鶴岡、TokyoFunkyDollsを覚えておいてほしい。またのチャンスをお見逃しなく!

取材・文/卯村

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