OLDCODEX Painter YORKE.
『WHY I PAINT
~なぜボクがえをかくのか~』
- 第58回 Hard to Say / The Used -

日曜日。
オレはツアーの真っ最中。
2日目の公演を控えた昼に父親と会った。
体調が万全ではないから、ライヴを観たいけど会場まで行くのが厳しいと言ってた。
一緒にランチを取り、オレは会場へ。
「お前を待ってるヤツへ会いに行ってこい」
握手した父親の手はあったかく強かった。
9月から“they go, Where?”と掲げて始めた全国Tour。
ライヴハウスからホールへ会場を変え、Where?の答えを探しに行く。
舞台のセットは更にPaintingした欠片を繋ぎ合わせて大きな1でその存在感を増してる。
不思議だなあ。
制作した過程を思い出しながら、リハーサルの舞台で寝転がって見上げてみたり。
不思議だなあ。
照明のせいだけじゃないと思う。
大きなアートワークが意志を持ち始めて
今にも動き出しそう。

ショーが開演。
目の前にはOLDCODEX、それにYORKE.を待ってるみんな。
舞台に上がれば、オレはいつだってYORKE.だ。
この背中には色々なモノが乗っかってる。
それを感じながらキャンバスへ何度も挑み、
マイクを掴んでは叫んで、囁くように届ける。
ただ絵を描き歌うだけ。
前向きで力強い夜の後、母親から短い連絡が来た。
父親が倒れた。
心肺停止というショッキングな報告から、病院へ駆け付けた頃、なんとか命は繋がってた。
手足を拘束され、人工呼吸器とたくさんの管に繋がれた男。
オレはただ静かに彼の姿を目に焼き付けるように見てる。
「恐れるな。どんなにこわくても目を背けるな。」
子どもの頃のオレがそこにいて、父さんの声を聞いてた。

そしてオレは彼の冷たい親指を握り、次の舞台へ向かう。
YORKE.を待ってくれてるキミに会いに行く。
言葉では言い難い事実を受け入れても行かなきゃ。

YORKE. / October, 2017

OLDCODEX プロフィール

オルドコデックス:2009年、発足。VocalとPainterという異色の組合せの特性を生かし、ロックを基盤にしながらラウド、ダンス、パンク、メタル、プログレ、R&Bなどの要素を混ぜ込んだミクスチャーサウンドを主としつつ、ライヴアートを織り交ぜた視覚をも楽しませる作品群をパッケージ物、ライブ、グッズ等、メンバーが関わる全ての場所で打ち出している。2021年12月に、『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編 メインテーマをもって解散となることを発表。22年4月27日発売の『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編オリジナルサウンドトラック「Never Ending Blue」にOLDCODEXが担当する同タイトル メインテーマが収録。『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編オリジナルサウンドトラック 商品情報
OLDCODEX オフィシャルHP

OKMusic編集部

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