【ISEKI】
これから続けていく上で
柱となる音楽はこれなんだ
キマグレン解散から2年、ソロとして帰還したISEKIが選んだテーマはずばり“AOR”(アダルト・オリエンテッド・ロック)。珠玉の名カバーを収めた『AOR FLAVA -mellow green-』から、彼の新たなアーティスト人生はスタートする。
お久しぶりです!
今日がソロとしては初取材なんですよ。ちゃんと話せるかどうか。
では、まずは今回、カバーアルバムでのソロデビューになった経緯って?
もともと山下達郎さんやオリジナル・ラブさんがすごく好きで、ああいうものをやってみたいという想いがあって、オリジナル曲を作り始めていたんですよね。でも、昨今の状況もあるし、キマグレンとはかなり色が変わっちゃうこともあるので、プロデューサーからまず色を付けてみないか?と。“俺はこういうことをやっていきたいんだ!”というものを、まずは世の中に提示してみないかということで、カバーの企画をいただいて。初めて挑戦する曲や昔からカラオケで十八番だった曲とかを散りばめながら作っていきました。
なるほど。やりたいことと企画がうまく一致したと。
ジャンルと、どこの世代に向けた作品なのかがはっきりしてるから、これはありだと思ったんですよね。ジャケットにもすごくこだわって、河野未彩(みどり)さんというアートディレクターの方がいるんですけど、ライヴ会場限定で出しているCD(『COFFEE & SOUL -demo tracks-』)のジャケットを描いてもらいました。今回も河野さんに新しいAORをイメージして手掛けてもらってます。
音、ビジュアル、アートワークを含めて、はっきりとした色を打ち出す。
そうです。今年の目標は“ISEKIと言えば、あれだよね”というものを提示することなので。もちろんキマグレンのISEKIも自分ですけど、これから30代、40代、50代と続けていく上で、柱となる音楽はこれなんだということを提示する音源ですね。
これを聴くと、ISEKIさんの思うAORって日本の良質なポップスとほぼ同義なのかなという気がします。
そうです。洋楽のAORに影響を受けた、日本のアーティストが好きなんです。日本のAORにある色気のようなものが、ISEKIならもしかしたら出せるんじゃないかということをプロデューサーから言われて、マジですか!?と。♪泣きたくて、笑いたくて~とか歌ってた奴が、色気とか言っていいのかと(笑)。
あはは。いやぁ、全然ありじゃないですか。
でも、そういう自分が本当に馴染んできたものをやれてるのが、今は楽しいですね。
今回の8曲はシュガーベイブの「DOWN TOWN」を筆頭に、ISEKIさんの愛唱歌ですか?
いえ、実は大江千里さんの「十人十色」と小坂忠さんの「しらけちまうぜ」は通ってきてなかったです。こんなにいい曲があったのか!?という感じですね。他は全部通ってきた曲で、オリジナル・ラブさんの「接吻」とか、カラオケに行ったら絶対歌いますから、楽しくてしょうがない。今回はプロデューサーのこだわりもあって、ミュージシャンもしっかりとAORを分かっている方たちに演奏してもらっているんです。例えば「接吻」はベースが小松秀行さん、ドラムが佐野康夫さんで、そのままオリジナル・ラブなんですよ。ヤバイですよ。
ヤバイですね、それは。
他のミュージシャンもむちゃくちゃ上手い人ばかりなんで、歌う僕も大変でしたね。グルーブにしっかり乗らないとカッコ悪くなっちゃうんで。「DOWN TOWN」とか、むちゃくちゃ難しいんですよ。一番苦労しました。みんな歌が上手い人の曲ばかりだから、このシリーズが終わる頃には僕も上手くなってるかもしれない(笑)。
ある意味、すごいレッスン。
そうそう。そういう意味でも、今年はすごい勉強の年になるなぁと思います。
そして、最後に1曲、オリジナルの新曲で「HOLD YOU feat.中田裕二」が入ってますね。
コラボで1曲作るなら中田くん(ex.椿屋四重奏)がいいなと。音楽の趣味も好きなものも全部合うんで、声をかけたら“やりたい”と言ってくれて、キャッチボールしながら作っていきました。趣味が合うからキャッチボールもものすごく速いんですけど(笑)。中田くんが“こういう曲はどう?”というアイデアを出して、それにインスピレーションを受けて僕がザッと作ってみて、中田くんに投げ返す。歌詞もふたりでセッションしながら作っていった感じです。中田くんは“俺はちょっと口を出しただけだから、名前を入れなくていいよ”とか言ってましたけど、がっつりタイトルに入れました(笑)。
このカバーアルバムはシリーズ化されるという情報もありますが、これからソロアーティスト、ISEKIはどんな活動をしていくのでしょうか?
将来的にはビルボードとかで、座ってちゃんと観れるライヴを目指してます。そうすれば歳をとってもできると思うし。今作ってるオリジナル曲はキマグレンの時よりもキーが1音ぐらい下がってるんですよ。ふたりで歌っていたから、バランスを取るためにキーを上げてたんですけど、今は自分が一番歌いやすいキーにしているので、もしかしたら初めて聴くような感じに聴こえるかもしれない。もちろんスタンディングで、踊ってもらうようなライヴもいいと思うし、フルバンドで管楽器も入れて、ソウルっぽい感じにするとか、そういうこともいつかやってみたいと思います。…そうそう、取材ってこういう感じでしたね。
あはは、何を今さら。
キマグレンの頃は、あんまり作品についてしゃべった記憶がないんですよ(笑)。いい勉強になりました。これから頑張ります。
取材:宮本英夫
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アルバム『AOR FLAVA -mellow green-』2017年6月28日発売
徳間ジャパンコミュニケーションズ
『ISEKI LIVE 2017~COFFEE & SOUL vol.2~』
9/30(土) 東京・渋谷 gee-ge ※2公演
10/14(土) 愛知・名古屋 sunset BLUE
10/15(日) 京都・SOLE CAFÉ
10/21(土) 大阪・心斎橋ヒルズパン工場
10/22(日) 広島・音楽喫茶 ヲルガン座
10/28(土) 宮城・SENDAI KOFFEE
11/03(金) 福岡・LIV LABO
11/05(日) 北海道・musica hall café
『AOR FLAVA~毎日がクリスマス10th anniversary ☆2017☆ SPECIAL LIVE~』
12/25(月) 神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール
イセキ:大学時代より本格的に音楽活動をスタートし、いくつかのバンドで活動。2005年に幼馴染のKUREIと逗子海岸に海の家ライヴハウス(現『音霊 OTODAMA SEA STUDIO』)を発足。同年、キマグレン結成をし、08年にメジャーデビュー。結成10周年となった15年夏にキマグレンが解散すると、ソロアーティストとしての活動をスタート。17年6月にカバーミニアルバム『AOR FLAVA -mellow green-』でメジャーデビュー。同年8月には同じシリーズで2ndミニアルバムとなる『AOR FLAVA -sweet blue-』をリリースした。ミュージシャンとして活動するかたわら、イベントオーガナイザーとしても活躍、そのひとつである『毎日がクリスマス』は今年で10周年を迎える。ISEKI オフィシャルHP