【トータス松本】トータス松本 渋谷
C.C.Lemonホール 2009年10月26日

取材:石田博嗣

人生に於いて20代というのは自分が打ち込める“何か”を見つけるためにがむしゃらに突っ走り、30代は見つけた“何か”を目指して目いっぱいに努力し、40代は手にした“何か”をより突き詰めるために打ち込む…というようなことを、本で読んだ記憶がある。40代でソロアーティストとなり、自身の音楽を突き詰めようとしているトータス松本のライヴを観ていて、そのことをふと思い出した。ステージ上のトータスは終始笑顔で、精魂込めて作り上げた1stソロアルバム『FIRST』の楽曲たちを、気持ち良さそうに歌い上げている。彼の音楽はソウルやブルースといったルーツミュージックのDNAを感じさせ、上戸 彩に書いた曲のセルフカバー「Honey」にもモータウンの香りが漂っていたが、一番伝わってきたのは彼の人となりだ。歌詞には今の時代に生きる43歳の男の喜怒哀楽が描かれていて、それをライヴというリアリティーのある場で歌うトータスは、まるで素をさらけ出すように、その歌の向こうにある“自分”を届けていた。バンドではできないことをやるのがソロ…という簡単な縛り以前の、ひとりの音楽家としての自己表現がそこにあった。もちろん、音楽を目いっぱいに楽しんでいる彼の“めっちゃ、楽しい!”という感情が派生し、客席に笑顔があふれるライヴだったことは言うまでもない。ソロアーティストとなっての1stツアーは、このライヴで終幕を迎える。今回のツアーを回ったことで、ソロとしてやっていくことに腹が括れたと語ったトータス。そして、“俺はこれからも歌を作って、歌って、みんなを巻き込んでいきたい。みんなに良いものを返す”とも断言した。彼の“何か”への本当の探求は、ここから始まるのかもしれない。
トータス松本 プロフィール

1966年12月28日生まれ、兵庫県西脇市出身。言わずもがな日本を代表するロック・バンド、ウルフルズのフロント・マンである。90年にシングル「やぶれかぶれ」でデビュー以降、「ガッツだぜ」や「バンザイ〜好きでよかった〜」「明日があるさ」といったヒット曲を世に送り出す。バンド活動の傍ら、俳優としてドラマや映画にも出演し、音楽以外の分野でも活躍中だ。

03年2月、マーヴィン・ゲイやサム・クック、リトル・リチャードといった自身の敬愛するアーティストによるR&Bの大名曲をカヴァーしたアルバム『TRAVELLER』をソロとして発表。ウルフルズのヴォーカルとしてのみならず、ソロ・シンガーとしても多くの支持を得る。05年3月にはデビュー当時からの夢であった自身初の描きおろし絵本『わいもくん たんじょうの巻』を出版。かわいいキャラクター達と心温まるストーリが好評を博し、09年10月より<MUSIC ON! TV>でのアニメ放送がスタートしている。

07年4月には、レゲエ・シンガーRYO the SKYWALKERと共に“RYO the SKYWALKER & トータス松本”名義でコラボレーション・シングル「おはようJAPAN」を発表。横浜レゲエ祭など、数々のイベントにも飛び入り参加し、新たな一面を見せた。08年6月には日本テレビ系『ホカベン』主題歌に起用されたソロ1stシングル「涙をとどけて」をリリース。その後、配信限定シングル「花のように 星のように」やシングル「僕がついてる」「明星」の発売を経て、09年7月に自身初となるオリジナル・ソロ・アルバム『FIRST』を発表。公式サイト(アーティスト)
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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