【BUCK-TICK FEST 2007 】BUCK-TIC
K FEST 2007 横浜みなとみらい新港
埠頭特設ステージ 2007年9月8日

撮影:田中和子/加藤千絵/武裕康/MASA/text:石田博嗣

2005年に発表されたトリュビュートアルバム『PARADE~RESP ECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』に参加した13アーティストが全組出演するという、BUCK-TICK がデビュー20周年を記念して主催したイベント『BUCK-TICK FEST 2007 “ON PARADE”』。前日まで猛威を振るっていた台風が嘘だったかのような好天に恵まれ…というか、残暑の厳しい日差しが照りつける中、定刻通りにスタートした。 トップを飾ったのは清春。フェス系のイベントに彼が出演するということだけでも珍しいのに、いきなりサプライズを起こす! “一発目からこの人が一緒に歌ってくれます”とステージに櫻井敦司を招き、ふたりで「JUST ONE MORE KISS」を熱唱したのである。そして、メタルとハードコアパンクを融合した楽曲で観客を攻め立てたBALZAC、シューゲイザー的にノイジーな轟音と甘いメロディーが共存するサウンドを轟かせた後、kyo(Vo)が加わって「MON STER」のカバーを聴かせたRUNAWAY BOYS(kyo&nackie)と続き、80年代のニューウェイヴやパンクロックを持ち前のポップ感覚でもって蘇生&進化させたAGE of PUNKのステージへ。ASAKI(Vo&Gu)が“夢を叶えちゃっていいですか?”と言い放つと、本日2回目のサプライズが発生する。彼が師匠として崇める今井 寿(Gu)と「PHYSICAL NEUROSE」のカバーで共演を果たしたのだ。続いて、ATTACK HAUSがデジロックもテクノも昇華したポップでハードなサウンドを聴かせた後、2本のアコースティックギターとドラムで壮絶なグルーヴを作り上げた遠藤ミチロウ率いるM.J.Qが3回目のサプライズを引き起こす。スターリンの代表曲「ワルシャワの幻想」の混沌としたうねりの中で、今井がトリッキーなギター音を操っていた。 その後も、THEATRE BROOKがファンキーでクールなインプロビゼーションを聴かせると、土屋昌巳バンドが各プレイヤーの個性で一枚の絵を完成させていくようなロックインストゥルメンタルで音のアートを魅せ、abingdon boys schoolではバンド然たるサウンドをバックに西川貴教がシンガーではなく、ヴォーカリストとしての存在感を見せつけた。そして、『PARADE』への参加をきっかけにGLAYのHISASHI(Gu)が中心となり、Radio Carolineのウエノコウジ(Ba)、THE MAD CAPSULE MARKET'SのMOTOKATSU MIYAGAMI(Ds)、GLAYのTERU(Vo)によって結成されたRally。本日が初ライヴだったが、「悪の華」はもちろんBiorkやTHE KINKSなどのカバーを中心に、強靭なリズムがギターとヴォーカルを押し出すような緊張感の高いサウンドを聴かせた。続くはバンド系ゲストのトリを務めるJ。1曲目からハイテンションなナンバーで力強いロックサウンドを叩き付けると、バトンはロックやJ-POPの要素の強いヒップホップチューンを聴かせたMCU、トランス系の空気で観客の体を揺らせたKEN ISHIIへと渡り、いよいよ本イベントの主役の出番を迎える。 登場するや否や孤高の世界観を瞬時に構築した、BUCK-TICKの圧倒的なパフォーマンスに騒然となる客席。畳み掛けるように放たれたポップチューン「RENDEZVOUS~ランデヴー~」「Alice in Wonder Underground」にも即効性の高い甘味な毒がもられているため、完全に観客の意識は飲み込まれてしまっていた。その後も「ROMANCE」や「DIABOLO」といったディープでミステリアスなナンバーなど独創的な楽曲を披露するBUCK-TICK 。最先端の音楽を取り入れつつも、彼らにしか表現できないサウンドが創造されており、最強のオリジネーターとして20年間、浮き沈みの激しい音楽シーンの中を君臨し続けた理由や実力、貫禄を感じずにはいられない。特に圧巻だったのがオーラスの「JUPITER」だ。星野英彦のアコースティックギターと今井の浮遊感のあるギターが紡いでいく幻想的なサウンドと流麗なメロディー、そして昼間の猛暑とは打って変わって晩夏の夜の清涼感にみちた空気に包まれた観客は、魂を抜かれたようにステージに釘付けとなっていた。まさに感動的なフィナーレである。 「JUPITER」演奏後に花火が盛大に打ち上げられ、幕を閉じた『BUCK-TICK FEST 2007 “ON PARADE”』。これだけ個性的なアーティストがそろうイベントは希有なだけに、20周年というアニバーサリー企画で終わらせずに、今後も続けてほしく思うのは僕だけではないはずだ。

OKMusic編集部

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