取材:石田博嗣

バンド史上一番テンションの高い最新規
格!

「1sec.」は昨年11月に行なった初のアメリカ西海岸ツアーの経験から生まれたのですか?

TAKUMA
相当いいものをいっぱいもらってきましたからね。またアメリカでライヴをやった時に、周りに負けないぐらいのテンションを感じる楽曲にしたいと思ってて…それでいて僕ららしくて、演ってても楽しくて、みんなで楽しめるものだったら尚さらいいなって。だから、いつも通りに作ってはいたけど、アメリカで感じた楽しかったこと、カッコ良いと思ったことが、曲から滲み出るものにしたいと思ってました。

確かにテンションが高く、サウンドもカラッとしているのですが、曲を作り上げる時に意識したことは?

KOUICHI
TAKUMAが持って来た原曲が、出来上がったものとほぼ近いものだったんで、みんなでちょっとアレンジしたぐらいでしたね。間奏部分をどうするかで悩んだんですけど、うまいこといいパーツが入ったなって。ドラムは緩急を意識したかな。
TAKUMA
ギターは音作りをかなり意識しましたね。今までは旋律を大事にしてたんですけど、歪んでる度合いとか、音の太さや重さみたいなものが結構大事になってたので、神経質にやりましたね。メタルをやってた時の音作りみたいでした(笑)。

ヴォーカルも噛み付いてきそうなテンションですね。

TAKUMA
そうですね。ほんま、何回もやり直したんですよ。それも夜中に(笑)。大変なのは分かっていたから、レコーディングの一番最後に残しておいて、シャウトのところとか喉がつぶれるまでやりましたね。あと、曲調が速いんで全員の手の動きも尋常じゃなかったです。ギターは速く弾いてもそんなに引っかかりがないんですけど、ベースはガツガツ引っかかったんちゃうかな。実際はどうなん?
NAOKI
レコーディングの時はわりとスムーズにできたけど、PV撮影の時が大変やった。右手の皮が剥けてベロンベロンになってた。後半、痛くて嫌やったもん。
TAKUMA
今回は何もかもが速かったから大変でしたよ。勢いを出さなあかんし、スピードはあるし。ドラムもマックスやったな(笑)。
KOUICHI
ほんま、大変やった(笑)。

そんな曲に、どんな歌詞を乗せようと? 和訳が載ってる部分と、載っていない部分と内容の深さが違うのですが。

TAKUMA
アメリカに行って、快楽主義みたいなものを感じてたんですよ。例えば、“10年後に笑うためには、何をすればいいか?”ってなると、日本人は“今はこれをやって、来年はこれをやって~”って計画立てて頑張る民族だと思うんですよ。でも、アメリカ人は“10年後に笑うためには、10年後まで毎日笑い続けるんだ”っていう。それってタフじゃないとできないし…でも、それは“悲しいことや辛いことはあるけど、こうやって笑って過ごしてるんだ”っていうものなんですよ。そういうのが人を見てると伝わってくるんですよね。それって実際に現地に行かないと分からなかったと思うんです。だから、アメリカで思った陰と陽をリズミカルで、聴いてて気持ちのいい言葉で歌詞にできたらいいなって。戦争から幾年もの年月を経て、今、アメリカと日本のバンドが一緒に笑ってライヴできるのって素晴らしいことだと思う反面、アメリカと日本の食文化の途轍もない差みたいなものを笑ったという(笑)。

2曲目「SEASIDE CHAIR」は爽快さと切なさが共存するポップチュ-ンですね。

TAKUMA
これもアメリカで…観光地みたいな海がきれいなところがあって、海の方を向いて等間隔で木のイスがあったんですよ。そこには“天国のお母さん、この海を見るたびに私のことを思い出してね”っていうメッセージと名前が書いてあって、そういうのがそれぞれのイスに書いてあるんですよ。それがすごく印象的で…湿っぽいようでいて、ポカポカと温かいものを感じたし、パッとやさしい笑顔が頭に浮かんだんですね。そういうやさしい笑顔をいつできたらええかなって考えた時に、自分が死んでしまう時かなって。やさしく笑えて、全てのことに“ありがとう”って言って天寿をまっとうできることが、一番幸せなことなんじゃないかなって。だから、そのイスの名前で、その時に感じたメロディ-で、人生最後の日の歌を作ろうと思たんです。

そして、3曲目「ナクシタモノ」は歌ものという。

TAKUMA
向こうの音楽に触れたゆえに出てきた、小さい頃から聴いてきたポップ感と、今の自分が表現しようとしている音楽を混ぜた…ひと言で言うとそんな感じですね。歌詞は別れだったり、失ったりしたことがたくさんあるんですけど、勝ったり、得たりした時よりも、そういう時の方が大事なものに気付くことがたくさんあるなって。別れだったり、何かを失った時って、ひたすら悲しくて、心が負けてしまいそうになるけど、その時に人に話を聞いてもらうのと同じぐらい僕は音楽に元気付けられたんで、そういう楽曲になればいいなと思ってて、その想いをそのまま歌詞にしました。

今作は1曲1曲に個性がある、濃いシングルになりましたね。

NAOKI
あまりにも違いすぎると抵抗があると思うんですけど、そういうのは感じなかったし…これだけいろんなカラーを出せたのは初めてだったんですけど、それを一枚にまとめられたのが良かったですね。
KOUICHI
1曲1曲のバランスもいいし、3曲だけど、飽きないものになったかなって。僕はシングルって何回も聴かないんですけど(笑)、繰り返し聴いてほしいですね。
TAKUMA
今までにない新しさが、今までで一番出ているのは確かですね。今までで一番テンションが高いし、それでいて今までの10-FEETの要素も全部出ているんで、“一番テンションの高い最新規格”って感じですね。
10-FEET プロフィール

テン・フィート:1997年に京都で結成。現在も拠点を京都に置いて活動中。シンプルな3ピースという形態ながら、メロコアというジャンルではすでに括ることのできないその音楽性は、ロック、パンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ等のジャンルを10-FEET 流に取り入れて幅広い独自のものを確立、ロックシーンで確かな存在感を示している。また、年間約100 本近い精力的なライヴ活動も、その迫力満載のライヴパフォーマンス、人間味あふれる深いメッセージが込められた歌詞やMC、笑顔を誘い出すキャラクターで常に話題を振り撒き、エンターテイナー性あふれるその活動スタイルを徹底している。また、2007年から自身で主催する野外フェス『京都大作戦』(2007年は台風の接近のため中止)も大成功におさめている。10-FEET オフィシャルHP

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