【ゼロイロ】
取材:ジャガー
本当に納得いくものを残そう
「前作『零色』を出したぐらいに、すでに構想のあった曲をどうしても音源化したくて。そこから『こころね』の制作を始めました」(タカ)
“届けたい”というアーティスト願望と、“いいものを形にしたい”というクリエイター願望。そのふたつが合致して誕生した楽曲は、聴き手を虜にする不思議な力を持っている。そんなことをふと考えさせる『こころね』は、人間の陰なる感情をさらけ出しつつも希望を見据えた一枚。“和”を基調としたサウンドが心地良く、ゼロイロの世界観が瞬時に広がる。
「結成当初からオリジナリティは追求してますね。メンバー全員“特別な存在になりたい”っていう意識が強くて(笑)。あとタカさんの歌声もクセがあるので、そこを活かせるような曲作りを心がけてますね。ロックだから“洋楽っぽくてカッコ良い”って思われるのは嫌なので、“自分たちはこうだ”っていうのをちゃんと見せたかったんです。だから、似たような楽曲ができてしまったら全部ボツにしましたし、本当に納得いくものを残そうって気合いで今回のアルバムは完成させました」(ゴウダ)
「俺らのロックを形にしようとしたのが1枚目。そこで、こういう感じになるんだって分かったから、次はどうしようって練り上げたのが今作ですね」(ヒロ)
今作に辿り着くまでに、かなりの試行錯誤があったという。しかし、逆にその壁を越えることができたからこそ、完成させることができたようだ。
「『紫陽花の咲く季節に思った事は』は、本当辛かった時期に書いた曲で。2年前ぐらいに東名阪ツアーを回ってた時、実は解散するかもしれないっていう危機を迎えてたんですよ。で、何回やってもしっくりこないし、歌詞もできてないから寝かせてたこの曲を、ツアーから帰ってきて改めてやってみたんですね。そしたらガッと盛り上がっちゃって(笑)。バンドが解散するかもしれないっていう自分たちの悩みが歌詞にダイレクトに写し出されて、“いつかいつか届きますように”って言葉が出たんです。ライヴの反応も違いますね、涙を流して聴いてくれる人もいて。自分たちも演奏するとグッときます」(タカ)
「危機を乗り越えることができてからは、メンバー同士の絆もさらに深まったように思います。何もないゼロの状態から3人で作った『零色』って曲ができたのもそうだし、前作で好評だった『Bem』をしのぐ、『幸福論』ができたのもバンドとして逞しく成長したのかなと」(ヒロ)
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