【GENERAL HEAD MOUNTAIN】
取材:ジャガー
自分の見える範囲をしっかりと描写する
ことが大事た
今作の第一印象ですが、音楽を崇高する姿勢を感じました。
そうですね。胸がキュンとなって切ないとか、楽しいだけとか…そういった馴れ合いはダメですからね、観ても聴いても。音楽に携わるのであれば、ちゃんとした形を作ろうと思ってるので。まぁ、作んなきゃって思ってから始めるんですけど(笑)
では、いつ頃から制作を始められたのですか?
去年の12月頃からですね。ライヴばっかりやっていた時期で、“そろそろ曲を作らないとまずいんじゃないか?”って。特に温めていた曲もなかったので、イチから作りました。
逆にその方が全体をイメージしやすいのでは?
いや、最初に…これまでは今しか歌えないような楽曲が多くて、歳を取った時でも歌える曲として『足音』ができたんですけど、アルバムに入れるのはどうかなと。今までと違う分、ちょっと怖かったですね。でも、結論としては、僕が好きな歌だからいいかなって。自分が聴きたいものがなかったから…と音楽を始めたっていうのもあったので。
だから、始まりから終わりまで自分の好きなものを詰め込むわけですね。日本語詞の表現が独特なのも好みが反映して?
英語は分からないから書かなくて、最初はこだわりもなく。いつの間にか日本語で作ることが楽しくなって、今は自分からカッコ良いのを狙って書きます。
松尾さんが思うカッコ良さとは?
何て言うんだろう…こう、絵が浮かぶような音楽を作りたいんですよ。僕が歌詞を書く時は、いつもすごい小さな風景を思い浮かべながら書くんですね。例えば、物を掴んだだけとか。で、“掴んで、それからどうするか?”までを曲にしたり。ひとつひとつの世界は小さいんですけど、それをまとめるとミニアルバムみたいな大きな作品になるのでいいなと。“Love&Peace”みたいな大きい世界を書くと、自分の場合は嘘くさくなるんじゃないかって。“結局、何が言いたいの?”って思ってしまうし。自分の見える範囲をしっかりと描写することが大事ですし、そうすることがカッコ良い曲につながるんじゃないですかね。
ストリングスによる序曲からの流れも心地良かったです。「東京」は短いながらも、聴き応えがありましたし。
本当は30秒に収めたかったんですけどね。いい余韻があったので、それを残したら32秒になりました。1秒でも、それを曲だという人はいるし。ちゃんと僕的には、前奏からサビと構成があったので32秒にいろいろ詰まってますよ。
バンドサウンドとストリングが絡み合い、壮大な世界観を生み出している「光」ですが、難産だったとか。
真面目に書きましたからね。基本的に本音はちょっとしか書かないんですけど、『光』に関してはわりと多めに入ってますね。普段、書き直すこともあまりないんですけど、この曲ではそれがあったり。
色の鮮やかさはないんだけど、しっかりとした明るさを見出すことができる曲でした。
夜明け前って感じですよね。午前4時からの15分間を歌っているような。やっぱりどれも小さな景色を歌っているんだけど、動作ひとつとってもそこにはいろんな経緯や想いがあるわけで。このアルバムで、さらにそういうひとつの出来事をちゃんと表現できたんじゃないかなって思います。そのおかげで作っていくうちに、もう次のアルバムも面白そうだなって予感がしてます。