取材:ジャガー

いつでも聴けるような、軽いイメージで
歌いたい

伊達さんの年齢で、フォークソングは珍しいですよね。

でも、根っからのフォークファンなんですよ。フォークが盛んだった70年代って、何においてもエネルギーがあって、音楽やファッションだったり全部が新鮮で。現在も日々新たなものが生まれてるんだけど、人が変わったから活気がなくなったように思うんです。いいところもたくさんあるけど、時代のクソさっていう面も必ずあって…そういうのに今の人たちは冷めちゃっただけなのかなって。だからと言って、俺は“世にモノ申す!”とか、人に説教臭い歌を届けたいわけじゃなくて、わりといつでも聴けるような…軽いイメージで歌いたくて。普段は適当なことをやってるんだけど、たまに大切なメッセージがちゃんと入っていればいいかなって。

確かに、何気ない日常を歌われている楽曲が目立ちますね。その中でも世間の風潮を一切無視した「禁煙席とコーヒー」というすごい歌もあったり。

吸わない人には反感を買うでしょうね(笑)。でも、愛煙家としてはこれがメジャーで出せて、幸せですよ。素の自分を出せたっていうか、ギターを触わるのが好きで、何も考えずに弾いてる時に一緒にテープレコーダーも回しといて、後から抜粋していく作曲の方法なので、全部楽しみながら進めていきました。

楽曲制作を堅苦しく捉えずに、生活の一部となっているんですね。

ストレスが溜まっちゃいますから。よく人に八つ当たりしてたんですけど、それを歌に詰め込めて…そうやってステップアップしていかないと大人になれないし(笑)

「君らしく」「君との未来」は、愛する人に向けて書かれたものだから、本作の中でも雰囲気が違いますよね。

『君との未来』は失恋を思い出しながらですけどね(笑)

めくるめくふたりの歴史が赤裸々に綴られてますもんね…いろいろ辛かったようで(笑)。

…はい(笑)。俺、超ちゃらんぽらんな人間ですけど、その時に別れた彼女はすごく大切な存在だったんです。ふと、あの頃に戻れたらいいのにって思うぐらい。でも、彼女との別れがなかったら、ラブソングも作らなかっただろうし、今の自分は確実に存在しないので、感謝してます。

“本当のラブソングはピアノに向かい 唄えないでいる俺の事さ”という1行が心情を強く表しているように思いました。

そう言ってもらえるとうれしいですね。この1行が最初に出てきたので、一番言いたかったことでもあるんです。ラブソングなので、もっと綺麗な声で歌おうかなとも思ったんですけど、それだと嘘になっちゃうので、家で歌ってる感じで歌いました。

やはり、この歌を作った時の心境を思い出しながら歌われたのですか?

いや、どの曲においても言えることなんですけど、今の心境で歌うように心がけてますね。年月は経つし、俺も成長していくじゃないですか。例えば、今日詰めたリアルな気持ちでも、1週間したら変化しているかもしれない。昔と今と心境が違うのであれば、戻ったら嘘ですからね。曲の世界に自分が入り込みすぎると、聴いてる人が気楽に聴けないものもあるし。

聴き心地が一番のポイントなのですね。

メッセージ性ばかり追い求めるより、耳に残って、何度も聴いてもらえる曲がいいですから。その中でちゃんと自分の持ち味が出せたらいいですね。
伊達晃二 プロフィール

ダテコウジ:ミュージカル『テニスの王子様』で一躍名を広め、今作を持ってシンガーとして新たな道を突き進む。ヴィンテージギター収集を趣味とするほどに、音楽をこよなく愛している。伊達晃二オフィシャルサイト
オフィシャルサイト

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