L→R 河井純一 a.k.a. NAUGHTY BO-Z(Produce&Composer)、 片桐舞子(Vo)

L→R 河井純一 a.k.a. NAUGHTY BO-Z(Produce&Composer)、 片桐舞子(Vo)

【MAY'S】MAY'S にしか出せない夏ら
しさが詰まっている

リリース前からレコチョク等で上位にランキングされていた「I LOVE YOU が言えなくて」。そこに綴られているのは、十代の思春期に誰もが経験したことがあるであろう片想いの心情。そんな楽曲が生まれた背景について、ふたりが語ってくれる。
取材:土内 昇

ニューシングルの「I LOVE YOU が言えなくて」ですが、すでにYouTubeでPVが公開中なので、早速チェックしましたよ。片想いをしている時の自分自身へのやり切れなさや葛藤が映像からも伝わってきました。

舞子
この曲に込めた気持ちだったり、どういう部分を一番描きたいかを…それこそ“こういうことをしたい”という要望を監督さんにぶつけて、それを映像にしてもらったんですよ。本棚を倒したり、本を破り捨てたり、叫んだりしてるので、一見狂ったような世界観なんですけど、心の中はそれぐらい乱れているんだよって。だから、歌詞の中だけでは表しきれない心の中の世界を描いてくださったって感じですね。ただ、倒れてくる本棚の前で歌うってのはちょっと怖かったですけど(笑)。
河井
澄ました顔で歌ってますけど、すごい音が鳴ってましたからね(笑)。前回の「I WISH」からなんですけど、曲とPVとケータイ小説だったりとかが連動していて、曲を聴いてもらって、PVを観てもらって“ああ、こういうことか!”ってなって、さらにケータイ小説を読んで“こういう人たちが主人公なんだ!”って理解を深める…みたいな見せ方をしているので、今回もPVと併せて楽しんでもらえたらうれしいですね。

そういう楽しみ方はありますね。もともとはどんな曲を作ろうとしたのですか?

舞子
夏に出すってことで、MAY'Sだからこそできる夏の曲にしたいねって話はしましたね。最初にふたりでいろいろ夏の思い出とかを話してたんですけど、やはり十代の頃の記憶が心に強く残ってて…というのは夏休みがあったからなんですよ。夏休みって子供ながらにいろんな経験ができたんだなってことで、今回はCD一枚を通して、私たちの年代の人たちには十代のことを思い出して懐かしい気持ちになれて、今が十代の子たちには共感してもらえるような曲にしようっていうテーマが決まったんです。で、「I LOVE YOU が言えなくて」は、MAY'Sって今までハッピーな恋愛の曲が多かったんですけど、十代の時って不器用なのに器用に誤魔化そうとして自分の気持ちを表に出さなかったり…小さい頃っていうのは“○○くんが好き!”って思うだけでハッピーだったのに、中学生や高校生ぐらいになると相手の気持ちも欲しくなってきて、そこで初めて“好き”という感情に対する葛藤や苦しさを知るわけじゃないですか。だから、その時の気持ちを思い出しながら歌詞を書いていきました。

自分の気持ちが言えないでいるのに、相手にはさとられたくないっていう、複雑な気持ちが描かれてますね。

舞子
今回の歌詞ってすごく矛盾してるんですよ。好きで好きでしょうがないのに伝えれなくて、苦しんでる。苦しいだけの恋は嫌だから、なんとかして実らせたい。でも、伝いたいけど伝えれない。伝えれないんだけど、誰のものにもならないでほしい。…って、すごく矛盾してるんですけど、恋愛ってそういうものだと思うんです。その矛盾をそのまま描くというのも、あるべきひとつの恋の姿なのかなって。

では、トラックはどんなものにしようと?

河井
そういう歌詞の矛盾を意識したというか…セオリーから外れたものを意識しましたね。メロディーがすごく綺麗だし、綺麗なピアノのフレーズをいっぱい使ってるんで、普通だとそこにやさしいリズムや壮大なストリングスを入れるんでしょうけど、そういうセオリーからわざと離れて、逆にパンチの効いたシンセやビートを入れたんですよ。それで恋愛のハラハラ感だったり、スリリングな感じが表現できればいいかなって。

やはり曲の方向性とかを話し合った上で、トラックも制作しているのですか?

河井
ほとんどそうですね。いろいろ話し合って曲の方向性を決めて、ふたりでスタジオに入って…だから、リリックとトラックがシンクロしている曲が多いんですよ。

カップリングの「線香花火」ですが、こちらは友達との別れを歌った夏ソングですね。

舞子
はい。実際に私自身、高校最後の年には上京して歌手を目指すってことを決めていたので、そんな高校最後の夏休みというのをテーマにしてあるんですよ。最初にも言いましたけど、今回のCDは一枚通して、そういう十代の思い出がひとつのキーになっているので。あと、夏ってお祭りがあったりして、すごく華やかな感じはあるんですけど、その帰りにみんなで公園で手持ちの花火をやっているような…路地裏で家族が線香花火をやってたりするじゃないですか。そんな日本の夏の陰と陽っていうか、情緒ある部分も、この“高校最後の夏休み”というテーマの中にあったので、曲としてもお祭りな感じはありつつも、ちょっとした侘びしさや切なさも表現できたかなって。

温かくも切ない曲に仕上がってますよね。

舞子
私たちって欲張りなんですよ。明るさの中にもグッとくるポイントが欲しかったり、寂しさの中にもひと筋の光や未来が見えるものが欲しかったり…
河井
MAY'Sはそういう曲ばっかりですね。

トラックもそういうことを意識して?

河井
そうですね。それに、日本のサマーチューンってトロピカルな感じのものが多い…水着の女の子を連想するものが多いんですけど、日本ってそういう国じゃないと思うんですよ。だから、水着じゃなくて浴衣で遊んでいる絵が想像できるような、日本人らしい夏休みの絵が浮かぶような聴き心地にしたいと思ってました。この“線香花火”っていうタイトルもすぐに決まったよね。
舞子
うん。歌詞もすぐにできました。曲を作る時って、実はイメージ先行の時が多いんですよ。例えば、恋愛の曲だったら、“どんな女の子が、どんな人に恋をしていて?”っていうイメージを共通させていると話が早いし、ふたりにブレがないし。

まさに、MAY'Sならではの夏盤ができたという感じですね。

舞子
MAY'Sにしか出せない夏らしさの詰まった一枚ですね。いろんな人の心に届くものになったんじゃないかな。
河井
冬のイメージを持っている方が多いと思うので、そういう意味でも夏のMAY'Sっていうものが伝わればいいですね。
「I LOVE YOUが言えなくて」
    • 「I LOVE YOUが言えなくて」
    • KICM-1281
    • 2009.08.19
    • 1200円
MAY'S プロフィール

メイズ:ヴォーカルの片桐舞子とトラックメイカーの河井純一によるユニット。2005年、インディーズでミニアルバム『Drawing』をリリース。キャッチーな楽曲が支持を受け、08年にメジャーデビュー。数々のアーティストとのコラボをはじめ、それぞれのソロ活動など幅広く活動を行なっている。MAY'S オフィシャルHP
MAY'S オフィシャルFacebook
MAY'S オフィシャルTwitter
MAY'S オフィシャブログ

OKMusic編集部

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