L→R 岡村健人(Ba&Vo)、福島 有(Dr&Vo)、上里洋志(Gu&Vo)

L→R 岡村健人(Ba&Vo)、福島 有(Dr&Vo)、上里洋志(Gu&Vo)

時に繊細に、時に感情むき出しで吐き出される言葉。そして、圧倒的なエネルギーとともに繰り出される色、温度、情景。全てを貪欲に飲み込み、それを洗練させる独自のフィルターを持った新世代3ピースバンド、Half-Lifeが1stアルバム『second narrow』をリリースする。
取材:榑林史章

Half-Lifeはカナダで結成されたそうですね。

岡村
そうなんです。現地で別のメンバーと9年前に結成したのが最初で、(上里)洋志はカナダ時代に加入しました。
福島
俺は、ふたりが拠点を東京に移してからの加入で。
上里
だから、2005年にこの3人のラインナップになりました。

バンド名はどういう意味で付けたのですか?

岡村
辞書をパッと開いて目に入ったのが、“Half-life”。“一時の輝き”という意味で、そうならないようにと反面教師的な意味で付けました。カナダ時代からなので、個人的にすごい思い入れのある名前だったし、他にいい名前も思い付かなかったのでそのまま。今回のアルバムのタイトルもカナダ絡みで、カナダの“second narrow memorial bridge”という橋の名前から取りました。

どうして橋の名前をアルバムタイトルに持ってこようと?

岡村
このバンドには、俺の中ではカナダから現在までの9年間の想いがあって。でも、ふたりは後でバンドに加入したから、俺の想いとはちょっと違う。それで、俺の個人的な想いを1回リセットしたいと思って、ふたりにお願いして付けさせてもらったんです。
上里
俺としても、(岡村)健人が言ったみたいに、この作品によってこれまでの俺らをリセットする意味を感じていて。実際に今作っている曲はその頃とは雰囲気が変わってるし、新しいこともたくさん見て来ているので、次の作品ではもっと新しいものが見せられると思うんです。そこにつながるアルバムであればいいなと。
福島
この3人になってからの集大成みたいな作品ですね。

歌詞は結構深いことを書かれていますよね。何かをメッセージするというよりも、上里さんの中にある気持ちが、真っ先にウワーってあふれているような。

上里
電車に乗ってる時に思い付くことが多くて、窓から見た情景の切り取りがパズルのように重なってできている感じです。ひとつの物語の中に自分と対照できる部分が欲しいんですよね。だから基本的には、普段は言えないけど自分が違うと思ったこととか、日常で溜まったフラストレーションやちょっとした楽しかったこと、美しい世界を見た時の気持ちなど、自分のことを書いています。それがリアリティーにつながると思うので。

リスナーには、そこから個々の心に響く言葉を見つけてもらい。

岡村
そうしてくれたらうれしい。例えば、「orange」は聴いた人自身を重ねられるし、「色彩」や「idea」なんかは言葉を追うというよりも曲と一緒に感じてもらえると思います。

曲はどうやって作っているのですか?

上里
それぞれがアイデアを持ち寄って。俺ならABサビだけとか、1コードとか。ベースのフレーズやリズム、ちょっとしたアイデアをスタジオでジャムりながら広げていく。それを個々で持ち帰って、俺はメロディーと歌詞を練り、健人が俺の歌詞をまとめてくれて、曲の構成は有くんが主に考えてくれて、というかたちかな。

誰かがデモを作り、それを基に作ることは?

上里
そういう場合もありますけど、それを一度壊して作っていくんで。だから、デモではスローだったものが最終的にめちゃくちゃ速い曲になったりする。それに、ライヴでやったらあまり良くなくて結局ボツになった曲もあるし。
岡村
スタジオだと閉塞された空間なので、そこでどんなに良いと思っても、ライヴでやったり家で聴いたら良くない時もある。そこをクリアーしたものしか曲として残っていかないですね。
福島
そこまでして完璧に作り込んだものでないと、ライヴでやりたくないですね。結構完璧主義なんです。

4つ打ちの「orange」があったり、変則リズムの「entrance」があったりして、リズムが特徴的な曲が結構ありますね。

福島
「orange」はテクノのアプローチを生バンドで何とかできないかなって、家で考えて持っていったんです。
岡村
なかなか弾けなくて大変だったんですけど。
福島
何拍とか分からんまま、“たぶん8分の6拍子”って感じで、やっていくうちにだんだん合うようになっていって。
上里
ゴールが見えなくて苦しい時もあるんだけど、バッチリ合った時はほんと気持ちいいんですよ!

歌とサウンドの絡み方が独特でカッコ良いですよね。

上里
個々でHalf-Lifeっぽさみたいなものを持っているんだと思います。上手く言葉にはできないけど。それっぽくなければ、どんなに良くても発表しない。その“ぽさ”だけは貫けて来たかなって。
福島
3人でカッコ良いってなったところで、最終的にHalf-Lifeっぽいかどうかを考える。俺らとしては、あくまでも洋志のメロディーに対して演奏を付けてるっていう意識なので、その上で最終的にHalf-Lifeっぽいかどうかを判断してるというか。ただ、俺ら3人でやれば何でもHalf-lifeになるってわけでもなくて。
岡村
カッコ良いと思った3人の共通項がHalf-Lifeっぽさなんだと思うけど。でも、それが狙ってできるわけじゃないんで。

バンドをやる上で意識していることはありますか?

上里
3ピースで最大限のアンサンブルを聴かせながら、メロディーもいいものを。4人とか5人のバンドには絶対負けたくなくて、それ以上のアンサンブルや音圧を出したくて。それでいてメロディーも負けませんよっていうバンドを目指しています。
福島
魅せるライヴも意識してますね、3人全員が主役みたいな。だから、ライヴはステージのどこを観ても楽しめると思います。
岡村
ライヴはCDの10倍激しいんで、そのあたりも見てほしいです。あと、来年は大小問わずロックフェスに出まくりたいです。
上里
アルバムはあくまでも入口で、俺らを知ってもらうためのきっかけ。人間対人間で言いたいこと、やりたいことを伝えたいので。だから、いろんなところに行って、ひたすらライヴしたい。
Half-Life プロフィール

09年12月に<avex/tearbridge records>より1stアルバム「second narrow」でメジャー・デビューを飾った、上里洋志(vo&g)、岡村健人(b)、福島有(dr)から成る3人組バンド、Half-Life。00年、岡村を中心にカナダ・バンクーバーにて結成され、活動開始。05年に活動拠点を日本へ移し、現在、渋谷CYCLONEを中心に都内でライヴを展開しつつ、活動範囲を全国に拡大している。

歌謡曲の要素を取り入れながら、J-POP/ロックをエモーショナルにミックス。独創的かつ心地よいメロディー・ライン、ぶれない強靱なバンド・アンサンブル。その迫力ある音楽は、“ギター・ロック”や“歌もの”という枠だけでは計れない音楽性とポテンシャルを秘めている。拙くも感情の温度が感じられる紡ぎだされた言葉、見る者の体温を上昇させるライヴ・パフォーマンスはエネルギーに満ち溢れており、感情を曝け出すヴォーカル、静寂と爆音が美しく同居したバンド・アンサンブルが心を掴む。Half-Life オフィシャルサイト
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