【上木彩矢】その時の自分がピン！っ
てきたもの
をチョイスしている
レーベルを移籍し、活動拠点も大阪から東京に移し、再スタートを切った上木彩矢。そんな彼女が完成させたアルバムは、今までのカラーはありつつも、新境地を感じさせる一枚だった。
取材：石田博嗣
本作ですが、今までバンドサウンドにこだわってやってこられていたので、デジロックばりのサウンドに驚かされました。
今回は“踊れるロック”というか…確かに、自分の中では新しいですよね。でも、ピコピコ鳴ってたりするんですけど、しっかりとロックしているんで、意外に抵抗がなかったです。
アルバム的にはどんなものを作りたいと思っていたのですか？
“新しい上木彩矢”と“昔の上木彩矢”を併せ持った感じですね。“新しい上木彩矢”というところでは、女子をもっと味方に付けたいという気持ちがあるんで、歌詞にしても、サウンドにしても女子でも聴きやすいものっていうのは頭の片隅にありました。
攻撃的であってもポップな要素がありますものね。アルバムの候補曲もいっぱいあったと思うのですが、その選曲基準となったポイントもそういうところで？
ポイントっていうことでは、アタックのあるものって感じで選びましたね。基本的には自分が好きかどうかで判断して、“歌いたい！”と思うかどうかって。ほんとに、すごい数あったんですよ。何日もかかって選んだんで…もちろん、全部いい曲なんですよ。当然好みもあるのですが、今の私にフィットするものということで選びました。
その中で、先程おっしゃられた“踊れるロック”という方向性は、ひとつのトライになるのですか？
そうですね。やってて楽しいかなって、軽い気持ちだったんですけどね（笑）。レコード会社を移籍したのに、今までと同じようなことをやっても仕方ないし、逆にavexだと何ができるかっていうところで、踊れそうな曲で、しかもロックだといいなって。実際、そういうものができちゃいましたね。
それでいてスケール感も、奥行きもあるアルバムになってますよ。あと、「sokubaku LOVE」みたいな曲でも、可愛いとかポップという印象だけではなく、棘の部分も届くのは“らしい”ところだなって。
それはすごくうれしいですね。サウンドの部分では、“ここは押さえておきたい”と思う部分があるので、それがちゃんと表現できたのは良かったと思いますね。甘いと辛いじゃないけど、甘いばかりでも、辛いばかりでもない、ちょうどいいものが作れたんじゃないかと。気持ちは新たに、でも心には今までの自分を持ってやっていきたいと思っているので。
ライヴの画が観えるアルバムでもありますね。
ライヴをイメージして作ってましたね。『CLAP YOUR HANDS』なんて、ライヴで盛り上がる曲だと思ったんで、そんなタイトルを付けたし（笑）。そういう意味では、ライヴで盛り上がれる曲を収録してますね。
バックのサウンドが変わったことで、歌に挑む気持ちも変わりました？ 表情が豊かになった印象があるのですが。
今回のアルバムはミディアムバラードが何曲か入っているので、そういうふうに感じるのかもしれないですけど、歌に関しては特に変わらないですね。移籍したからどうっていう気持ちもないし、環境が変わって、楽曲が変わったからっていう思い入れもないし…ブースに入ってしまえば、ここが大阪なのか、東京なのかも分からないですからね（笑）。だから、レコーディングはいつも通りでした。
歌詞の面では？ リード曲の「The Light」に“君ともう一度始めたい”というフレーズがあったのですが、やはり再スタートや変化みたいな意識があったのかなと。
それ、よく言われるんですけど、全然そんなこと考えてなかったんですよ（笑）。逆に、レーベルを移籍したから変わろうっていうんじゃなくて、自分を保とうと思っていた…変化はしたいと思うけど、それが良い変化なのか、悪い変化なのかをしっかりと自分で考えたいので、まずは自分自身を保つことが先決かなって。ただ、わりと自由に歌詞を書かせてもらったので、素に近い言葉が出てきてるってのはあると思いますね。
なるほど。では、最後にタイトルの“INDIVIDUAL EMOTION”に込めた想いについてうかがいたいのですが。
実は、タイトルを先に決めたんです。“真実”とか“作り話ではない”っていう日本語の単語から始まって、それを辞書でいろいろ調べていったんですけど、いまいち言葉の響きが悪かったんですよ。で、ちょっと変化させて、さらに調べていったら“INDIVIDUAL”という言葉が出てきて、“これ、いいじゃん！”ってなって…いつもそうしているんですけど（笑）、ひとりでCMスポットみたいに“上木彩矢、ニューアルバム『INDIVIDUAL』！”ってやったらすごく響きが良かったんです。でも、“INDIVIDUAL”だけだと寂しいしんで、後に“STORY”とか付ける言葉を探して、“EMOTION”がハマったと。後付けなんですけど、ちゃんと意味も合ってるなって（笑）
言葉の響きで…しかも、先にタイトルを決めていたんですね。意味的にも、アルバムの内容に合っていると思っていたのに（笑）。
レコーディングする前にタイトルがありました（笑）。あっ、良く言えば“コンセプト”ですよ！ そういうことにしておいてください（笑）。でも、曲も、歌詞も、アルバムタイトルも、その時の自分がピン！ってきたものをチョイスしているんで…それって、自分の中で“キター！”って思わないといけないということだから、今回は全部“キター！”って思った部分で作ったということですね。
結果オーライじゃないですけど、“キター！”と思うのは今の自分の感性によるものだから、そこで統一がとれているので、全てにおいてブレがないということですね（笑）。
そうです！ でも、この“キター！”と思うポイントがうまく言葉で説明できないんですよ。だから、次からは“こういう想いを込めました”と答えられるシナリオを用意しときます（笑）
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