【STANCE PUNKS】ブッ壊して新しいモ
ノをつくれよ
深刻化する時代に対して必要なのは、政府の経済対策よりも、個人個人の心へと届くパンクロックだ! TSURU(Vo)が渾身のアルバムについて語った。
取材:石田博嗣
エネルギーがすごく詰まったアルバムが完成しましたね。1stアルバムさながらの衝動と瞬発力を感じましたよ。
それはみんな感じてましたねぇ。全てが自分たちのテンションだったり…俺自身がパワーがあるかないかだけで進んでいく人間なんで、きっと今はパワーがあるんでしょうね。そういう気はしてます。あと、時代のテンションもあるしね。
そういう意味では、ネガティブな世界に向ってクソッタレと叫びながらも希望を歌っているのがSTANCE PUNKSの姿勢なのですが、そこがすごく強まっていると思いました。
今回のアルバムはすごいリアルなんですよ。例えば、これまでは“何かが起こる→それに対してストレスを感じる→そこから脱出しようともがく→そうすると希望の光が見えてくる”って4段階だったんですけど、今回は“脱出しようともがく”の3段階まで。聴いてくれた人は希望の光を感じてくれるかもしれないけど、俺らの中ではまだ光が見えていない…それぐらい切迫した時代なのかなって思いますね。
でも、今の時代では、誰もがやり場のないストレスを抱えて何も言えなくなっているから、その“もがく”ことが光なんですよ。もがくことって反発なんで。
確かに、反発ですね。STANCE PUNKSは反体制世代の最後の砦なんで(笑)。アジテーションが一番大事なことだと思っているし、それがなければ俺は音楽をやってないかもしれないですからね。
それが「今夜ブチ壊せ」や「ザ・ワールド・イズ・マイン」のぶち切れそうなテンションにつながるわけですね。
そう。逆に、ゆっくりな曲でもドスンと響くものになっていると思いますよ。そういう意味でも、今までで一番精神状態が真っ白なアルバムですね。全てがバーンと爆発して吹っ飛んだ感じ。宇宙って最初は何もなかったでしょ。それと同じで、何もない状態だから全てを吸収できる…このアルバムを聴くと、俺、そういう気持ちになれるんですよ。ブッ壊して新しいモノをつくれよって。今まで持っていた自分の中の嫌なモノだったり、ストレスだったりを吹き飛ばしてくれるアルバムになったと思いますね。
このアルバムを聴いて、こんな時代だからこそパンクロックが必要だと思いましたよ。
そこなんですよ。こんな時に求められるものこそがパンクロックだと思うし、俺たちが吐いた言葉が、誰かの心に突き刺さってくれる時代なんじゃないかなって。
誰もが何も言わなくなった時代に対して、STANCE PUNKSは“俺はこう思う”と叫んでますからね。
そこが俺の中のパンクロックの一番大事なところだから。俺たちはずっと“クソッタレ!”ってアホみたいに歌ってきた…言ってしまえば、古いタイプなのかもしれないけど、それが今の日本には必要なんじゃないかなって思う。もしかしたら、児童手当で子供ひとり当たりに金をやるよりも、大人ひとり当たりに“クソッタレ!”って言うほうが大事かもよ(笑)。まずは、ひとりひとりが“FUCK!”って言うところから始めよう。そうじゃないと、自分が何をしたいのかっていうのが分からない。周りとのバランスを取りながらやってることが多すぎるんですよ。バランスばかり気にしてたら、いつか壊れるよって。嫌われてもいいから自分が思うことをはっきり言わなきゃ。だから、こんな時代に対して俺たちは、このアルバムをドン!と“これがパンクロックだ!”って自信を持って出したいと思います。