【初音】頑張っている人の応援ができ
ればいい
NHK時代劇『咲くやこの花』の主題歌となっている「また逢いたい」。主人公の気持ちを描写しつつも、そこには彼女の心境も重ねられているとのこと。
取材:土内 昇
昨年春に卒業と同時に上京されたわけですが、環境が変わって出来上がる曲にも変化はありました?
高校に行ってたりとすると、何かに所属している安心感みたいなものが知らず知らずにあったんですけど、卒業してそういうものがなくなると、なんとなく不安だったり…あと、独り暮らしを始めて自分と向き合う時間がたくさんできたので、前と比べると悩んだり、考えたりすることがすごく増えたんですよ。そういう部分で歌詞とかが変わってきたと思います。
「また逢いたい」も上京してから作ったものになるのですか?
はい。最初にドラマの主題歌の話をいただいたので、まずストーリーを読ませてもらったんですね。主人公の女の子がちょっと変わった性格で、地味で、できるだけ目立たないように生きていこうと思っているんですよ。でも、その子は百人一首が得意で、百人一首を通して、どんどん成長していって、今までは目立たないようにしていたけど、自分らしく生きていくことの大事さに気付くっていうお話なんです。その主人公の女の子が感じたと思う気持ちと、今の私の心境に重なる部分があると思って、そこから歌詞を書き始めました。
重なる部分というのは?
何年か前にある人との出会いがあって、この間、その人から手紙をもらったんですね。その手紙には、自分らしく自分の進みたい道を自分のペースで進んで行ってねって書いてあって、それを読んだ時にすごく元気が出たというか、肩の力が抜けたみたいに“自分らしくていいんだ”って思えたんですよ。去年は上京もあったし、ラップとのコラボレーションとか挑戦した年でもあったし、初めて後輩ができて“私もデビューの頃ってこうだったのかな?”とか考えたりして、結構悩んだりしてたんですね。そういう気持ちの時に手紙をもらったので、前向きになれたというか。だから、手紙をくれた人に返事を書きたいと思って、その人に贈る言葉としてこの曲を書いたんです。でも、ただ感謝の気持ちを伝えるんじゃなくて、手紙をもらって自分なりに考えて出した答えが“自分らしく生きて成長した姿で、また逢いたい”という気持ちだったので、その思いを綴りました。
曲調も温かいバラードにしようと?
なんとなくのイメージはありましたね。太陽の温かい感じとか、風がゆるやかに吹いているイメージが自分の中にあったので、出来上がったものを聴くと、手紙をくれた人のイメージがそのまま曲になったような気がします。
カップリングの「エスケープ」の設定は、大阪城ホールでコンサートを観たことになってますね。
この曲はまずストーリーを作ったんですよ。退屈な日々を過ごしている女の子がライヴを観に行くことでパワーをもらって、退屈な日々から抜け出せて、頑張ろうって思うっていう。私自身も大阪城ホールにライヴを観に行ってパワーをもらった経験があるし、いつかはそこでワンマンライヴをやりたいっていう想いがあるので、そういう自分の心境も重ねて曲にしました。
主人公の心の動きに「また逢いたい」と重なる部分があるのですが、それは自分を投影しているからでしょうね。
基になっているのは自分だし、その時の心境を書いているから似ているのかもしれないですね。今回は悩んだり、迷ったりした気持ちが、どちらの曲にも表れていると思うので、“自分らしくやってみよう”とか“踏み出してみよう”って頑張ろうとしてる人や頑張っている人の応援ができればいいなって思ってます。
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