【植村花菜】演奏している側も聴いて
いる側も
楽しくなるアルバムにしたかった

豪華なゲストミュージシャンたちと作り上げたセルフカバーアルバム『花菜 ~My Favorite Things~ 』。アコースティックサウンドに乗った彼女の歌は心地良さそうだし、とても楽しげだ。実際、“全曲遊んでいるし、自由に作らせてもらった”と語ってくれた。
取材:石田博嗣

『花菜 ~My Favorite Things~ 』はアコースティックということで残暑が厳しい中でも涼しくなるというか、心地良いアルバムでした。

ありがとうございます(笑)。最初から私の原点であるアコギと歌を前面に押し出したアルバムにしたいと思ってたんですよ。

今回はセルフカバーなのですが、楽曲のセレクトポイントというのは?

『トイレの神様』を聴いて植村花菜を知ってくれた方がたくさんいると思うんですね。“他にどんな曲を歌ってるんやろ? ちょっと聴いてみたいな”と思っても、意外にいっぱい出しているんで、どれを買っていいか分からないと思うんです。なので、“植村花菜ってこんな曲を書いているんですよ”っていうのを分かりやすく説明できる曲を自分なりに選びました。その中でも、今、みなさんに聴いてもらいたいものっていう感じで。

それをゲストミュージシャンと一緒に作り上げたと。

はい! 大好きで尊敬していて、交流のある方ばかりなんですけど、曲とその人のイメージを考えると、この8組の方になったという。もともとある曲をアレンジし直すんで、ある意味難しいわけですよ。すでに完成品があるわけだから。同じだけ良くないといけない…“オリジナルもいいけど、こっちもいいよね”って言われないといけないんですよ。そういう意味で私以外の人が入ってくれると、オリジナルとは全然違う世界になるから面白いんじゃないかなって。前からみんなとは一緒にやりたいねっていう話もしていたんで、いい機会だし、楽しくて、素敵なんだろうって。

「紙ヒコーキ」はフリューゲルホルン奏者のTOKUさんとコラボしてるのですが、ホルンの響きが風に乗って紙飛行機が飛んでいる風景をイメージさせますよね。

ほんと、素晴らしかったです。前からTOKUさんのことは大好きで…でも、お会いしたことがなかったんですけど、プロデューサーの斎藤 誠さんが交流あるっていうことだったんで、ぜひってことでお願いしたんです。ほんとに、『紙ヒコーキ』の情景っていうか、雰囲気を見事に表現してくださったし、TOKUさん独特のメロディーのセンスにはしびれましたね。とにかく、自分の大好きなミュージシャンが自分の曲を演奏してくれるっていうことがめちゃくちゃうれしかったです。素敵な曲ができたなって思ってました。

押尾コータローさんとの「トイレの神様」も聴き入りましたよ。

これは押尾さんじゃないと表現できない世界ですね。ギター一本で10分持たせるっていうのはすごく大変なことですし…この曲って普段は私がギターを弾きながら歌ってるんですけど、それが一番いいんですよ。自分が作った曲ですし。だけど、それとは全然違う世界に押尾さんが持って行ってくださっているんで、だからこそ成立する…ここまで押尾コータローの世界に持って行ってくださっていなかったら、結局は私が弾く素朴なギターのほうがいいってなると思うんですよ。押尾さんがテクニックと歌心のあるギターを弾いてくださっているからこそ、実現できた1曲ですね。

そういった楽器系だけじゃなく、「すばらしい日々」では花菜さんの憧れでもある山本潤子さんとコラボされているわけですが。

潤子さんは、ほんと尊敬してまして…日本を代表する女性シンガーだと思っているので。なので、自分の歌を潤子さんが歌ってくださっているっていう時点で感動するし、自分の声と潤子さんの声が重なった時に、も~何とも言えない…ほんま、うれしかったんですよ。またね、潤子さんの声と自分の声がすごい合うんですよ。赤い鳥みたいで(笑)、感無量っていうか、とにかくうれしかったです。このアルバム自体が素敵な人たちと一緒に作れたんで、大事な宝ものになる一枚なんですけど、その中でも潤子さんは…ほんま、ずっと鳥肌が立ってました。

他に印象的だったのが「ミルクティー」なのですが、1曲目にもかかわらず笑い声から入るという。

これは誠さんの趣味なんですよ。今回のジャケットが私の笑っている顔の写真なんで、笑い声を入れたいって言われて、私はどっちでもいいですよって。でも、今回のアルバムは既存のオリジナルがあるからこそ全曲遊んでいるし、自由に作らせてもらったんで、そんな笑い声が入っててもいいっていうか…演奏している側も聴いている側も、とにかく楽しくなるアルバムにしたいってことがテーマにあったんで、そのアイデアはアリだなって。ただ、夜中に聴いたらびっくりすると思いますけど(笑)

(笑)。あと、新曲として「伝えたいこと」が入っているわけですが、なぜこの曲を?

CMのタイアップが付いているんですけど、先方の方が数あるストックの中から気に入ってくださった曲なんですね。せっかくだからそれを新曲として、今回のアルバムに入れましょうって。どの曲よりもすごくポップなんで、ちょうどいいスパイスになるし、この曲のメッセージもアルバムと合っているし。

このアルバムには今の自分が“伝えたいこと”が詰まっているし、と。

はい。…って、そんなうまいことは考えてなかったんですけど、そういうことにしといてください(笑)

今回のようなアルバムを作ってみてどうでしたか?

むちゃくちゃいいなって思いました。また機会があればやってみたいですね。デビューして5年が経って、今6年目なんですけど、振り返ってみるといろんな面で成長してきたんやなっていうことが分かるし。改めて曲に対する捉えかたがいろんな角度から見ることできたんで、いろんな発見があったし、もちろん楽しかったので、これをシリーズ化していければなって。入れたかったけど入れることができなかった曲がたくさんあるんで。

こういうアルバムを聴くと、やはりライヴを期待してしまうのですが。

それはね、私も思ってるんですよ。ここに参加してくれている全員を揃えることは不可能に近いんで、どこかのライヴでどなたかをゲストに迎えてやってみたいとは思っているので、そんなには遠くない将来に実現できるんじゃないかと思ってます。
植村花菜 プロフィール

8歳の時、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」を観て、その世界観に感動し、主演のジュリー・アンドリュースに憧れ、幼いながらに「音楽には人と人をつなぐ力がある。どんなに辛い時でも、歌をうたえば元気が出る。私も将来、たくさんの人が笑顔になれるような歌をうたっていきたい!」と思い、歌手になる事を決意。その日から毎日歌の練習を始める。そしてとにかく歌うことが大好きになる。

しかし、11歳の時、いつもテレビで見ていた吉本新喜劇が好きすぎて、歌手になろうか吉本に入ろうか本気で迷う。(いつかはコントをやってみたい!という野望は今でも持っているそうだ。) 中高時代は、クラブにバイトに恋に大忙しだったが、一日も歌の練習を欠かした事はなかった。

ある夜、友達がストリートで歌っているのを見て、「私もあんな風に外で自由に歌いたい!」と思い、いきなり曲作りとギターを始める。記念すべきオリジナル第一号が完成するやいなや、すぐさまギターを担いで地元の駅前へダッシュ!!! そのまま声が嗄れるまで、その一曲だけを延々ローテーションして歌い続けた。

この日からシンガーソングライターとしての音楽生活がスタート。19歳になったばかりの、冬の寒い日だった。
その後、地元を中心とした関西各地のストリートやライブハウスで活動を始める。

大阪ミナミのストリートで歌っていた時、突然声をかけられてそのまま出場した「ストリートミュージシャンオーディション」で、1200組の中からグランプリに選ばれ、デビューのきっかけを掴む事となる。

“音楽とお笑いをこよなく愛しながら、いつも、いつまでも歌い続けていきたい。”としている。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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