【布袋寅泰】『TOMOYASU HOTEI 35th
ANNIVERSARY『8BEATのシルエット』
2016 BEAT2 GUITARHYTHM伝説'88~ソ
ロデビュー再現GIGS』2016年4月7日
at 国立代々木競技場 第一体育館

撮影:外山 繁/取材:田山雄士

 1988年に行なった初のソロGIGを同会場で再現する、35周年プロジェクトの第二弾! 代々木第一体育館へ集まったファンの熱狂にまず応えたのは、映像版『GUITARHYTHM』でお馴染み、白黒の幾何学模様のギターを抱える赤い薔薇だった。「LEGEND OF FUTURE」に合わせてそれがアニメーションでスクリーンに映し出されたのち、「POWER」のカッティングを弾きながら布袋寅泰がせり上がりでセンターに登場。そして、一気にオーディエンスを高揚&ジャンプさせる「C'MON EVERYBODY」へと続き、のっけから全開のホテイズムで魅了してみせる。

 “BOØWYというフォーマットに別れを告げて、自分をコピーしないところから新しい布袋寅泰の道を作っていこう。そう思って、“GUITARHYTHM”というコンセプトを立てました。いろんな経験をしてきたし、あの時の自分をコピーするのではなく、今日は“GUITARHYTHM”のコンプリート版です。存分に楽しんでください!”――そんなMCのあとは、いよいよディープゾーンへ突入。当時の顔ぶれであるスティーヴ エトウ(Per)含む総勢8名のGUITARHYTHMオーケストラを従え、その美意識が貫かれた英詞曲、デジタルロックを強靭なサウンドで畳みかけていく。

 妖しいリフで始まる「STRANGE VOICE」では、ドラムセット上のバルコニーに真紅のドレスを纏った小川里美(ソプラノ)が現れてオペラボイスを響かせたり、「WIND BLOWS INSIDE OF EYES」では、その小川がドイツ語のポエトリーリーディング部分を務め、布袋が歌うアーシーなサビに熱くつないだり。また、ゴシックメタルっぽい様式美から突如ジャジーに展開するなど、めくるめくアレンジも溜息もの。もはやミュージカルのようで、ワクワクが止まらない! アップデートされた楽曲は説得力をもって轟き、今聴いてもまったく古びない印象だ。むしろ、新しさすらあって、ようやく時代がHOTEIに追いついた感覚になってくる。そして、黒田晃年(Gu)とのソロバトルが痺れた「GUITARHYTHM」、とりわけプログレッシブな12分にも及ぶ大曲「A DAY IN AUTUMN」でジャンルを超えた表現欲の具現化は完結した。

 アンコールではデヴィッド・ボウイに捧ぐ「STARMAN」、“俺たちのテーマソングとして5年後、10年後も熱く一緒に歌える曲になれば”と紹介した最新ナンバー「8 BEATのシルエット」、メガヒット曲「バンビーナ」などを披露。さらに、“まだ俺は終わらないよ。ここからフューチャーに向かっていくよ”と語った上で、6月リリース予定のベスト盤『51 Emotions -the best for the future-』の51曲目をここでレコーディングすると発表。“封印してたけど、35年目がスタートしたしね。世の中に夢という言葉がある限り、俺はこの曲を刻み続けます”と宣言し、最後にはなんとBOØWYの名曲「DREAMIN'」を解き放つのだった。まさかのサプライズ、トレードマークの躍動するリフ、高く上がる左足に、会場からは燃えるような大合唱! 忘れられない一夜をありがとう。そう思わせてくれる布袋寅泰のチャレンジングな生きざまは、今後もまだまだ続いていくはずだ。

セットリスト

  1. LEGEND OF FUTURE 
  2. POWER 
  3. C'MON EVERYBODY 
  4. GLORIOUS DAYS 
  5. MATERIALS 
  6. CLIMB 
  7. STRANGE VOICE 
  8. WIND BLOWS INSIDE OF EYES 
  9. WAITING FOR YOU 
  10. DANCING WITH THE MOONLIGHT 
  11. GUITARHYTHM 
  12. A DAY IN AUTUMN 
  13. <ENCORE1>
  14. STARMAN 
  15. サイバーシティーは眠らない 
  16. DIVING WITH MY CAR 
  17. <ENCORE 2>
  18. 8 BEATのシルエット 
  19. バンビーナ
  20. DREAMIN'
布袋寅泰 プロフィール

ホテイトモヤス:日本屈指のロック・ギタリスト兼シンガー。1988年、氷室京介をも擁したBOØWYを解散。同年、アルバム『GUITARHYTHM』でソロデビューを果たす。この求道的なスピリットに満ちた硬派ロックアルバムは、当時としては珍しい全編英詞による極めてアーティスティックな作品であった。翌89年には吉川晃司とCOMPLEXを結成し、1stアルバム『COMPLEX』をリリース。計2枚のアルバムを残し、90年に惜しまれつつ解散。その後、ようやく実質的なソロキャリアをスタートさせ、「ビート・エモーション」「さらば青春の光」「スリル」「ポイズン」と、作家性と大衆側に接近したポップ性が見事に同居した楽曲を続々とリリース。ストイックなロックミュージシャンであると同時にヒットメイカーとしての才能も開花させていった。布袋寅泰 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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