LGYankeesやNoaなど数々の楽曲へのフィーチャリング参加で注目を集めていたShaNaが、満を持してデビューを果たす。そのデビューアルバム『ひとりさみしく』に触れつつ、シンガーとしての彼女の像に迫った。
取材:石田博嗣

プロフィールに“小学5年生で音作りを始めた”とあったのですが、音楽に興味を持ったきっかけというのは?

最初に作ったのは、ほんとに拙いものだったんですよ(笑)。小さい頃からラジカセを持って…実家が海の近くにあったもので、ラジカセを持って防波堤に行って、海を見ながら物思いにふけていた時に、曲を書いてみようかなって思ったのがきっかけで。ただ、幼稚園ぐらいの頃に親におもちゃのマイクを買ってもらって、それでずっと歌ってたんで、よく親からも小さい頃から歌を歌いたかったんだろうねって言われますね(笑)

では、本格的に歌おうと決心したのは?

母が昔からジャズを聴いてまして、その影響でブラックミュージックに触れたんですね。初めて聴いたR&Bの曲はThe Fugeesだったんですけど、その後にLauryn Hillの『To Zion』の歌詞に影響を受けて自分でリリックを書くようになり、人前で歌うようになったんです。それが18歳ぐらい。で、高校を卒業してすぐぐらいに初めてクラブというものに行きまして、そこで切磋琢磨しているプレイヤーを見て、“私もここで歌いたい!”って気持ちになったんです。その頃は昼間の仕事をしながら、夜はクラブで歌うっていうことをしてましたね。

LGYankeesやNoaなど数々の楽曲へのフィーチャリング参加等を経て、いよいよデビューアルバムとなる『ひとりさみしく』がリリースされるわけですが、どんなアルバムにしたいと思って制作に入ったのですか?

曲を聴いた時に“リアル”という言葉がパッと出てきてほしいと思っていたんですよ。いろんな恋をしてきて、いろんな想いをしてきた女子や男子だったり、私と同世代が、曲を聴いて“あっ、分かる分かる!”って思うもの。なおかつ、笑顔になってもらえるものっていう。全ての曲に“笑顔”というフレーズやリリックが入っていたりするんですけど、それは“曲を聴いて笑顔になってほしい”っていう気持ちからなんです。

リリックはメッセージ的なのですが、ShaNaさん自身に向けて言っているようにも思えたのですが。

もちろん聴いてくれるみなさんへの発信ではあるんですけど、やはり自分自身が体験して思ったことや感じたことじゃないと、人を納得させられないと思うんですよ。そういう部分で、自分自身に対しての“頑張ってやらなきゃ!”っていう奮起の思いだったり、“前向きに歩いて行こうよ!”っていう投げ掛けだったりしますね。

恋愛もののリリックでも描かれている女性の“強さ”の中に“繊細さ”が垣間見れるのですが、それもShaNaさんの自身が出ていると?

まさしくそうなんですよ(笑)。私の中で“Independent Woman”というのが常にテーマとしてあって、『Lion Da Soul feat. GIO. ITACHI』に《独立強く生き抜く女性にOne Love Respect, Lady》というITACHIの歌詞があるんですけど、“独立した女性”が私の憧れなんです。しかも、“Girl”ではなく“Lady”。私の“Lady”のイメージ像が、すごく気高いものなんですね。強くて、繊細で、すごくきれいっていうイメージが強くあって、そういう女性になりたいと思っているんです。でも、そんな女性であっても、たまに泣く時もあるんだよって。表でうわ・って泣くんじゃなくて、悔しくてもその場は笑顔で、家でひとりで泣いているっていうセンチメンタルな部分もある…そういうところも意識しつつ書きましたね。

タイトル曲の「ひとりさみしく」は切なさの中から、主人公の女性の強さを感じました。

あっ、ありがとうございます! 伝わっててうれしいです。本当は別れたくないのに、相手の幸せを一番に考えて最後の最後で別れを選ぶっていう…だから、切ないんだけど、強くもあって、前向きっていうのがテーマだったんですよ。最後の大サビの《いつかどこかでまた逢えたのならば》という部分は、今回のレコーディングの直前ぐらいに書き足したんですね。正直言って、この曲には実体験も入っているので、自分の中でもいろんな意味でけじめっていうか、“これからはもう前向きに笑顔で進んで行こう!”って決めた時にパッと出てきた歌詞だったんです。大サビのリリックが出てきた時に、私の中で『ひとりさみしく』が完結しましたね。ひとりさしみしくなくなって前向きになれたっていう感じです(笑)

まさに“リアル”ですね(笑)。楽曲としては「恋模様 feat. LGYankees」でアコギをバックにしっとりと歌われているのが印象的でした。

私の特徴というか、歌い上げるのが好きな歌い方なのですが、この曲はすごく音数が少ないということもあって歌い方を変えたんですね。挑戦っていうか、今までにない歌い方をしているんですよ。だから、最初はすごく戸惑ったんですけど、“こういう歌い方もありなんだ”っていうのが学べました。

挑戦ということでは、「Booty Call feat. Noa」でラップをやられていますよね。

なかなかコツが掴めずに苦戦しました。“切なくテンションを上げて!”っていうプロデューサーのDJ No.2さんのアドバイスにすごくテンパりまして(笑)。でも、録り終えてみて、いろんな意味で視野が広がりましたね。新しいことをもっとやってみたいなって。この曲は女性も気軽にカラオケでラップができるようになっていると思うので、ぜひ女性にカラオケで歌ってほしいです(笑)

そんなデビューアルバムを作り終えた、今の気持ちは?

昔から歌手になることが夢だったんですけど、このアルバムを作り終えて思ったことが、“夢が叶った!”ではなく、“もっと歌いたい!”だったんですよ。だから、やっとスタートラインに立てたっていう気持ちがすごく強い。もっともっといろいろ経験をして、いろんな想いを曲に託したいなって思ってるんです。というのも、東日本大震災があって、仙台は地元だし、実家がある石巻は街が壊滅状態だったんで、いろんな人の痛みや悲しみに触れて…それこそ炊き出しとかにも行ったんですよ。私は神様から歌というものを与えてもらったというか、こういう立場にあるんだから、もっと自分でいろんなことを体験して、それを歌にしてみんなに聴いてもらいたいって思うようになりましたね。だから、このアルバムがスタートです。

最後に、ShaNaさんにとって歌とは何ですか?

人生そのものですね。演歌っぽくてすみません(笑)。でも、生きる道なんですよ。マイクを持って歌うっていうすごくありがたい仕事に就かせてもらってるんですけど、これは仕事ではなく、趣味でもあり、特技でもあり、生きる道そのもの…ShaNaそのものですね。
ShaNa プロフィール

シャナ:小学5年生で音作りを始め、18歳からクラブで歌い始める。もともとジャズが好きで、そこからブラックミュージック、ダンスホールを聴き、偶然レゲエサウンドのトラックを使い歌い始めたことでレゲエシンガーと呼ばれるようになったが、彼女にとってジャンルは単なるカテゴリでしかなく、LGYankeesや Noaなど数々の楽曲へのフィーチャリング参加で注目を集める。そして、2011年6月、アルバム『ひとりさみしく』で念願のメジャーデビューを果たす。NO DOUBT TRACKSのオールスターが結集した豪華マイクリレーで贈る復興応援ソング「Yell 3.11」の着うた(R)がレコチョクで配信中。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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